連載 下剋上受験

小学6年生の方へ|桜井信一コラム「下剋上受験」

専門家・プロ
2014年4月19日 桜井信一

桜井信一ブログ『父娘の記念受験』で過去に掲載されていた記事から、一部を編集して掲載しています。この記事の内容は 書かれたものです。

現在お子さんが小学校6年生で中学受験を予定しておられるという方へ少しお話しさせていただきたいと思います。

中卒に先輩風を吹かされてはたまったもんじゃないでしょうけれど、大事な時期ですからそこはぐっと堪えてそっぽ向いて聞いて欲しいと思います。

受験本番まであと9ヶ月になりました。
そろそろ志望校が固まっている頃でしょうか。
それともまだ迷っていて決め切れていない状態でしょうか。

まだ志望校を決めることができていない方のうち、お子さんの伸び代に期待して志望校を決め切れていない方がいらっしゃれば、尚更聞いて欲しいと思います。
また、4年生から塾通いをし、もう今の位置に慣れてしまいこのあたりが我が子の限界だろうと諦め気味の方がいらっしゃれば、是非聞いて欲しいと思います。

本の中でも書いていますが、私たちは1年5ヶ月前からスタートしました。
小学校5年生の2学期が始まる日でした。

中学受験塾ならある程度受身なので、言われたことをこなしているうちに慣れるのかもしれませんが、私たちは本当に手探り状態でしたので受験勉強らしい状態になるまでかなりの月日を要しました。

ちょうどみなさんと同じ小学校6年生の今頃はかなり基礎的なことをやっていました。焦って難しい勉強も取り入れましたが、まだそんなレベルではなかったので今から思うと時間の無駄だったと思います。

ここから9ヶ月を今までと同じことをしてしまうと、今の位置のまま9ヶ月後を迎えることになると思いますが、大幅に作戦を変えると大逆転をすることがじゅうぶん可能な時間が残っていると私は思います。

私たちは一緒に勉強をしましたが、小学生の成長は大人の予想を遥かに上回っていると感じました。私と娘では意欲の差もあると思いますが、一番の違いは「諦めた回数の少なさ」だと思います。要するに「諦める・妥協する」ということについて私よりも経験不足だったんだと思います。

到底無理なことを無謀だと気付かないその脳は、恐ろしく学力を伸ばします。中学受験塾の先輩例を参考にしていてはそこを見失うかもしれませんが、ここはひとつ、我が子は先輩とはひと味違うんだとひそかに信じて本来の志望校へ向けた取り組みを始めてみませんか。

勘違いしないでください(汗)
決して今通っておられる塾をやめて親塾で頑張りましょうなんて言ってませんよ(笑)

本の最後にも書きましたが、やはり大手の中学受験塾のノウハウはあの無茶な料金に見合うだけのクオリティだと思います。私たちは授業は経験していないのでよくわかりませんが、テキストがすごくよく出来ていると思いました。

きっと最短距離を通らせてくれるでしょう。しかし授業で算数の問題を解いたってどうせ1問か2問しか解説まで聞けませんよね? だから結局宿題勝負になると思うんです。つまり、自宅学習勝負ですね。

娘の通う中学校にもいますが、学校の授業だけで大丈夫な不思議な子がいます。この子たちを参考にしてはいけません。この子たちはきっと人間の着ぐるみを着た宇宙人なんです。後方から追い上げてくる子を減らすために宇宙から派遣されたギフテッドの遣いです。

だから私たち人間は、塾が終わったら即自宅学習なんです。そこが勝負です。塾がない日も自宅学習なんです。1問でも2問でもコマを進めなければゴールに近づけません。塾がない日にまた別の塾に行って習う人がいるようですが、私はちょっとその人たちに聞いてみたい。

「そんなに自宅学習が嫌いですか!」

今から秋までかなり伸びますよ。もうそりゃ無茶苦茶伸びますよ。そう言われていま頭の中で「これくらい伸びるかな?」と想像した方。

「そんなもんじゃありません!」

我が子をみくびってはいけません。もうそりゃ親の想像の658倍は伸びますよ。

「えっ? それじゃ偏差値表を突き抜けちゃうって?」

これだから大卒は頭が固いって言われるんです。
中学受験を9ヶ月前に控えた我が子に「大風呂敷」って語彙を教えるチャンスだと何故思えないのですか?

