連載 合否を分ける中学受験「社会」の学び方

合否を分ける中学受験「社会」の学び方(24)|社会の記述問題は、頭が良い子ほど得点できない

専門家・プロ
2016年10月18日 馬屋原吉博

こんにちは。中学受験専門の個別指導教室「SS-1」教務主任の馬屋原です。

さて、過去問演習が本格的に始まると、「記述問題ができません」というお悩みが頻繁に寄せられます。というわけで、今回は「記述問題を書けるようにするための勉強法」について考えてみます。

社会の記述は「思考力」を問う問題ではない

まず、誤解してはいけないのは「社会の記述は考えて解く問題ではない」ということです。

麻布や海城に代表されるごく一部の学校を除き、9割以上の学校で出題される社会の記述問題は「知識問題」です。すなわち「暗記で対応する問題」です。

記述問題というと、なにやら思考力を問うイメージがありますので、いざ入試問題にチャレンジしたとき、お子さんが記述問題に対応できていないのを見ると、

「うちの子、頭が悪いんじゃないかしら……」

と心配になる保護者の方も少なくないようですが、そうではありません。

むしろ社会の記述には「頭が良い子ほど得点できない」という特徴があります。

社会の記述は頭が良い子ほど得点できない

「頭が良い子」は、基本的に理屈や因果関係の部分をしっかり理解しています。

そのため、自分の言葉で説明できてしまうのです。

これがワナです。

たとえば、

高冷地農業や促成栽培のメリットはなんですか

という定番の記述問題に対して、社会が得意な頭の回転の速い受験生は、どうにかこうにか、自分の言葉で説明しようとします。その結果次のような解答ができあがります。

「食べられるときとは違うときにつくることで高い値段で売れるからもうかる。」

理屈は間違いなくあっています。したがって×にはならないかもしれません。しかし文章としては非常に心許なく、1点2点を争う入試で「満点」がとれるかはわかりません。

理屈を理解することは非常に重要です。しかし、それだけでは不十分なのです。

記述に強くなるための第一歩は模範解答を「写す」こと!

記述問題を書けるようにするためのもっとも重要な勉強は、「定番の記述問題の解答を丸暗記する」ことです。そうすることで、得点がもらえる解答を作るための「言葉(表現)」を文単位でストックしていくのです。

ちなみに、上の問題には

時期をずらして出荷することで、より高い価格で売れること。

と答えれば満点です。

あれこれ考えず、「高冷地農業」や「促成栽培」について何か書け、と言われたときに、とりあえず「時期をずらして出荷」という表現がパッと出てくるかどうかが勝負の分かれ目です。

社会の記述で「思考力」が求められる学校は本当にごく一部で、あの開成だって例外ではありません。というわけで、直前期、特に「頭が良い」開成志望の男子諸君とは、正座をして(笑)、四谷大塚の『四科のまとめ』の1行記述の模範解答をただひたすら清書していく、という授業をすることがあります。

厳しくやれば字を丁寧に書く訓練にもなりますし、いいことずくめです。

次回はその例外、すなわち定番問題の暗記だけでは対応できない入試問題に対する対応策について考えてみます。またお越しいただけますと嬉しく思います。

※この記事は「マイナビ家庭教師」Webサイトに掲載されたコラムを再編集のうえ転載したものです


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※記事の内容は執筆時点のものです

馬屋原吉博
この記事の著者
馬屋原吉博 専門家・プロ

中学受験専門のプロ個別指導教室SS-1副代表・社会科教務主任
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員

うまやはら よしひろ大手予備校・進学塾で、大学受験・高校受験・中学受験の指導経験を積み、現在は完全1対1・常時保護者の見学可、という環境で中学受験指導に専念している。必死に覚えた膨大な知識で混乱している生徒の頭の中を整理し、テストで使える状態にする指導が好評。バラバラだった知識同士がつながりを持ち始め、みるみる立体的になっていく授業は、生徒はもちろん、保護者も楽しめると絶大な支持を得ている。著書に『頭がよくなる 謎解き 社会ドリル』(かんき出版)、『CD2枚で古代から現代まで 聞くだけで一気にわかる日本史』(アスコム社)、『中学受験 見るだけでわかる社会のツボ』(青春出版社)などがある。

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