合否を分ける中学受験「社会」の学び方(13)|塾の理屈、子供のキモチ
こんにちは。中学受験専門の個別指導教室「SS-1」教務主任の馬屋原です。
公民を最速で得意にする方法は、「誰かに『わかるまで』説明してもらうこと」なのですが、その「説明」を塾任せにするのは少し危険、というのが今回のテーマです。
集団塾の短期間のカリキュラムで公民を教えることは物理的に不可能
たとえば、四谷大塚のカリキュラムでは6年上の第2回で「国会のはたらき」について学びます。
ちなみにその回のサブタイトルは、「1:国会の地位、2:二院制、3:国会の種類、4:国会の運営、5:国会の仕事、6:衆議院の優越、7:政党政治、(+選挙制度)」です。
これを小学生相手に1週間(1回~2回の授業)で解説しろと言うのですか!?
というのが多くの塾の先生たちのホンネです。
本当に生徒たちが「わかるまで」説明しようとすると、たとえば「5:国会の仕事」のひとつ、「法律の制定」について説明するだけでも、間違いなく30分はかかります。
100歩譲って夏期講習や秋以降の復習回の授業であれば、これだけの内容を1回の授業で扱うことも可能かもしれません。それでも上位生しかついて来られないでしょうが。
しかし、このテキストは小6上の第2回なのです。公民が始まって2回目。導入もいいところです。
公民の学び方はもちろん、公民で何を学ぶのかもよく分かっていない生徒たちを相手に、1週間の授業でこれだけの量を解説するよう要求されている塾の先生たちの方がかわいそうになってくるレベルです。
塾の理屈
しかし、塾には塾の理屈があります。いいのです、1回の授業ですべてを理解してくれなくても。
その週のテストは解けないかもしれないけれど、また成績が伸び悩んで家庭の雰囲気は暗くなるかもしれないけれど、それはそれで仕方ないことなのです。この先、演習の機会はいくらでもあります。
その際、先生がクラスの多くのお子さんが理解できていないと感じれば、先生は何回も説明してくれるでしょう。その繰り返しの中で理解を深めていけばいいのです。過去問演習だって始まります。
自分の力で正しい「直し」ができる子は非常に限られていますが、まあ、似たような問題を何回も解けばだいたいできるようになるでしょう。入試本番までのどこかで「わかる」ところまで到達できれば問題ありません。
子供のキモチ
塾の先生たちを批判するつもりは一切ありません。私が今しているのは「システム」の話です。
今の中学受験の社会は、集団塾のシステムでは、ひとりひとりが「わかるまで」説明するのがかなり難しいところまでレベルが上がってきているのです。
そしてその弊害がもっとも顕著に表れるのが、キーワードの抽象度がハネ上がる「公民」なのです。
そもそものところがわかっていないのに、宿題やテストには出される。これはお子さんにとっては非常に大きなストレスです。
その状況を「仕方のないこと」として耐えるのか、あるいは早いうちから「誰かに『わかるまで』説明してもらえるのか」。ここが公民を効率よく学ぶ上で、もっとも重要なポイントのひとつです。
とはいえ、「それでは私が教えてあげよう」と思っても、実際にテキストを開いてみると、どこから手を付ければ良いか分からなくなってしまう保護者の方も多いようです。
次回は、公民ではそもそも具体的に何を学んでいるのか、どのあたりをおさえていれば「分かった」ということになるのか、そのあたりについて具体的に掘り下げていきます。
ぜひ、またお越しいただけますと嬉しく思います。
※この記事は「マイナビ家庭教師」Webサイトに掲載されたコラムを再編集のうえ転載したものです
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