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算数を克服するということ|桜井信一コラム「下剋上受験」

専門家・プロ
2014年4月20日 桜井信一

桜井信一ブログ『父娘の記念受験』で過去に掲載されていた記事から、一部を編集して掲載しています。この記事の内容は 書かれたものです。

小6の算数の話しの続きを。

受験本番までは9ヶ月ですが、夏期講習スタートまでなら3ヶ月しかありません。

この夏期講習ではどの塾でもおさらいのようなことをしているようです。総まとめみたいな感じですね。

この夏期講習のレベルなんですが、なんとすでに受験レベルなんです。

例えばSAPIXの夏期講習では「サマーサピックス」というテキストを使うようですが、このテキストに掲載されている問題を完全に理解できているレベルになると、もうそれは受験レベルなんです。

私が知っているサマーサピックスは20冊の構成になっていました。1冊目が「数の性質」で16題掲載されています。最初のページは基礎的な内容で始まりますが、後半の4~5問はもう完全に受験レベルです。

これが20単元もあるんです。

これを制覇するととんでもなく偏差値が上がります。上がるというより別人レベルになります。

あきらかにここが勝負です。

でも、20冊のテキストを塾に行くたびに1冊ずつもらって帰ってくるとすると、毎日のように16問こなすことになります。塾で2~3問やってくるとしても自宅学習が10問以上になりますね。1問解くのにだいたい15分かかるとして、10問解くには休憩も入れて3時間ほど必要です。

でもこれ、全部すらすら解ける子の話しなんです。

うちのように解説が必要で復習が必要な子の場合は、3時間では3問程しかこなせません。

だって、まず15分かけて解くでしょ。そして解説をきく。自分で解きなおしてみる。確実に30分は経過していますよね。簡単に理解しないこともあれば、何度も復習が必要なこともあります。結構進まないもんなんです。

さらに、3時間ほど頑張って3問を克服したとしても翌日にはまた新しい16問を持って帰ってくるわけです。克服しなければならない問題が雪だるま式に増えていき、もうお手上げです。

私はSAPIXの先生に実際にお聞きしました。

「この20冊をもし完璧にすれば最難関に合格できますか? そういう難易度と考えていいですか?」と相談したんです。

するとはっきりと仰いました。「はい、大丈夫です」と。

しかし、我が家はこのレベルを克服するのが秋に間に合いませんでした。本の中でもふれていますが、今から思うとこれは秋までにどうしても仕上げなければならない20単元なんです。我が家のように受験間際までかかってはいけないんです。

おそらく、受験する学校の偏差値によって解かなければならない、解けるようにならなければならない範囲が異なると思います。

例えば、サマーサピックスの1冊目の後半4問はかなりレベルの高い中学校でないとここまでの難問は出題されないでしょう。仮に出題されたとしてもその問題以外に得点源にできる問題が必ずあって、この難易度の問題は合否をわける問題ではないはずです。

まず、ここを先生に確認し、もしくは過去問から親が判断し、16問のうち何問目までが我が子の受験校にとって必要な知識かを確認し、そこを徹底して克服しなければなりません。

その克服のためには「今」どうするの? って話しですが、今の時期に偏差値が足りている子は別に何も慌てる必要がないと思います。問題は今から大逆転しなければならない子です。

今、こうしている間にもどんどん新しいことを習っていきます。復習しなければならないことがたくさんあるのに、わざわざ塾に行ってはまたその悩みを増やしてくるんです。本人はそこまで深刻に考えていないでしょうが、実は日々志望校から遠のいているんです。

さて、いま習っていることを優先するか、復習しなければならないことを優先するか?

これは共通する答えがないんだと思います。その子の偏差値、志望校までの距離、頑張り度合いなどがそれぞれ違いますから、当然同じ答えにならないでしょう。

基礎が大事っていいますが、どの単元の基礎ができていないか、どこに穴があるかまで把握している子は少ないでしょう。把握している親も少ないと思います。

まず、この把握が最優先なのですが、それを調べるのにも相当な時間が必要なんです。だって我が子にヒアリングした程度ではっきりするくらいなら、いまこの時点で偏差値が届いているはずですから。

それを把握するためには、すべての単元をひと通り解いてみて、基礎からやり直す必要がある単元とそうでない単元を仕分けする必要があります。でもこれ、膨大な時間がかかると思いませんか?

もうごちゃごちゃになっている場合、一旦すべて投げだして最初からやりませんか?って話しです。でもまだサマーサピックスは配られてないし~って話しですよね。

そこでちょうどいいのがあるんです。すべての単元を最初からやり直すのにちょうどよい難易度のちょうどよい量をまとめたものがあるんです。

サピックス分野別シリーズ 算数 標準(スタンダード)20回テスト1~7

SAPIXに通っておられたら当然ご存知かと思いますが、これかなり便利です。1冊1050円なので7冊すべて揃えても7350円。このテキストはごちゃごちゃになってしまった子がリセットするのにちょうどいい。

1枚ずつ切り離して使えるので、復習の必要がない分は「ポイっ!」復習が必要な場合は、なんと裏面に同じ問題が載っている「さすがSAPIX!」

これ全部で合計140回分あるんです。算数のほぼすべての出題範囲を網羅します。

あれ? 夏期講習まで3ヶ月しかなくて140枚ということは……?

そうなんです。現時点でもう間に合わない状態なんです。

ちなみに、これ、標準と書いてますが、誰からみて標準なの? って感じです。

(超基礎もあれば応用もあり最後は標準じゃなくなる)

今からでは全部間に合わない。でも夏期講習までにある程度弱点を克服しておきたい。そういう方はぜひ「2」と「6」だけでもやってみてください。

中卒の話しを真に受けるわけにいかないでしょうから、先生にお子さんの志望校ならどの単元を優先すべきか聞いてみるのもいいかもしれませんね。

とんでもないことになりますよ~。
本当にすごいことになります。

我が子じゃないみたいになりますよ。
ホントですよ。

でもひとつ大きな問題が……。

これ自宅学習なんです。親が必要なんです。

ではひとこと。

「そんなに自宅学習が嫌いですか!」

では、今夜もこのへんで……。

Have a nice day!

2014.4.20 am2:00

桜井信一


【追記】

塾の先生に相談する時間がない方で、しかももっと短期間で弱点を把握したい方。

必殺技があります。

栗田哲也先生のスピードアップ算数〈基礎〉―中学受験総合チェック

塾が休みの日にでもこの本の最初の100問をやってみてください。

1日50問で2日で100問できます。(50問で制限時間が50分なんです)

これで図形も含めて算数の基礎が抜けているところがある程度浮き彫りになります。ちょっと基礎すぎる気もしますが、2日でできますので試してみるのもいいかもしれません。

※記事の内容は執筆時点のものです

桜井信一
この記事の著者
桜井信一 専門家・プロ

オンライン塾「下剋上受験塾」主宰。中卒の両親のもとで育ち、自らも中卒になる。 娘の下剋上のために一念発起して小5の勉強からやり直す。塾には行かず、父娘の二人三脚で偏差値を41から70に上げ、100%不可能とされた最難関中学「桜蔭学園」を目指した。その壮絶な受験記録を綴った『下剋上受験』はベストセラーに。 2017年1月には待望のドラマ化。学習講座「桜井算数教室」「国語読解記述講座」にはのべ2000人の親子が参加し人気を博した。2020年、オンラインの「下剋上受験塾」を立ち上げた。

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