不合格者が考える桜蔭学園|桜井信一コラム「下剋上受験」

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2014年5月03日 桜井信一

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桜井信一ブログ『父娘の記念受験』で過去に掲載されていた記事から、一部を編集して掲載しています。この記事の内容は 書かれたものです。

お子さんがお通いの塾ではいよいよGW講座でしょうか。

ここから夏に向けて、危機感を持つために少し難しめのことを習ってくるのかもしれませんね。

この時期、志望校を決意しておくというのが非常に重要なことだと私は思っています。私だけが思っています。

その志望校……、普通はどのように決めておられるのでしょうか。

学校説明会やキャンパス見学会、実際にお子さんが合格された方のリアルな声など、さまざまな情報をもとに判断しておられるのでしょうか。

私のように偏差値だけみて志望校を決めてしまうような無茶な人はいないのかもしれませんね。

私たち父娘が桜蔭学園に挑戦しようと決めてから、私も色々なところから何でもいいので桜蔭情報を得ようとしました。

掲示板もよくみましたし、桜蔭学園のクラスで指導し多数の合格者を出したと書いてあった女性講師の方のブログも何度か読んだ記憶があります。

そういえば、小5のときには猛反対の妻を説得するために文化祭にも行かせていただきました。そこにいるのは全員合格者なわけですから、ひとりひとりインタビューしたい気分だったのを覚えています。

しかし、いま振り返るとそんなに有益な情報はあまりなかった。

よく考えると、合格している人って、あっさりと合格している人の方が多いのでしょうね。

本 の中でも「8割は指定席」なんてことを書きましたが、ホントそう思います。

2割の自由席を狙った私たちが合格者から何か情報を得ようとしても、なんと8割の確率で有益な情報にならないわけです。

合格発表の瞬間を思い出すとまだたくさんのものがこみ上げてきますが、たしかにいました。結構な数いました。「当然のように合格している子」の姿が。

堂々と合格発表の瞬間を待ち、「無事だったぁ~」という顔をしている子がいるんです。

こういう子たちに何か相談しても、おそらく私の期待する声は聞けないと思うんですよね。

だけど、誰でも合格者の声が聞きたい。合格者を参考にしたい。そりゃ、当たり前のことです。

では、不合格者からみえる桜蔭学園ってどんな感じでしょう。というのが今夜の話しです。

「ちょっ、ちょっとぉ! いま『戻る』ボタン押そうとしたでしょ?」

「不合格者の考える桜蔭学園」について、ちょっと興味のある方がいらっしゃればここから先も読んでください。

当たり前のことですが、「最難関」でした。

わずかな差ではない、最難関という名にふさわしい入学試験でした。どうすれば攻略できたんだろうって何度も何度も考えました。

本当にすごい学校ですね。

あの制服をどうしても着たいと願って、私たち父娘はとんでもない努力をしました。あの坂を毎日上るためならどんなに眠くても頑張れました。でも叶わなかった。

私は、合格者が振り返らないことってたくさんあると思うんです。

今日はそんな中のひとつをご紹介します。

それは、11月に実施される学校別サピックスオープン。

この個人成績表を改めて眺めていると、受験生のときとはまた違った目で冷静にみることができます。

合格した方には思い出のアルバムのようにみえるかもしれないこの成績表も、不合格者には違った角度からみることができるんです。

桜蔭学園は4教科で320点満点です。ちょうどその半分の160点のところで170位付近なんです。そこからあと10点とるだけで約50人を抜いてしまいます。あと15点ならなんと70人抜いてしまうんです。

そして理科・社会に目を移すと結構だんご状態。みんなそこそこできています。

じゃ、算数は? 

なんと、10点あがるだけで80人以上ごぼう抜きです。

ところで、あの難しい国語は?

みんなあまり高得点じゃない。

「ん? まてよ……」 

という話です。

頭のいい皆さんならもうお気づきでしょう。

決して、あとから考えると意外に簡単と言っているのではないですよ。

算数で10点って上げるってどういう感じ?

ここが重要だと思うんです。

この年のサピックスオープンは大問1番と2番だけで配点が41点もありました。

1番が27点で、2番は14点。
1番が計算と小問。
2番が平面図形。

ちなみに、この2番の平面図形はかなり簡単でした。

そのあとの大問もそこまで難しいというわけではないんです。

そもそも桜蔭学園の算数はそこまで難易度が高いわけではない。

重要なのは、大問のラップタイムだと私は思います。

サピックスオープンのときに、大問の通過タイムをメモさせておけばよかった。

ただ結果だけみて大問の4番が解けた解けなかったと言ったところで、そもそも横で見ていたわけではないのですから、どの程度の時間を使って解けなかったのかということは娘の話ではかなり曖昧ですから、10点の対策を立てようがないんです。

大問2に入ったときにちょこっと時計をみて時刻をメモっておきなさい。大問3に入ったときも、4のときも……。

なぜ模試に送り出すときにそう言っておかなかったのだろう。

マラソンでもなんでも、ラップタイムもわからずに次の作戦なんて立てようがない。

あとからそんなことを思いました。

10点アップの難しさは、このラップタイムによってかなり意味が違ってくる。

ここに気付けませんでした。

そこは本にも力を込めて書きましたが、そんなことすら気付かず私を信じて頑張った娘に申し訳なく思います。私が父親だったことを本当に申し訳なく思っています。

……という不合格者の話でした。

御清聴ありがとうございましたm(__)m

2014.5.3 am 2:00

桜井信一

※記事の内容は執筆時点のものです

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