連載 中学受験のイロハ 鳥居りんこ

志望校選びは「外せないポイント」を大切にしましょう|中学受験のイロハ 鳥居りんこ(15)

専門家・プロ
2016年9月15日 鳥居りんこ

10余年くらい前の笑い話です。

神奈川の私学の先生方を前に講演という名の漫談をさせて頂いたことがあります。

その時のお題は「保護者は学校の何を見て志望校にするのか?」というようなものであったと記憶しております。

(このことからも私学が生き残りを賭けて、努力しているということがおわかり頂けると思います)

アタクシはその時にあくまで自分の経験談と称して、次のように述べました。

「先生、私は墓と坂がダメなんです~~」

(韻を踏んでます!(^.^)/~~~)

先生方が全員、その場でのけぞったシーンは忘れることはできません。墓がダメなのは単純に怖いからです。

「墓と坂」がNGだったので神奈川の学校をあきらめました……

藤嶺藤沢という歴史ある学校が神奈川にありますが、まだアタクシが中学受験初心者の母だった頃、その学校の説明会に出かけたことがありました。とても良い雰囲気の学校ですが、当時のアタクシには、ひとつだけどうしても気になることがありました。

遊行寺の境内に隣接している学校のため、お墓を通り抜けねば、学校にたどり着けないのです。

現校長の濱谷先生は大量のファンを獲得している誰もが認めるカリスマ校長ですが、当時は教頭先生でした。学校説明会終了後、アタクシは濱谷先生を捕まえ、こう言ったのです。(当然、初対面です)

「せんせーい(泣)。私、墓が怖いんです!ここに、ウチの子が入学したら毎日、お墓を通り抜けて通学することになるんですよね?(震)」

いまだに忘れられませんが、濱谷先生はその場で爆笑されました。そして豪快にこうおっしゃったのです。

「お母さん、本校には墓を通らない通学ルートもあります。そちらを通れば問題ない! それにしても、お母さん、(問題は)墓ですか~(大笑)」

アホ過ぎたために、ご記憶に鮮明に残ってしまったと想像しますが、それ以来、濱谷先生には大変可愛がっていただいております。

(何でも言ってみるものでしょう?(笑))

しかし、神奈川の私学に墓ルートは結構ございまして、アタクシは大変、悩んだ記憶がございます。とはいえ、わが子の6年冬を迎えた途端、アタクシは豹変しました。

「墓でもなんでもドンと来やがれ! 受からせてもらえるのなら、もうなんでもいい!」

講演に話を戻しましょう。

「墓」のほかにもうひとつ、「坂」がダメなんです。

神奈川の私学、特に女子校は坂が多いのです。その時、青山学院横浜英和に出向いたときの話をしました。

「あのそびえ立つ坂(階段)を目にして、登頂を断念しようかと思いました」

「横浜御三家は坂過ぎるから、もとよりダメで、西に下ればどうにかなるかと信じた北鎌倉までもが苦しく、聖園に至っては、『聖園よ、おまえもか……』と絶望的な気分を味わいました」

先生方は爆笑しておられましたが、ダメなのものはダメで、結局、アタクシは神奈川県人でありながら、神奈川を捨てたのです。

あなたにとって「外せないポイント」は何ですか?

何が言いたいかといえば、「こだわり」は意外と大事なんだよってことです。もちろん、受験するのも、通うのも子供です。親ではありません。それは百も承知ですが、親、特に母親が「ここ、嫌だな」って感じることは、いくら隠していても子供に伝染します。

できるならば、親が100%の気持ちで「ここ、いいね~!」って思える学校をわが子に紹介することが大切です。

「墓と坂」がダメだから、受験をやめるというアホな親はアタクシくらいかもしれませんが、例えば「トイレが綺麗でなければダメ」とか、「図書館の蔵書が多くなければダメ」とか、「校庭は広くなければ!」とか、「プールがなければ無理!」という個人的な、他人から見たら「どうでもええ!」と思える「こだわり」を大切にすることも、志望校選定には本当に重要なことになります。

志望校選定は「わがまま」目線で始めましょう。

※この記事は、「マイナビ家庭教師」Webサイトに掲載されたコラムを再編集のうえ転載したものです。


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※記事の内容は執筆時点のものです

鳥居りんこ
この記事の著者
鳥居りんこ 専門家・プロ

エッセイスト、教育・子育てアドバイザー&介護アドバイザー。「偏差値30からの中学受験」シリーズ(学研)などの著者。受験から子育てまでの講演・執筆活動多数。ブログでは、中学受験、大学受験、子どもと自分の就職、子育て、夫婦問題、老人介護問題、その他あらゆる女性が抱える難しくも、素敵な日々を綴っています。

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