連載 中学受験のイロハ 鳥居りんこ

誰にとっても居心地が良い環境を探せ!|中学受験のイロハ 鳥居りんこ(14)

専門家・プロ
2016年9月08日 鳥居りんこ

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ここまで学校を見るときのポイントとして、

「校長先生の話を聞く」
「先生方が一枚岩であるかを知る努力をする」

ということを挙げました。

もうひとつのポイントとして、次の視点で学校を見ることをお勧めしたいと思います。

「イケてない」と感じる子でも充実できるかどうか

あなたのお子さん「イケてますか?」

「わが子はクラスの中心で、自慢で自慢で仕方がない!」

という母は、そのまま自分のご家庭の趣味嗜好に突っ走っても問題ないです。

問題は母がわが子を見て「この子、イケてないなぁ……」感を持ってしまうケースです。でもご安心ください。これはほとんどの母にあてはまるので、あなただけの感覚ではありません。

母から見れば、わが子は大変可愛い、目の中に入れても痛くない存在ではあるのですが、それでも、無理矢理に客観的に見た場合、ルックスも学業もスポーツも人望も「イケてる」感があまり漂ってこないということを指します。

こういう母こそ、オープンスクール、あるいは文化祭のときには注視して学校を見てください。一見、日が当たらないように思える部活、展示等を丁寧に見ることをお勧めします。

ある学校でこういうことがありました

文化祭があったので、アタクシは見学に出かけたのです。たまたまそこの先生がわざわざ校内を案内してくださいました。

アタクシは当然、全国レベルの実績を残しているクラブであるとか、優秀な調べ物を展示しているブースとか、ミスターなんとかのコンテストとか、見た目が派手なところ中心に見せてくれるのかなと思いながら、その先生にくっついて歩いていたのですが、その思惑は見事に外れました。

その先生は一般的に考えて、日が当たらないような地味な展示をやっているブースをひとつずつ丁寧に見せてくれたのです。

当然、そこには生徒さんが説明要員として立っておられますから、アタクシは質問をします。

それぞれの生徒さんは皆、饒舌とは言えないまでも一生懸命、説明してくれました。その先生は少し離れた位置にいながら、時々、アタクシに近づいてきて、耳打ちします。

「今、話していた生徒は中学時代、不登校でした。しかし、本人の努力で頑張って通えるようになり、今こうやって自分の方向性を模索しているところです。立派です」

「あの生徒は過去、部活で人間関係がうまくいかないことがあり、大変、苦労したのですが、見てください。今や、部長となり、後輩を引っ張るリーダーになっています」

ものすごく印象的だったのは、この先生の次の言葉です。

「我々にはどの子も可愛く、自慢です。どの子にも本校で自信を持って、伸びやかに過ごしてくれることを願って、日々指導しております」

これまでの回で「成績は上の方がいいよ~」ですとか「可愛がられるタイプが学校によって違うよ~」などと、こじゃれたことを申し上げて参りました。

その考えは変わりませんが、できれば、上記に挙げたような「どの子にも等しくチャンスを」と明確な方針(とは言っても明文化はされておりません)があり、「誰にとっても居心地が良い環境」が整っている学校をおすすめします。

「地味めな生徒さん」に声をかけてみよう

もし、校内で「地味めな生徒さん」を見つけたならば、そのブースで聞いてみてください。

  • 学校生活のどういうところが気に入っているか
  • この文化祭、あるいはオープンスクールの自らの展示物、催しのどこが推しポイントか
  • 自分はこの学校に入って成長している実感があるか

生徒さんたちは間違いなく純粋でひたむきです。例え、一期一会の知らないオバさんにも正直に答えてくれます。

地味だなと感じた生徒さんが意外にも充実の時を過ごしていることが感じられ、その数が多かったならば、そこはあなたのご家庭にとっての運命の学校かもしれません。

目立つ子だけではなく、目立たない子にも目を配り、ぬくもりを与えている学校に在籍することは、どの子にとっても充実の6年間になります。

※この記事は、「マイナビ家庭教師」Webサイトに掲載されたコラムを再編集のうえ転載したものです。


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※記事の内容は執筆時点のものです

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