中学受験ノウハウ 志望校選び

あこがれの学校を見つけるための行動指針とは? 4~6年の学年ごとに解説

2020年6月03日 吉崎 正明

子供が中学受験をする場合、志望校・併願校はいつまでに決めなければならないのか、わかりにくいところがありますよね。そこで、多くの中学受験生を指導してきた筆者の経験から、いつまでに何をしておくと良いのかを学年別に紹介します。お伝えする内容をもとに大まかな受験スケジュールをイメージしてみてください。

※2020年6月現在、新型コロナウイルスの影響により、学校行事などの開催が不透明な状況です。最新情報は各学校のホームページなどで確認してください。本記事は、例年通り開催された場合の情報として記載しております。

【4年生】子供の可能性に合わせ、いろいろな学校を知る

4年生の時点では、中学受験の勉強を始めたものの、本当に中学受験をするかどうかまだはっきりしていない家庭も多いのではないでしょうか? 4年生は、志望校選びの時期としてはまだ余裕があります。「子供にはどんな学校が合うのか」「受験勉強をするなかでどのくらい成績が伸びるのか」といったことを考える必要もあり、これから志望校を探していく段階です。

まずは、いろいろなタイプの学校があることを知るために、難易度にはこだわらず多くの学校を見てほしいと思います(コロナ禍ではネット説明会を開催している学校も増えているため、こうした方法も活用してみましょう)。その際、「子供がやりたいこと」「学校の好み」など、子供との会話を楽しんでみてください。コミュニケーションを通じて、今まで気づかなかった子供の価値観を知る機会にもなるでしょう。そのうえで、4年生の3学期までに「この学校へ行きたい!」と子供が思える学校が見つかるのが理想です。気になる学校ができることで、勉強の意欲向上にもつながることでしょう。

【5年生】目標を高く持って、あこがれの学校を見つける

5年生で大切なのは、目標となる学校を見つけ「向上心」を持つことです。4年生のときに学校選びをしていても、5年生になると視野が変わるもの。5年生になっても引き続き、学校を知る機会を積極的につくってみてください。

注意したいのが、偏差値の高さなどを理由に「無理!」と決めつけないことです。5年生のうちは、目標は高くてかまいません。むしろ、5年生であるからこそ目標は高く持ちましょう。保護者は、わが子の目標校が「偏差値が届きそうにない難関校」であっても、5年生のうちは合格に近づくために応援をしてあげてください。

もちろん、行きたい学校が複数あり、「どこにしようか迷うな」という状態でも大丈夫です。無理だと考えていた学校でも、モチベーションを高めて勉強した結果、6年生になって第一志望校として受験できたという例もあります。

実際に私が担当した、5年生が4名集まるクラスでは、どの生徒も5年生の時点で「いまの自分の偏差値よりも5ポイント以上高い学校」を志望していました。生徒たちは5年生のときからあこがれの学校があったからか、楽しく勉強する一方で、勉強に対する意識の高さも見せ、結果として全員第一志望校に合格しました。

「目標は高く」と述べましたが、それと並行して、5年生の終わりまでには難易度を徐々に考慮したうえで、「目標の学校に合格できなくても、この学校なら行きたい」と思える学校が複数ピックアップできていると良いでしょう。高い目標の「チャレンジ校」、現時点の偏差値に見合う「実力相応校」、現時点の偏差値よりも下の「安全校」と、それぞれ複数考えられていると、6年生になって具体的な受験プランを組みやすくなります。

■受験目安
チャレンジ校:偏差値+5~10程度
実力相応校:偏差値±0
おさえ校:偏差値-5~10程度

学校情報を手に入れる方法

受験学年の6年生でなくても学校を知る機会をもつことの大切さをお伝えしてきましたが、学校を知る方法はさまざまです。定番の4つの方法についてお伝えします。

オープンスクール

オープンスクールでは、学校見学はもちろん、授業や部活が体験できることがあります。在校生が学校のなかを案内してくれることも多く、普段の様子に近い学校の姿を知ることができます。

文化祭

文化祭は一般公開される場合がほとんどで、受験を考えている子も参加できます。いつも以上に輝いている在校生の様子や、「学校のカラー」もよくわかります。

学校説明会

学校説明会では、学校の理念や教育方針を中心に説明されます。学校のなかで行う説明会では、施設や教室の見学も可能です。施設はもちろん、教室やロッカー・昇降口などにも注目すると、在校生がどのような様子で学校生活を送っているか想像しやすいでしょう。

合同説明会

合同説明会では、一度に複数の学校の入試担当者から説明を聞くことができます。都道府県ごとや、男子校フェアや女子校フェア、宗教系の学校が複数集まる合同説明会なども開催されています。

【6年生】第一志望・併願の決定 ―― 志望校合格に向けた過ごし方

6年生では、受験本番に向けて第一志望校や併願校を確定させていきます。大切なのは、客観的に成績を見て、子供の実力があこがれの学校に届く範囲なのかを判断することです。では、志望校はいつまでに何を決めておけば良いのでしょうか。志望校や併願校決定の一般的なプロセスを、時期ごとに解説します。

