中学受験にも役立つ!? 国語辞典を引く習慣が大切な理由
テキストや教科書にわからない言葉があったとき、そのつど紙の辞書をめくるのは、小学生には根気のいる作業です。ネットでも言葉の意味が調べられるようになった今、中学受験を目指す子供が辞書を引く意味はどこにあるのでしょうか。1人ひとりの個性と向き合い「勉強のやり方」を教える塾・プラスティー教育研究所に聞きました。
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辞書を引く習慣は、将来必要とされる「自ら学ぶ力」を育みます
結論から言うと、中学受験において子供が「辞書を引く力」は絶対に必要です。本物の語彙力を強化するためには、遠回りに見えても紙の辞書を引くことがいちばん効果的だからです。
自分で調べ、自分の考えを持つ意識づくり
「受験対策」ということで言えば、今は「受験必須語彙」の類のテキストがたくさんあります。それらに取り組めば、語彙対策自体は十分できるでしょう。しかし、「リストアップされたものだけを覚える」というやり方では、どこかで限界にぶつかってしまいます。
なぜなら、文章には無限の語彙が登場するので、いずれは「必須語彙」のようなものでは網羅しきれなくなるからです。さらに、「必須語彙」に頼りきった学習を続けていくことで、中学高校、大学へと続くその後の学びにおいても「与えられたものだけ調べればよい」という勉強観ができてしまいかねません。
2020年の大学入試改革では、自ら問題を見つけ、調べて自分の意見を持つという、能動的に学ぶ力が求められています。「与えられたものを学べばよい」ではなく、「わからないことは自分で調べよう」という意識を育てるためにも、中学受験に臨むこの時期から辞書をどんどん活用してほしいのです。
言葉だけでなく、物事を知るのにも役立つ
また国語辞典は、国語的な語彙だけでなく、子どもにとって「世の中の分からない事柄」を調べるのにも役立ちます。簡単な百科事典の役割もしてくれるのです。
たとえば親子でニュースを見ているときなどに「経済って何だろう?」と思ったら、自分の辞書ですぐに言葉の意味を調べることができます。さらに「経済」の説明から派生した関連語について「市場って何だろう」「取引って何だろう」と次々引いていくことで、ひとつの言葉を取り巻く背景を自分から調べる習慣がつきます。
国語辞典を引いて、今まで知らなかった事柄を知ることが興味の種となり、能動的な学びが広がるきっかけになるのです。
究極的には「辞書を読む」のが理想。ネットと合わせればさらに深く学べる
「単に分からないことを調べるなら、ネットの方が早いよね」と考える方も多いでしょう。それでも紙の辞書が素晴らしいのは、調べたかったことに関連する情報だけでなく、全く関係ない情報も同じページに並んでいること。別の言葉に思わず引き寄せられて、興味関心のおもむくままに様々な言葉に寄り道していくのも、子供にとっては大切なことです。
読んで楽しい辞書が、子供の力を伸ばす
中学受験に取り組む子供の中には、「辞書を読むのが大好き」という生徒がたまにいます。「うちの子は、辞書ばかり読んでいて困ります」と親御さんが心配される気持ちもわかりますが、実はとても素晴らしいことなのです。
上で述べたように、国語辞典には生きた情報がたくさん詰まっています。興味があることを調べていくと、自分の中では別々だったものごとが、実はつながっていたことに突然気づくこともあります。それによって子供は、丸暗記とは対極にある「学ぶ快感」を知ることでしょう。
小学生用に編集された辞書には、読んで楽しめるように用例やコラムを充実させたり、イラストや漫画をふんだんに使ったり工夫したものがたくさんあります。子供に「興味関心の種」を撒くには、そうした「読みたくなる辞書」を選ぶのもひとつの方法です。
ネットのイメージ検索でさらに理解を深める
一方インターネット検索にも、リンクをたどっていろいろなことを知る楽しさがあります。特にネットならではの便利さがあるのが「画像検索」。たとえば理科の勉強で植物の形が出てきたとき、言葉の説明だけではイメージしにくいものでも、インターネットで写真を検索すればパッと視覚的に理解できます。
理科に限らずどんな教科でも「百聞は一見にしかず」。インターネットを使えば、紙の辞書にはないビジュアル化された情報にもすぐにアクセスすることが可能です。両方を組み合わせて使えば子供はより楽しく、好奇心を持って学び続けることができるでしょう。
辞書は「学びの快感」が広がるツール
辞書は、自ら進んで学ぶことの楽しさを知るきっかけになるツールです。興味を持ったら、イラストや漫画が載っているページだけを巡回してもかまいません。知識をどんどん吸収できる年頃によい辞書と出会うことができたら、それは最高の体験になることでしょう。
※小学生のための国語辞典の選び方は、別コラム「中学受験で国語辞典を活用するコツと、子供を伸ばす一冊の辞典の見つけ方」をご参考にしてください。
※記事の内容は執筆時点のものです
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