中学受験ノウハウ ミス対策

勘違いの解答ミスが多い子は「ミスノート」で対策しよう

2018年8月03日 小坂井さと子

問題を解いているときに、その設問で聞かれていることと別のことを答えてしまう、という間違え方をよくしてしまう子供がいます。でも、「問題をよく読んで」「もっと気をつけて」と言うだけでは、そんな子供の間違いをなくすことはできません。ここではそんな間違いをしてしまう心理に焦点を当て、対策を紹介します。

間違った思い込みが多いA君

■実例
A君は問題の読み間違いが多く、「円周を求めなさい」とあるのに面積を求めてしまったり、「すべて選びなさい」という設問なのにひとつしか選ばなかったり、というミスをくり返しています。「問題文、よく読んだのに。3回もくり返して読んだのに……」と最近は元気がありません。

このミスをしてしまいがちな子供のタイプ

・頭の回転が速く、本やマンガを読むのも速い
・せっかちですぐに答えを出したがる
・段階を追って考えるのが苦手

別のことを答えてしまうのは「間違った思い込み」が原因

ここでとりあげるのは、設問で「この図形の周囲の長さを求めなさい」と言われているのに、その図形の面積を答えてしまうような誤りのことです。この場合、面積を求める手順・計算に間違いがなくても、正答にはなりません。

計算間違いや約分忘れのような、考え方や判断は間違っていないのに行動の面でエラーを犯してしまう失敗を、心理学では「アクションスリップ」と呼びます。

それに対し、考え方や判断の段階で犯してしまうミスを「ミステイク」と呼んで、それぞれを異なったタイプのエラーであると考えます。

周囲の長さを問われているのに面積を答えてしまうような間違え方は、この「ミステイク」にあたると考えられます。「図形なら面積を聞かれるだろう」という思い込みにより、何を答えなければならないのかの判断を間違えている、というわけです。

アクションスリップは、自分でも「やってしまった!」とすぐ気がつくのに対し、ミステイクは表面化しにくいという問題があります。また、間違っても、「ただのケアレスミス。次から気をつけよう」と、自分が間違った思い込みをしていることに気づかないことが多いのです。くり返し同じような間違え方をしてしまう場合は、どこかで誤った思い込みをしていないかを見極め、その箇所を突き止める必要があります。

「ミス・ノート」で間違った思い込みを見つける

「ミステイク」は、先の例のほかにもいくつかのパターンがあります。

「正しいものを選びなさい」と言われているのに間違っているものを答えてしまったりするような間違いも、「選択問題なら正しい答えを選ぶんだろう」というような思い込みに起因するといえ、この「ミステイク」に当てはまります。

複雑な例だと、理科の電磁誘導に関する問題で、問題図にあるS極とN極の位置から電流の向きを判断しなければならないのに、「以前に見た図がそうだったから」というような理由で電流が右から左に流れると考えてしまうようなケースがあります。これを「うっかり電流の向きを逆だと思ってしまった」と思っていると、次に類似の問題が出てきたときに、同じ失敗をくり返すことになります。

同様に、太陽の公転周期の図で、地軸の傾きの向きから方角を判断しなければならないようなときも、教科書で見た図と同じ方角を無意識に当てはめてしまう危険があります。

こういった「電流は右から左に流れる」「天体の図なら奥が南で手前が北」、「円の図形が出てきたら面積を答える」「選択問題は正しいものを選ぶ」……頭の中に、そんな間違った思い込みができてしまっていないでしょうか?

そういった思い込みに気づくのに役立つのが、自分の間違ったところをまとめる「ミス・ノート」です。テストで間違えたら、問題文も、図も、グラフもすべて自分のノートに写します。そうやってたくさんの間違いを集積することで、間違いの共通点、すなわち自分の間違った思い込みに、自分で気づくことができるのです。

自分のクセを知ってミスを未然に防ぐ

間違った思い込みをしやすい子供は、多くの場合「早くできる自分」に自信を持っています。親としてはその強みは認めてやりつつも、内容を正確に理解し、聞かれていることに対して適切に答えるためには、落ち着いて、段階を踏んで考えることが必要なことを理解させることが大切です。

学校でも、まるでクイズ番組のように、条件反射的にすぐに答えを出せる能力の方が、黙ってじっくり考えるよりも高く評価される傾向があります。けれども、粘り強く考える力のある子供は、将来かならず伸びます。その力を小学生のうちに、しっかりと養ってあげてください。

※記事の内容は執筆時点のものです

この記事の著者

学習塾講師・ライター。大学卒業後、10年間予備校に勤務。結婚、出産を機に退職し、その後は自分の子や近所の子に教えたり、寺子屋式塾で教えたりを続ける。受験生、受験指導、受験生の母親と3つの立場で受験と関わって30年。無事に大学生になった子供は、この春より塾でアルバイトを開始。自分が学んだことを教え子と分かち合い、さらにそこから学びを深めるという道筋を、わが子もたどってくれることに喜びを感じている。