連載 中学受験のイロハ 鳥居りんこ

何を見て学校を選ぶのか(トップを見てみよう)|中学受験のイロハ 鳥居りんこ(11)

専門家・プロ
2016年8月18日 鳥居りんこ

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これまでの回で「わが子の長所を伸ばしてもらえる」学校で、さらに「成績上位層にいられる」学校が良いという話をしてきました。

では、具体的になにをどうすれば、そういう学校だとわかるようになるのでしょうか?

校長先生の話がグッとくるかどうかが判断のポイント

まずは学校説明会に行かなければなりません。その学校が持つ個性・特徴(発する「発酵臭」)は、実際に行って嗅いでみなければわからないからです。

なかでも特に重視すべきは、学校長の話です。トップがなにを考え、なにを目指し、なにを発信しようとしているのかをじっくりと聞かなければならないのです。

もし、あなたが学校長の話の最中に「おっといけねぇ!うっかり寝ちまった!」という場合はもう、そこはあなたのご家庭とは合わないという証明になります。

笑い話のような話ですが、アタクシがいつ行っても「おっといけねぇ!」になる学校がありまして、何年経っても、どうしても(そりゃそうだ、話を聞けてないんだから)全体像が見えてこないのです。

「今年こそは頑張る!(寝ない!)」と決意するのですが、ここの校長は妖精ではないだろうか?と思うくらい、アタクシを含めた会場全体に眠り粉をかけまくるわけです。

そうこうしているうちに大幅改革があり、校長先生もかわりました。すると同じ敷地なんですが「え?」っていうくらい、学校の空気が変わったのです。

話の上手い下手ということよりも、多分、パッション(情熱)の問題だと思うのです。

危機感を持って学校運営をしているかどうかでも話は違ってきますが、もっと大きなことを言うならば、学校長が「教育の使命感に畏れと喜び」を持っているかが重要なんだと感じます。

生徒たちが愛着を持っている校長先生が率いる学校は間違いない

皆さんにわかりやすく「ここを見ろ」とお伝えするならば、次のポイントを挙げます。

「どや校長」がいるところ。

つまり生徒のことを「どや~!」と自慢しまくる校長のことです。

こういう校長先生、まあまあの確率で存在します。

ある人気校にも「どや校長」がおります。

「どや~!こんな卒業生がいてまんねん」
「どや~!わての生徒はこんなにいい子でっせ。聞きなはれや」

みたいな自慢話を始めます。

学校説明会だけではなく、朝礼などでも普通に「どや顔」が出るので「また校長の『どや』が始まったで~」と生徒は目配せしあうらしいですが、アタクシは自分の高校の校長がどんな話をしたかの記憶が一切ないので生徒の記憶に残っていくような話ができる校長のもとでの青春は羨ましいです。

こういう校長は生徒との距離が格段に近いんですね。

この学校で生徒さんが口々にこう言い出した場面に遭遇しました。

ある子が「校長先生は自分のことが好きなんだ」と言い出したのです。

「なんやかや怒っていても、校長先生はマイのことが好き」

すると、周りにいた生徒さんがこう言ったんです。

「えー? 校長はリナのことが好きなんだよ!」
「うっそー!? 校長はミサのことが好きなの!」
「違うよ、ウチこそ最高に好かれていると思う!」

校長がいかに自分のことを好きでいてくれるかという自慢をし合っていたんですね。

アタクシから見ると全員、怒られているようにしか見えないエピドードの数々だったのですが、きっと深い深い師弟愛を感じてのことだと思われます。全校生徒数1200名超。多分、生徒全員の名前が言えると思います、この校長。

皆さんも学校説明会に行ったときに、そこの在校生を見たら、こう聞いてみるといいと思います。

「校長先生のどんなところが好き?」

(ついでに言うと、生徒さんへの質問は必ずYES・NOでは答えられない質問をすることがポイントです。 YES・NO質問だと話が広がりにくいうえに、せっかく答えてくれる生徒さんの本音がイマイチ薄れるからです)

生徒たちが愛着を持っている校長先生が率いる学校は間違いないです。

 

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※この記事は、「マイナビ家庭教師」Webサイトに掲載されたコラムを再編集のうえ転載したものです。


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※記事の内容は執筆時点のものです

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