連載 下剋上受験

面倒くさい理由|桜井信一コラム「下剋上受験」

専門家・プロ
2014年11月17日 桜井信一

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桜井信一ブログ『父娘の記念受験』で過去に掲載されていた記事から、一部を編集して掲載しています。この記事の内容は 書かれたものです。

今夜は、「面倒くさい理由」がテーマです。よろしくお願いします。

受験勉強が本格的になってきた4年生、5年生が面倒くさがってなかなか塾の宿題をやろうとしないとき。

「ダラダラするんだったら塾なんてやめなさーーーっい!」と言ってませんか。

「受験なんてやめなさーーーっい!」のパターンでしょうか。

これはダラダラしている原因を解消してやらなければならない。

はて? ゲームでしょうか? TVでしょうか?

「うちの子は集中力がないんですぅ~」と言ってませんか。

はて? 本当に集中力の問題でしょうか。

代わりに宿題をやってみるとすぐに気づきます。

例えば、円の面積や円すいの表面積を求める頃になると、やたらと計算が面倒くさい。

この頃の計算ドリルも当然面倒くさい式が並んでいるのです。

これは誰だって面倒くさい。

この原因を根性で押し切ったら、下手すると勉強嫌いになると思うのです。

計算が下手だと、答えを求めるのに一苦労します。やっと答えに辿り着いても、それがバツだったりするともううんざりする。

これは普通のことだと思うのです。

やる気がない、集中力がない、その原因は計算がスムーズにできないからだと思うのです。

そこで我が家は、計算手順を徹底的に練習しました。
速く解けることを目指すのではなく、ちょっと工夫をしてスムーズに答えに辿り着くようにしたわけです。

例えば、小数を瞬時に分数に直せない。

0.125をみた瞬間に、8分の1と出てこない。

5×3.14がすぐに出てこない。

これを筆算で解く状態。

68×3.14が出てこない。

6×3.14を10倍して、8×3.14を足す方法や、7×3.14を10倍して、6.28を引く方法に慣れていれば、

円の問題の宿題なんて一瞬で終わってしまいます。

三角形の面積は底辺×高さを2分の1しますが、わり算で割っているようでは面倒くさい。

頭の中で半分にわける感覚があるとそんなにストレスにならずに求積できる。

「えっ? もう宿題終わり?」と自分で思うような量になるはずです。

ここを解決せずに、「やめなさーーーっい!」と叱っても、そもそも面倒くさいことをやっているのですから、それは普通のことだと思うのです。

じゃあ自分でそれに気づくかというと、なかなかそれは厳しい。

じゃあ塾の先生が授業でいちいち計算手順や分数に直すことを練習させてくれるのかというと、そんなことをしていたら進まなくなる。

仮に、いい先生がいてそれを授業で教えたとすればどうなるでしょう?

「高い月謝を払って、特殊算を教えずに小数を分数にする練習をしている」と不満に思わないでしょうか。

何となくハイレベルなことを教えてもらうことに月謝を払っているつもりなのですから、あまりにも基礎的なことばかりだと不満に思ってしまうと思うのです。この感覚も普通。

要するに、子どもも親も普通のことだと思うのです。

しかし、残念なことにそれでは面倒くさい宿題のままになるのです。

これをひたすら計算ドリルをさせて乗り越えさせるという作戦もありますが、それは修行に近い苦痛だと思うんですね。私なら音をあげます。

まずは計算するために必要なパーツをインプットする。

よく出てくる分数を整理する。公倍数と公約数を整理する。覚えるまでは、3.14×2から3.14×9までは表を見ながらでいいことにする。

こんなの慌てて暗記しなくても宿題をしているうちに勝手に覚えます。

面倒くさそうにしている子をみたら、どれくらい面倒なものか一度やってみる。そしてパーツを準備する。

これで大抵は解決すると思います。

それでも面倒くさそうにするなら…

「ダラダラするんだったら塾なんてやめなさーーーっい!」

「受験なんてやめなさーーーっ!」

と言ってもOKなのかもしれません。

面倒くさがる子どもは、ピーラーがあるこの時代に、包丁でジャガイモをむいているようなものなのです。

楽な方法を教えてやらないといけない。

そこに発見とラッキーがあれば、それは横着にならないと思うのです。

丸暗記と発見の違いを教えてやらないからチョー面倒くさい! のです。

2014.11.17 am 0:00

桜井信一

※記事の内容は執筆時点のものです

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