抽象的思考ができるメリットとは? 受験勉強で頭の使い方を鍛えるコツ3選
国語で論説文を読解するとき、「抽象論と具体例の区別が大切」といわれます。また、「中学以降の数学は算数よりも抽象的になる」という話を聞いたことがあるかもしれません。
そもそも「抽象」とは何なのでしょうか? そして、抽象的思考ができるとどのようなメリットがあり、どうすればそれを鍛えられるのでしょうか?
今回は、抽象的思考について解説し、その鍛え方を紹介します。
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そもそも「抽象」とは何か?
「抽象」の意味は、大辞林には「事物や表象を、ある性質・共通性・本質に着目し、それを抽き出して把握すること。」と書かれています。わかりやすい例を挙げてみましょう。
たとえば、カブトムシは、黒っぽい体の生物で、大きな角を持っています。樹液に集まる性質があります。チョウは、大きな羽で空を飛び、ストローのような口で花の蜜を吸います。カマキリは、緑色の体と大きな鎌状の前足が特徴です。他の生物を捉えて食べる肉食の生き物です。
カブトムシとチョウとカマキリは一見すると、全く別の生物です。しかし、頭・胸・腹に分かれた身体構造、6本の足、4枚の羽根という点で共通しています。この共通の特徴を持つ生物をまとめて「昆虫」といいます。
このように、カブトムシとチョウとカマキリを「昆虫」としてひとまとまりにすることが抽象化です。抽象化の家庭では、体の色やエサなど、共通しない特徴を無視しましたが、この作業を「捨象」といいます。
抽象的思考ができるメリット
抽象的思考ができると、どのようなメリットがあるのでしょうか? 中学受験の勉強に限定すれば、大きく2つ考えられます。
1つめは、暗記量が減るということです。算数で学ぶ「割合」をしっかり理解できていれば、割合の応用である確率や食塩水の濃度、湿度などの公式を覚える必要がなくなります。あるものが全体の中でどのくらいを占めているかが割合なので、計算方法はすべて共通だからです。
2つめは、応用力が高まるということです。明治時代以降の日本政府は「日本が欧米諸国の植民地にされるかもしれない」という危機感を常に抱いていました。このことを分かっていれば、江戸幕府が滅びた理由も、岩倉使節団が欧米に渡った理由も、日本が戦争に向かっていった理由も、大まかに想像できると思います。物事の本質から周辺へと理解を広げていく力が応用力です。
抽象的思考を鍛えるコツ3選
抽象的思考ができると、暗記事項が減り、応用力も高まります。そのため、上位校志望の中学受験生は、特に抽象的思考を鍛えるといいでしょう。その鍛え方のコツを3つ紹介します。
上位概念を意識させる
言葉には「上位概念」と「下位概念」があります。ある言葉を含む大きなグループを表す言葉がある場合、ある言葉が下位概念で、大きなグループを表す言葉を上位概念といいます。たとえば、犬、サル、クジラの上位概念は「哺乳類」です。
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