連載 合否を分ける中学受験「社会」の学び方

合否を分ける中学受験「社会」の学び方(14)|「公民」って結局何を学ぶの?

専門家・プロ
2016年4月26日 馬屋原吉博

こんにちは。中学受験専門の個別指導教室「SS-1」教務主任の馬屋原です。

「公民」って結局何を学ぶの? というのが今回のテーマです。

「世の中」を学ぶ

社会とは、平たく言えば「世の中」について学ぶ科目です。

「世界の横の広がり」というX軸について学ぶのが「地理」だとすると、「時の流れ」というY軸について学ぶのが「歴史」、そして「今の世の中の仕組み」というZ軸について学ぶのが「公民」です。

この3つの視点から見える景色を掛け合わせたものとして「世の中」を捉えていくことこそが「社会」を学ぶということです。

「公民」では「今の世の中の仕組み」、すなわち「政治」についての学習が9割を占めます。「政治」について、国政・地方自治・国際社会に分けて学んでいくのが、公民の学習のメインです。

残りの1割は「経済」です。世の中とは切っても切れないお金の流れについてもきちんと学びます。

「政治」とは何か

「政治」とは何か、という問いはそう簡単に結論の出る問いではありませんが、今のところ子供たちには「政治とはルールづくりのことだ」と説明しています。

「細部にこだわる(=ウソを教えない)」のはとても重要なことですが、子供たちの社会の得点力を伸ばすためには、ときにイメージをザックリと伝えることも重要です。

政治とはルールづくりのことであり、日本という国でいちばん「エラい」ルールは憲法だということになっています。

したがって公民ではまず「憲法」について勉強するのですよ、という説明の仕方です。

日本国憲法の三大原則

日本国憲法の学習は「三大原則」について学ぶところから始まります。

「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」です。

この三大原則は「大日本帝国憲法」と対比する形で整理していくのが良い学び方です。この「対比」というのは公民の学び方を語るうえでは外せない要素なのですが、ここでは触れません。

三大原則のうち、「国民主権」に関しては、このあと国政や地方自治について学ぶ際にひたすら言及されます。公民の学習がスタートして間もない時点では、日本国憲法第1条の穴埋め問題に対応できて、かつ「主権とは何か」という問いに正確に答えられれば及第点です。

「平和主義」に関しては、9条の穴埋めを除くと、自衛隊やPKOの歴史、集団的自衛権に関する話題と絡めて出題されることが多いです。したがって、どちらかというと入試直前期の時事問題対策の中で集中的に学ぶこととなります。

残るは「基本的人権」の理解です。

この「基本的人権」がちょっとやっかいな、公民を学ぶうえで最初の山場です。

基本的人権をひとつ、言ってみよう

突然ですが、「基本的人権をひとつ言ってみて」と言われたらお子さんはなんと答えるでしょうか。あるいは皆さんはなんとお答えになりますか?

問いは「ひとつ言ってみて」ですから、基本的人権である限り何を答えても良いのですが、ここでなんと答えるかに理解度の差が表れます。

「自由権」か「平等権」と答えられたお子さんはさすがです。

「社会権」も悪くない答えです。ただ、「自由権」「平等権」の方がベターかもしれません。

「生存権」と答えられたお子さんはよく勉強しています。

ただ、ちょっと注意が必要かもしれません。

基本的人権に関する学習の何がどうやっかいなのか。「基本的人権をひとつ言ってみて?」と言われて「生存権」と答えるお子さんに、何を意識してもらう必要があるのか、次回はそこを掘り下げてみます。

またお越しいただけますと嬉しく思います。

※この記事は「マイナビ家庭教師」Webサイトに掲載されたコラムを再編集のうえ転載したものです


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※記事の内容は執筆時点のものです

馬屋原吉博
この記事の著者
馬屋原吉博 専門家・プロ

中学受験専門のプロ個別指導教室SS-1副代表・社会科教務主任
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員

うまやはら よしひろ大手予備校・進学塾で、大学受験・高校受験・中学受験の指導経験を積み、現在は完全1対1・常時保護者の見学可、という環境で中学受験指導に専念している。必死に覚えた膨大な知識で混乱している生徒の頭の中を整理し、テストで使える状態にする指導が好評。バラバラだった知識同士がつながりを持ち始め、みるみる立体的になっていく授業は、生徒はもちろん、保護者も楽しめると絶大な支持を得ている。著書に『頭がよくなる 謎解き 社会ドリル』(かんき出版)、『CD2枚で古代から現代まで 聞くだけで一気にわかる日本史』(アスコム社)、『中学受験 見るだけでわかる社会のツボ』(青春出版社)などがある。

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