連載 脳を育てる勉強法|ドクター吉田

試験中に眠くなる……。低血糖が原因の「受験ハンガーノック」とは 受験医学のカリスマ、ドクター吉田の脳を育てる勉強法(9)

2016年10月17日 中学受験ナビ 編集部

「試験中に、突然、眠くなってしまって、問題が解けなくなっちゃいました……」

「問題を解いていたら、急にボッーとしてきて、半分、寝ているような状態でした……」

受験生を専門に扱う私のクリニックには、こうした症状を訴える生徒さんが来院されることがよくあります。

もちろん、睡眠不足なら眠くなるのは当たり前です。くつろいでいるときに眠くなるのも、よくあることです。でも、くつろいだ気分で試験を受けている人なんて、いませんね。さらに、睡眠不足でもないのに眠くなったとしたら、低血糖が原因で脳が働かなくなっている場合が多いのです。

これは「ハンガーノック」と呼ばれる現象です。最近の受験生に増えているため、私は広く警鐘を鳴らしています。

エネルギーの枯渇が「ハンガーノック」を引き起こす

「ハンガーノック」とは、過酷な運動などでエネルギーが枯渇し、血糖値が下がることによって、筋力が出なくなったり、思考が停止したりするものです。一般的には、マラソンや長距離のサイクリング競技で起こります。

受験の場合、筋力は使いませんが、実は、問題を解くためにブドウ糖を大量に消費しているのです。ですから、身体を動かさなくても「ハンガーノック」は起こりうるわけです。

幼い頃から甘いものを食べて育った子供は、特に注意してください。糖分が簡単に供給されるのに身体が慣れてしまっています。だから、自分の力で血糖値を維持する能力が発達していないので、「受験ハンガーノック」を起こしやすいのです。

また、運動不足の子供も注意が必要です。運動は、血糖値を維持する訓練になっています。それが不十分だと、試験中に低血糖を起こしやすくなるわけです。

さらに「受験うつ」など、メンタル面で不安定な人も要注意です。心の状態と血糖値が連動して不調を起こすためです。

イライラしていて親に暴言を吐き、部屋にこもって、お菓子をつまみながらゲームを楽しむ。これが「受験ハンガーノック」を最も起こしやすい人間像です。

「受験ハンガーノック」の予防にはバナナが最適

「受験ハンガーノック」を予防するには、試験前にバナナを食べるのがおすすめです。胃腸に負担をかけずに脳に糖分を供給できるうえに、単糖類、2糖類、オリゴ糖、炭水化物が、絶妙ともいえる配分なのです。食べた後、少なくとも1時間程度は血糖値が安定化します。

各科目の試験の前に、毎回、バナナを1本食べるというのが、理想的です。私のクリニックでは、この対策をとった受験生は、「受験ハンガーノック」が起きなくなりました。

※この記事は、「マイナビ家庭教師」Webサイトに掲載されたコラムを再編集のうえ転載したものです。


吉田たかよし(医学博士・心療内科医師)

灘中学、東京大学、国家公務員上級経済職試験、医師国家試験などの合格体験を元に、日本で初となる受験生専門の心療内科、本郷赤門前クリニックの院長を務める。カウンセリングと最新の磁気刺激治療を組み合わせ、「受験うつ」から早期回復を図るプログラムを開発。脳科学と医学を応用した受験指導にも取り組む。『今どきの大人を動かす「ほめ方」のコツ29』(文饗社)など著書60冊を上梓。

本郷赤門前クリニック
https://www.akamon-clinic.com/


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