「そんな語彙は出題されないって?」

過去問をよく研究しているじゃないですか。それだけ研究しているのにどうして自宅学習しないのですか? もう一度言います。

「そんなに自宅学習が嫌いですか!」

冗談はそのへんにして……、いや、言っていることはホントですよ。言い方が冗談なだけ。中卒ですからね。普通に説明することに慣れていないんですよ(笑)先輩風も初めてですしね。

さて、何をどう頑張るかですが、すごい効き目のパワーストーンを紹介します。

「え? そろそろ真面目にやれって?」

あと9ヶ月ですから冗談に付き合っている暇はないですよね。

さて、何をどう頑張るかですが、まず算数の話しから。

計算問題を10問させてください。6年生ですからややこしいやつですよ。私の本に出てくるようなああいう分数と小数が混在した四則計算です。

それを、解かせるんじゃなく、横でじっと見ていてください。10問終わるまでは口出しせずにじっと注視するんです。

きっと「ちょっ、ちょっとお、そこはそうじゃなくてぇ~」とイラッとする場面があるはずです。
約分が下手だったり二度手間だったり自分でわかりにくくしてしまうほど書きなぐっていたり……。

そこをまず治すんです。「直す」じゃないですよ。治すんです。それ、治療が必要な場面ですから。そのとき生意気にも屁理屈を言ってきたら、その口をトングでつまんでやってください。一瞬しかチャンスはないのでポケットに準備しておくんですよ。

算数の文章題を解く、図形の体積を求める、どんな種類の問題でも必ず計算して答えに辿り着かなければいけない。複雑な計算問題があまり出題されない学校であっても、必ず必要なのが「道に迷わず正確にゴールに辿り着く能力」です。まあカーナビゲーションのようなもんです。近道を通ることができないといけないわけです。

これができていない場合、まずここを解決しなければいけない。

これ、すごいですよ。

道に迷わず目的地に着くことができるとなれば色々考える余裕ができます。これが「算数力」だと私は思います。

どうですか? 中卒に先輩風吹かされるとイラッとくるでしょ?

だから読まなかったら良かったと思った方。

「あなた、宇宙人雇ってるでしょ?」

読んで良かったと本音では思っている方。

「どうか我が子のとてつもない伸び代に期待するだけじゃなく、協力してあげてください。親が一緒になって問題解決にあたれば我が子は嘘みたいに伸びます。我が子じゃないみたいになります」

我が子じゃないみたい……、と思う瞬間ってたまりませんよ。感動しますよ。この子を育てて良かったなあと心から思いますよ。その感動の表情を我が子は必ず見ています。そしてもっと感動させてやろうと頑張ってくれます。

これが「親子」だと私は思います。

では、今日はこのへんで……。

2014.4.19

桜井信一

※記事の内容は執筆時点のものです

桜井信一
この記事の著者
桜井信一 専門家・プロ

オンライン塾「下剋上受験塾」主宰。中卒の両親のもとで育ち、自らも中卒になる。 娘の下剋上のために一念発起して小5の勉強からやり直す。塾には行かず、父娘の二人三脚で偏差値を41から70に上げ、100%不可能とされた最難関中学「桜蔭学園」を目指した。その壮絶な受験記録を綴った『下剋上受験』はベストセラーに。 2017年1月には待望のドラマ化。学習講座「桜井算数教室」「国語読解記述講座」にはのべ2000人の親子が参加し人気を博した。2020年、オンラインの「下剋上受験塾」を立ち上げた。

[関連]

父娘の記念受験(公式ブログ)
下剋上受験塾