連載 しあわせな中学受験

新タイプ入試が増加。多様化する中学入試|しあわせな中学受験にするために知っておきたいこと

専門家・プロ
2018年11月13日 中曽根陽子

2020年から大学入試が変わるのに先んじて、私立中学の入学試験も変化しています。特に目立つのが、新タイプ入試を導入する学校が増えていることです。

ここ2~3年で「英語入試」「思考力入試」「プレゼン入試」など、さまざまな新タイプ入試を導入する学校が急速に増えています。いったいどのような入試なのでしょうか?

2019年度 首都圏では150校ほどが導入の見込み

ここ数年、従来型の2科目・4科目入試に加えて、公立中高一貫校受検に対応した「適正検査型入試」を導入する学校がでてきました。

2018年入試では、「総合型入試」、「合科型入試」、「論述型入試」、「PISA 型入試」などさまざまな名称や形式の入試を実施する学校が、首都圏で136校に上っています。

2019年度はこれを大きく上回る150校ほどがこうした新タイプ入試を導入するとみられています。

新タイプ入試は新しい学力観を反映

私学が適性検査型入試を導入した背景は、当然のことながら公立中高一貫校の受験生が私学を併願校として考えられるようにという狙いからです。

しかし、爆発的に新タイプ入試を導入する学校が増えているのは、2020年度から実施される大学入試改革が影響しています。

というのも、2020年度から実施される大学入学共通テストをはじめ、新学習指導要領が定義している身につけたい学力は、従来の知識を習得したかどうかということだけでなく、その知識をもとにした思考力・判断力・表現力 、さらに主体性を持って多様な人々と共に学ぶ態度までを含めて学力の3要素としているからです。

今後、学校教育のなかでそうした力を身につけるためのさまざまな取り組みが行われていくと思われます。新タイプ入試は、そうした動きを先取りしたもので、多方面から受験生の力を測ろうという意図があるのです。

自分らしい受験スタイルを選べる時代に

新タイプ入試の種類は実に多様です。公立中高一貫校を意識した「適性検査型入試」のほかに、「総合型入試」、「記述・論述型入試」、「思考力入試」、「自己アピール(プレゼン型)入試」、「得意科目選択型入試」、「推薦入試」などさまざま。また、「英語入試」を実施する学校も増えています。

実際どのような入試が行われているのでしょう。

適性検査型入試、総合型入試

「適性検査型入試」、「総合型入試」というのは、基本的には公立中高一貫校の「適性検査型入試」と同様、4科目(国・算・社・理)の枠組みにとらわれない入試タイプです。

社会的な問題や出来事について述べられた文章・資料をもとに総合的に考察し、そこでわかったことや自分の考えを記述・論述形式で表現することが求められます。

公立中高一貫校を志望している人にとっては併願校になりますし、私立中学受験のための準備はしていないけれど、「書くこと」が好きとか、普段から身の回りや社会で起きている出来事について、いろいろな観点から考えることが好きだという子に向いている入試です。

思考力入試

「思考力入試」は、ペーパーテストで思考力を問う問題を中心に出題したり、グループワークで課題に取り組んだりする入試タイプです。

ユニークなものとしては、レゴブロックで作品をつくり、その制作過程で考えた自分の意見や考えを記述させる入試まであります。

英語入試

「英語入試」は、帰国生入試で行われてきましたが、小学校で英語が必修になることから導入が進んでいます。2018年には112校で実施されましたが、2019年入試ではさらに20校ほどが実施するといわれています。

出題レベルや入試形態はさまざまで、なかには筆記試験は課さず、英会話や面接での会話だけで英語力を測って評価してくれる学校や、英検など民間の検定のスコアで評価するところもあります。

自己アピール(プレゼン型)入試

「自己アピール(プレゼン型)入試」を実施する学校もあります。筆記試験は課さず、これまで取り組んできた活動や学習歴についての記録と、作文、面接(プレゼンテーション)を行って、子供がもっている潜在能力や意欲、集中力、継続力などを評価します。

習い事を継続しながらの受験も可能に

入試=ペーパーテストという考えが根強い親世代にとっては、これで本当に能力を測れるのかという疑問もわいてくるかもしれませんね。

しかし、ペーパーテストで測れる学力は前述した3要素の一面でしかありませんし、これからは、主体的に学ぶ意欲や思考力がより重視されていくといわれています。

実際こうした新タイプ入試を実施した学校では、新タイプ入試で入学してきた生徒が一般入試で入学した生徒とは違うポテンシャルを持っていて、いい意味でクラスをリードする存在になることが多く、刺激しあって相対的に学力が伸びていくケースもあるようです。

間口が広がったことで、好きな習い事やスポーツ、芸術、音楽や英語の学習などを受験勉強で中断することなく、中学入試にもチャレンジできるようになったのは良いことではないでしょうか。

※記事の内容は執筆時点のものです

中曽根陽子
この記事の著者
中曽根陽子 専門家・プロ

教育ジャーナリスト。小学館を出産のため退職後、「お母さんと子供達の笑顔のために」をコンセプトに数多くの本をプロデュース。子育て中の女性の視点を捉えた企画に定評がある。教育雑誌から経済誌、紙媒体からWeb連載まで幅広く執筆。中学受験に関しては「受験を親子の成長の機会に」という願いを込めて『1歩先行く中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』『後悔しない中学受験』(共に晶文社)『子どもがバケる学校を探せ』(ダイヤモンド社)などを執筆。教育現場への豊富な取材や海外の教育視察を元に、講演活動やワークショップもおこなっており、母親自身が新しい時代をデザインする力を育てる学びの場「Mother Quest」も主宰している。近著は『成功する子は「やりたいこと」を見つけている 子どもの「探究力」の育て方』(青春出版社)

1歩先行く中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい 成功する子は「やりたいこと」を見つけている 子どもの「探究力」の育て方