連載 中学受験のイロハ 鳥居りんこ

共学・別学以外の中高一貫校の特徴|中学受験のイロハ 鳥居りんこ(31)

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2017年1月16日 鳥居りんこ

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第30回のコラムでは共学と別学について触れましたが、このほかにも私立中高一貫校の特徴として「宗教」があるかないかが出てきます。

宗教校はご存知のとおり、大まかには仏教・キリスト教・神教に分かれます。それぞれの宗教がその学校の建学の精神と教育理念の根幹になっているわけです。

しかし、ここ最近の流れとしてはどの学校も「宗教色」を前面に出してアピールすることには消極的で、うっすらとほのかに匂わせる程度に留めているのが実情です。

一応は「匂わせている」ので学校としては「宗教校」だということを承知で入って来てくれているものだと錯覚してしまうのですが、入った方から見ると「こんなに宗教臭かったっけ!?」と戸惑うケースも実はなきにしもあらずなんですね。

例えば「日曜礼拝」が必須に近かったり「修道院のようだ」と子供が感想を漏らすくらい、実は校則の締め付けが厳しかったという場合がそれに当たります。

ご家庭が子供の人生の精神的支柱を何に求めるのかでも、向かう道は違ってきますし、共学・別学と同じく、こればかりは各ご家庭の好みの問題なので、誰かが「これはあり得ない」という問題ではありません。

これを踏まえて、ここでは単純に「お沙汰」について触れてみたいと思います。

私立中高一貫校では学力不足で「放校」という「お沙汰」が下る

当コラムでも何度か触れておりますが、私立中高一貫校は入試の一発勝負なので、一見、誰にでも開放してくれているように見えますが、実は「選民思想」に溢れる場所でもあると私は思っています。

経済力で選び、学力で選び、面接のある学校では特に「人柄及び家庭力」で選ぶという面は否めません。

「選ばれし民」が通うわけですが、ずっと選ばれっぱなしということはなく、途中で選ばれなくなる、つまり「放校」という「お沙汰」が下ることがあります。

これは校則違反などという「中学(高校)生らしくない」という行為で下ることは稀でして、学力つまり成績ですべてが決まることの方が圧倒的に多いです。

「お沙汰」が下る基準は宗教ごとに傾向がある

上の学年に上げる、あるいは高校内部進学を認めるという判断は最終的には校長が責を負うので、校長先生のお考え次第という場合も大いにあるのですが、大雑把な傾向はあります。

一番、緩やかで温情溢れるなぁと思うのは実は仏教校です。

修行僧には戒律は厳しいのかもしれませんが、仏様というものはいつも温かい手を差し出してくださるよなぁという実感があります。

次にお沙汰がそこまできつくないなぁと思うのは無宗教校です。無宗教校ではどこからか「俺が責任持つんで」とおっしゃる先生が現れて、救われるケースをたくさん目にしてきました。

その次にカトリック校。そして意外かもしれませんがプロテスタント校がこれに続きます。

当コラムの第5回でも触れましたが、私学はそれぞれの敷地内の範囲で教育することは得意なのですが、そこから1ミリでも敷地外に出た者にはいきなり背中を向ける傾向があるのです。

それが上記逆順位になるほど顕著になります。

このことを理解したうえで是非、お子さんに合った無理のない学校選択をして頂きたいと切に願っています。

※この記事は、「マイナビ家庭教師」Webサイトに掲載されたコラムを再編集のうえ転載したものです。


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※記事の内容は執筆時点のものです

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