中学受験ノウハウ 転塾

塾を変えたほうがいい? 転塾する前に確認したいこと3つ

2018年8月03日 横井めぐみ

学校の授業では習わないような問題が出題される中学受験では、子供を進学塾に通わせる家庭が大半でしょう。塾に通っているのに成績が伸びない、明らかに勉強のモチベーションが下がっている、もしくは子供が塾に通いたがらないと言った場合、転塾を考える人は少なくありません。

しかし、転塾は必ずしも成功するとはかぎらず、子供に合う塾をずっと探し続ける「塾ジプシー」になる危険性をはらんでいます。安易に転塾をするのではなく、まずは通っている塾に以下の3点を確認してから、転塾を考えることをおすすめします。

転塾前に確認したいこと1 ― いま通っている塾では、志望校合格までのプランを立てられないのか

塾通いをさせる保護者の多くは、大手進学塾から地元の学習塾まで、よく比較検討したうえで入塾させると思います。しかし、入塾の時点で「明確に」志望校が固まっているご家庭はさほど多くないのが実情でしょう。したがって、合格実績よりも「通いやすさ」や「相性」を重視して通塾先を決めるご家庭が多いと感じます。

「通いやすさ」や「相性」を重視して塾を選んだ場合、学年が進んで志望校が明確になると、あとになって塾の合格実績が不安に思えるケースが出てきます。「最初はこの塾でいいと思っていたけど、実績のある大手塾に転塾させたほうがよいのでは……?」と考えてしまうのです。

こういった場合、念頭に置かなくてはならないのは、大手塾に転塾させたからと言って必ずしも成績がアップするとは限らないということです。安易に塾を変えるのではなく、まずは通っている塾に相談をしてみるのがよいでしょう。

塾としても合格実績が出るのはうれしいことですから、お子さんの志望校へ向けてのバックアップをしてくれる場合もあります。

また、夏期講習など長期休みの講習のみ大手塾に通ったり、志望校実践模試を受けたりすることで解決する場合もあります。

最近では受験校の情報はインターネットなどで容易につかめます。塾を合格実績だけで考えず、子供にとって一番成果の出せる状態、「習ったことが定着している」と実感できる塾を考えるべきでしょう。

「今の塾は子供に合っているが、実績面が不安で……」と言う場合は、安易に転塾せずに、「今の塾の講師陣と連携して合格までのプランを立てられないか?」という点を確認しましょう。

転塾前に確認したいこと2 ― 転塾ではなく、校舎・クラス替えで解決できないか

「突然塾に行きたくなくなる」、「特定の先生に苦手意識を持っている」――こういった場合も、子供と保護者だけで悩んでいるよりは、塾に相談したほうがよいです。

進学塾によっては、授業のかじ取りが講師に一任されているところも少なくありません。相性の良い講師と巡り会って成績が伸びることもありますが、その逆もあります。

講師によって授業スタイルが違うというのもよくあることです。挙手制や指名制で授業を進めることもあれば、講師からの講義をメインにするスタイルもあります。指名されることで極度の緊張感を持つ生徒は指名制では授業に集中できませんし、話を聞くのが苦手な生徒は講義メインの授業に苦手意識があります。

これは、人気講師だからよく、そうでないから悪いということではなく、子供との相性による面が大きいと感じます。ですから、子供が家に帰ってきてから塾の話をする際などに、担当している講師を不安に思っていないか、よく耳を傾けてみてください。

「うちの子、講師との相性が悪いんじゃ……?」となったら、まずは塾に相談です。塾によっては要望によって校舎やクラスを変えてくれる場合もあります。塾の教室長は他校舎の情報を持っていますので、「それなら○○校舎の〇○先生がいいですよ」などと教えてくれるかもしれません。

転塾前に確認したいこと3 ― 家庭でモチベーションを上げる働きかけができているか

進学塾では子供たちのモチベーションを上げるために、成績別のクラス分けがされたり、成績が貼り出されたりします。成績が上がっている場合はこれがプラスに働くのですが、自分の成績が思うように伸びないと、逆にモチベーションが低下して「塾をやめたい」と思ってしまう子供がいます。

転塾によって心機一転がんばれるのならばよいのですが、転塾先でもやはり成績アップへのプレッシャーは生じます。しばらくたってまた成績が上がらずモチベーションが低下し、再度の転塾を検討する……となっては目も当てられません。

そもそも、子供が勉強するモチベーションを保つには、塾だけでなく、家庭内でのフォローがどうしても必要になります。モチベーションの問題で転塾を考えるのであれば、まず先に家庭でモチベーションを保つためのフォローがしっかりできているかを振り返ってみるべきです。

ときには保護者が向き合い、一緒に勉強することも必要でしょう。テストの前に保護者が主体となってテストの基本事項をもう一度見直して理解させるなど、知識の定着をはかるようなフォローができるとよいです。そうやって成績が上がったという成功体験の積み重ねが、子供にとっても財産になるからです。

まとめ ― 転塾にはリスクもあるので慎重に!

ここまで紹介した3つの点を考慮してもやはり転塾が望ましいと思えるような状況――例えば、悩みに対して塾の講師がまともに話を聞いてくれないというような場合。こういった場合ならば、最終的には転塾を決断しなければならないでしょう。しかし、準備期間の限られる中学受験において、無計画な転塾は子供にとってもマイナスになるリスクがあります。本当に転塾でしか問題を解決できないのか、しっかり考えたうえで決断しましょう。

※記事の内容は執筆時点のものです

この記事の著者

進学指導塾講師。主な指導科目は算数(数学)、英語、社会。小学生から高校3年生までを指導。大阪大学卒業後、企業の総務人事、大学の学習支援課で働きながら、家庭教師としてさまざまな生徒を志望校に合格させた実績を持つ。私生活では2児の母。子供、保護者、いずれの立場も理解した講師・ライターとして活動中。