中学受験ノウハウ 公立中高一貫校

都立中高一貫校入試で行われる適性検査とは?

2018年7月30日 朝倉浩之

0

学費が安く、充実した教育を受けられる「都立中高一貫校」。一時期より落ち着いたとはいえ、依然として高倍率が続いています。今回はそんな人気の高い「都立中高一貫校」と受検問題にあたる「適性検査」をあわせてご紹介します。

都立中高一貫校とは?

そもそも「都立中高一貫校」とはどのような学校を指すのでしょうか。東京都教育委員会のホームページには「都立中高一貫教育校とは6年間の一貫教育の中で、社会の様々な場面、分野において人々の信頼を得て、将来のリーダーとなり得る人材を育成することを目的とする学校です」と書かれています。

参照:都立中高一貫教育校(中等教育学校及び併設型中高一貫教育校)とは
http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/school/secondary_school/

(1)中等教育学校
・6年間の一貫教育を一つの学校で行います。
・最初の3年間を前期課程、後の3年間を後期課程といいます。
・後期課程からの入学者の募集は行いません。

(2)併設型(都立中学校+都立高校)
・都立中学校と都立高校を接続して6年間の一貫教育を行います。
・都立中学校の生徒が接続している都立高校に進学する場合は、高校入試がありません。
・接続している都立高校は、他の中学校からの入学希望者を受け入れるために高校入試を行います。

現在(1)のタイプの中等教育学校は、小石川中等教育学校、桜修館中等教育学校、立川国際中等教育学校、南多摩中等教育学校、三鷹中等教育学校の5校です。(2)のタイプの併設型(都立中学校+都立高校)は白鷗高校附属中学校、両国高校附属中学校、武蔵高校附属中学校、富士高校附属中学校、大泉高校附属中学校の5校です。

都立中高一貫校の「受検」とは?

都立中高一貫校の「受検」では、「適性検査」の結果と5・6年次の学校の成績をもとにした「報告書」をあわせた総合成績で選抜結果が決まります。学校により異なりますが「報告書」の割合は18~30%、「適性検査」の割合は70~82%です。

適性検査の種類と対策

「適性検査」はⅠ~Ⅲの3つから構成されています。ただしすべての学校でⅠ~Ⅲのすべてを実施しているわけではなく、適性検査ⅠとⅡ(共同作成問題)のみを利用する学校(桜修館、南多摩、立川国際、三鷹)と、独自作成問題である適性検査Ⅲまで含めた3つすべてを利用する学校(小石川、両国、武蔵、大泉、富士、白鷗)とにわかれます。

適性検査Ⅰ

適性検査Ⅰでは論説文や随筆文が出題されています。文章の要約や文章に関連した意見作文が中心です。対策としては、読書をすることと、その要約が有効です。単に文章の字面だけを追うのではなく、くり返し出てくる言葉や筆者の主張など文章全体の大切な部分に線を引きながら読んでいくことで要約の質を上げていくことができます。あわせて、意見作文への対策として、日ごろから自分の思っていることを文章にする習慣をつけておくことが効果的です。受検は時間との勝負です。いざ解答用紙を前にしたときにすぐに書き出せるようにしておきましょう。

適性検査Ⅱ

適性検査Ⅱは算数・理科・社会の複合問題です。各教科の内容に関連した資料やグラフから情報を論理的に読み取っていく力が必要となります。どの問題も、すぐに立式して答えが出たり、早押しクイズのような瞬間的なひらめきを必要としたりするものではありません。むしろ小学校の学習範囲のなかでの知識を応用させてじっくりと考えることが必要な問題が中心となります。対策として以下の3ステップが有効です。

1、小学校の学習内容の定着
2、普段からニュースや新聞で時事問題対策をしておく
3、グラフや資料の読み取り問題に日ごろから取り組んでおく

適性検査Ⅲ

適性検査Ⅲは独自問題です。出題の中心は算数で、特に立体などの図形問題や、規則性の問題が多く出題されています。対策として、まずは受検する学校の過去問を解く。そのうえでよく出題されている内容に特化して、算数の問題集から類似問題を解いていくとよいでしょう。その際すぐに答えがでるような基本的な問題だけではなく、思考力を鍛える発展的な内容まで解くようにしておくことでより一層の適性検査Ⅲ対策となります。

※記事の内容は執筆時点のものです

0