中学受験ノウハウ 親の関わり方

令和の中学受験に必要な非認知能力とは? 非認知能力育児のパイオニア・ボーク重子さんが語る【前編】

専門家・プロ
2024年1月22日 ボーク重子

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いま、教育現場で注目を集めている「非認知能力」。何が起こるか分からないこの激動の時代、IQやテスト、偏差値のように数値化された能力以外の、子どもたちの「生きる力」を育てることが強く求められています。

でも、一体どのようなサポートをすれば子どもの非認知能力を育てることができるのか、よく分からないのが大人側の実情ではないでしょうか。

そこで今回、中学受験ナビでは、書籍『子どもを壊さない中学受験 我が子を上手に導けるようになる3週間チャレンジ』(発行:KADOKAWA)を上梓されたボーク重子さんからお話を伺いました。

学力オンリーと考えがちな中学受験こそ、非認知能力が必要だと力説するボークさん。

伴走する親が非認知能力の視点を持たないと、テストや受験の結果を責めたり、子ども自身を否定したり、比較したりする“子どもを壊す”受験になってしまうって本当……?

気になる「中学受験と非認知能力の関係」について、前後編の2回に分けてお届けします。

見えない未来

令和の中学受験と親世代の受験の決定的違い、それはその先の「未来」が見えるか、見えないか

正解のある問題に正確に早く答えることが優秀の証明だった頃は「やればやっただけ豊かな未来」が見えていました。でもそれはすでに過去の話です。

今の小学4年生が高校を卒業する2030年には、今ある仕事の49%がAIに取って代わられると言われます。

それは一体どんな社会なのか?予測もつかない社会に私たちは子ども達を送り出そうとしているのです。

そこでは偏差値も大学名も一生の安泰を約束してはくれません。変化はますます加速していくでしょう。

その危機感から学力以外の能力、生きる力も育成しようと教育が変わってきています。

それを受けて受験も変わりつつあります。受験との関わり方も。

未来を切り開く力

最初から不合格を目指す受験はありません。

ですからどうしても「合格・不合格」という結果にフォーカスしがちですが、偏差値や学校名が一生を保証しない時代に、もっと大切なのは「プロセス」です。

つまり、受験期間を子どもがどのように過ごしたか?親がどのように子どもに接したか?

塾からこんなふうに言われたことはありませんか?

  • 「親の笑顔が一番。常に笑顔を意識してください!」
  • 「子どもの自己肯定感を高めましょう」
  • 「子どもの主体性を大切に」
  • 「やる気が出る声かけをしてください」
  • 「成績に一喜一憂しないように」
  • 「他の子と比較しないように」
  • 「見守る親になって大きな器でどっしりと構えて」
  • 「お子さんをありのままに受けとめて共感してあげてください」
  • 「家族のチームワークが大事です」

などなど。

これらは全て、学力と一緒に「ある能力」を育むためのアドバイスなのです。

中学受験において学力はほんの一部です。というか、この能力があるからこそ学力が効果的に育まれる、と言った方が良いかもしれません。

つまり、この能力が学力を支えている。そして学力だけではなく、これからの時代を生きるにはこの能力が不可欠なのです。

それは一体どんな能力なのでしょうか?

令和の中学受験の本当の意義

正解のない問題や想定外、初見の問題に直面する令和の子どもたちには、これまで以上にこんな能力が求められています。

  • 正解のない問題やわからない問題にぶち当たっても粘り強く、諦めない力
  • 柔軟な思考と想像力で問題解決を図っていく
  • 感情と行動をコントロールしてやるべきことをやるべき時にやる自制心
  • 「どうせ無理」より「やってみなくちゃわからない」と挑戦する自己効力感
  • 新しいこと、知らないことに興味津々で学びを楽しむ好奇心主体性
  • 凹んでも気持ちを立て直せる回復力
  • テストの結果や他者の評価にかかわらず自分を大切にする自己肯定感
  • ひとつがダメでも他の選択肢を考えられる柔軟性
  • 受験を自分事にする主体性モチベーション
  • 自分以外の他者を思いやれる共感力
  • 家族とのチームワーク(協働力

これらの能力は目に見えない能力で「非認知能力」と言われるものです。

2000年にノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマン教授の研究で「人生の幸せと成功に大きく寄与する」とされた力です。

学力と一緒にこれらの力を育むことが令和の中学受験には求められます。むしろ、これを身につける最高の機会が令和の中学受験なのだと思っています。

何しろ毎日テストの点数で評価されたり、やることがたくさんあって、周りもすごくて、できない問題もあって。その全てがこれらの能力を鍛える機会となるのですから。

令和の中学受験の意義は合格不合格ではなく、学力と一緒に非認知能力を鍛えることで、受験後に続く人生を最大にする術を身につけることなのではないでしょうか?

そしてそれを可能にするのが上記の塾からのアドバイスなのです。

親だからできるでしょ

上記はいずれも素敵なアドバイスなのですが、そんなことは百も承知。けれども、実際にやろうとしてもなかなかうまくいかない。

そうしてイライラが募り、時に爆発して自己嫌悪に陥り、子どもの自己肯定感は下がり、家族の仲はギクシャクして、家庭は険悪ムード。

そこに追い討ちをかけるのが「合格」というプレッシャーです。

親にも塾が必要

中学受験をすると決めたらまずは子どもの塾を探します。なぜなら塾には学力や偏差値を効果的にあげ、志望校対策などの情報と経験があるからです。

子どもには完璧なプロ、塾がついています。でも親には……。

自分たちの時とは違うのが今の中学受験だからこそ、親にも子どもの非認知能力を育む系統立てたサポートが必要です。

それには「アドバイス」では足りず、令和の中学受験を最高のプロセスに導くためのノウハウが必要です。

それを一冊にまとめたのが親のための中学受験塾『子どもを壊さない中学受験』です。

後編では、そこで学ぶ非認知能力とその育成法についてさらに詳しくお話しします。

中学受験を目指す親として、ハッとさせられるような視点を授けてくださったボークさん。

上梓されたばかりの書籍『子どもを壊さない中学受験 我が子を上手に導けるようになる3週間チャレンジ』(発行:KADOKAWA)を、中学受験ナビ会員様限定で本書を3名様にプレゼントします。

応募方法など詳しくは以下の記事をご覧ください。

※記事の内容は執筆時点のものです

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