中学受験の受験プランは「七五三」を目安に

志望校決定のプロセスは、計画性を持って行動することが重要です。併願校を決める際にも不安が出てくると思いますので、まずは塾の先生などに相談することをおすすめします。学校が公表する結果や偏差値だけでは読めない情報も専門家だからこそ持っていますし、親身になってアドバイスしてくれることでしょう。ここからは、一般的な受験スケジュールに沿ってお伝えします。

6~7月ごろ(夏休み前)まで

6年生の夏以降は、多くの塾で「志望校対策」が始まります。この時期までに、「第一志望校の決定」「併願可能性のある学校のピックアップ」ができていると良いでしょう。

中学受験の受験校は、「出願7校、受験5校、合格3校」の、いわゆる「七五三」が目安となります。これをもとに、「チャレンジ校」「実力相応校」「おさえ校」を意識してピックアップするのが理想です。

9月以降

9月に入ると、多くの塾で「過去問対策」が始まります。どの学校の過去問を用意しておくべきか、事前に塾の先生などに相談しておくと良いでしょう。過去問演習は、「目的」を理解したうえで取り組くむのがポイントです。

10月下旬~11月中旬

第一志望校の再確認、また第二志望校以下の確認と併願日程を、10月下旬ごろまでを目安に仮で決めておきます。東京・神奈川の受験生の入試本番は2月ですが、1月入試のことも考えておくと良いでしょう。仮決定した併願校をもとに、家族会議や塾の先生などと話し合いを重ね、11月の中旬ごろまでを目安に併願を本決定しましょう。

12月~1月

12月以降は、志望校対策が完成に近づくものの、一方で子供の気持ちが不安定になりがちな時期です。この時期で避けるべきは、まったく考えていなかった学校を次々と受験プランに加えたり、受験する学校のラインナップを大幅に変えたりすることです。これらは、子供の大きな負担となるため避けましょう。

12月以降は、出願などの準備が増える時期でもあります。入試直前まで不確定な要素がある時期でもありますが、こうした時期だからこそ受験校の軸や、受検戦略をあらかじめ決めておくと安心です。何か変更があるとするなら、子供の勉強の調子によって「安全校に寄せる」「強気で攻める」など、仮決定していた併願戦略を選択するようにしましょう。

志望校決定に向けた模試の活用方法

6年生は、志望校合格に向けて模試を活用することが特に欠かせません。例年のスケジュールに基づいて、志望校決定に向けた模試の活用方法についてお伝えします。

7月までの模試

7月までの模試は「弱点を発見する役割」としての活用はもちろん、志望校決定に関する大きな材料にもなります。7月までの模試の成績を参考にしながら、志望校を決定していきましょう。

9月以降の模試

9月以降の模試は、志望校決定のツールとしてよりも、本番に向けての得点力強化や、弱点克服のために活用するという意味合いが大きくなります。

9月頃になると、基本的には第一志望校が決まっていることでしょう。ここで気をつけたいのが、「9月の成績が上がったからレベルの高い学校にしよう」「10月は下がったから志望校を下げよう」などと、テストの結果が返ってくるたびに志望校を変更してしまうことです。併願プランの軸がぶれてしまうだけでなく、気持ちの面でも子供自身が自分を見失ってしまうことにつながりかねません。

まずは模試の結果に一喜一憂せず、結果を受け止めることが大切です。志望校合格に向けての「弱点補強」に向き合い、入試問題を解ける力を身につけましょう。

子供にとって「ナンバーワン」の学校探しを

子供に合った学校は、偏差値やブランドだけで決まるわけではありません。全国の中学校のなかには、子供にとっての「ナンバーワン」の学校があるはずです。しかし志望校や併願校を決めることは、悩みや不安との戦いという一面もあります。もしも悩んでしまったときは、以下の2点を意識するようにしてください。

・冷静な判断を忘れない
・主役は子供、親はサポーター

冷静な判断を忘れない

志望校の併願は、子供の成績を客観的に見たうえでの判断が必要です。たしかに、「偏差値〇以下は受けさせない」というのはひとつの考え方です。しかし偏差値の高低は、学校の良し悪しを表しているわけではありません。極端な話、子供の偏差値が50ほどだった場合、偏差値70以上の学校ばかりを受け続ければ失敗してしまう可能性は大きくなります。事実、受験が近づき焦っていると、こうした極端な考えに走ってしまうことは少なくありません。そのため、不安なときこそ子供の成績を冷静に踏まえた併願プランを組みましょう。

主役は子供、親はサポーター

志望校は、親子で納得して決めることが重要です。しかし子供が行きたいと思っている志望校と、親が行かせたいと思っている志望校は、必ずしも一致しないことがあります。

ここで今一度考えたいのが、入学後に学校生活を送るのは「子供自身」ということです。受験の主役は子供、親はあくまでサポーターです。子供の希望を親が前向きに尊重し、お互いに納得したうえで入試に臨んでほしいと思います。そのうえで子供が合格に向けて力を最大限に発揮できるように、サポートに努めてあげてください。

※記事の内容は執筆時点のものです

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