連載 下剋上受験

キビキビの快感|桜井信一コラム「下剋上受験」

専門家・プロ
2015年12月24日 桜井信一

桜井信一ブログ『父娘の記念受験』で過去に掲載されていた記事から、一部を編集して掲載しています。この記事の内容は 書かれたものです。

塾によって仕様はさまざまですが、算数テキストなり算数プリントなりが配られます。

例えばサピックスのように、単元ごとに冊子のようになっているとして、仮に今回は【1】から【8】あたりまであったとしましょう。

新しいことを習うわけですから、最初はできなくて当然ですが……、親としてはできるようになってほしい【1】から【8】だと思うのです。

しかし現実はその半分もできないままで次の単元を習う子がほとんどかもしれません。

上位層の方が少ないわけですから、かなり穴だらけの状態の子の方が圧倒的に多い。

これは週テストや月例テストではっきりします。期待とは裏腹に現実を目の当たりにすることになります。

落胆したりイライラしたりため息が出たりしますが、これは何とか耐えられるのです。

いつか復習してできるようにすればいいという期待も含めて耐えなければ仕方ない。

いよいよ冬期講習の時期がきます。いわば総復習のようなものです。

ここまでにできるようにしておくつもりが、実際は次から次へと新しいことを習い続け、やっぱり穴だらけ。

でも、これも何とか耐えられるのです。

テストの結果として後で見せられるものは、どうやら耐えられる。

しかし、耐えられないことがあります。

それは、解いているところを横で見ている場合だと思うのです。

 

私は算数教室などのときに、必ず保護者の方に同席をお願いしています。解いているところを横で見ていてほしいとお願いしているのです。

我が家がそうだったように、子どもが解いている瞬間を見ていてほしいのです。せっかくの機会ですから。

塾では横に座って見ることができません。結果しか見れない。だからこのマズイ現実を先送りにしてしまうと思うのです。

家庭教師の場合も、横で見ていてほしいと思っています。こんなにできないものなんだ……、ということを知ってほしいのです。

私の経験上、ストレスで死にそうになります。こりゃ相当マズイと気づき、看過できない問題だと認識します。

だから本気で「どうしようか、どうやって解決しようか」と考えることができると思うのです。

 

でも塾でこれをやってしまうと、優秀層以外は転塾を考えてしまう恐れがあるでしょう。「この先生に教わっても、できるようにならないな」と判断する親が出てくると思うのです。

家庭教師の場合だと、講師の交代よりも家庭教師会社を変える可能性が高いでしょう。だから本来は危険なのですが、私はできる限り同席をしてもらってほしいとお願いしています。

マズイ原因をどこへ持っていくか、これは親の判断なのでお任せするしかない。

それよりも、看過することのできない問題だとはっきりと認識してもらう方が、学力があがる可能性が高くなると思うわけです。

塾の授業や週テストで同席することが難しいわけですから、せめて塾の宿題を解いているところくらいは同席してほしい。きっとバトルになる。バトルになるくらいできないのが現実だと思います。

 

私の場合は、自分も同じようにできない状態だったので、精神的なキツさは少しマシだったかもしれません。偉そうなことを言える立場じゃないという気持ちがストレスを少し和らげてくれる。
でも本音をいうと、子どもだけでもできてほしいなんて勝手なことを最初の頃は思っていました。

 

先日、難関中学の受験生を対象に算数教室を開催させて頂きました。

基礎から配列された問題をあやふやながらもキビキビと次々に解いていく大事さをわかってもらおうと、我が家が受験生のときにやっていたペースで進めました。

そしてまとめて復習する。本当に復習するのであれば、この方が短時間でマスターできるものだと思うのです。

ひとつひとつ丁寧に理解していく方法も本当はいいのですが、ダラダラしてしまうことを考えると、あまり得策とは思えないわけです。

塾の宿題や、復習したいことなどを準備したとき、ラップタイムを決めて一気に進める。どんどん進める。そして一気に復習する。

大きくため息をつくほど疲れますが、この方が効率的。

 

問題は、この方法はある程度学力がつくまでは使えないという点です。

この方法が使えるところまで到達すると急に伸びが加速する。だから、成績はなだらかな右肩上がりにはならず、ある期間をおいてから一気に上がるパターンになるのでしょう。

先日の算数教室は、さすが難関中学を受験する子たち、復習すればわりと短い時間で完全にマスターしてくれそうでした。この調子で他にやるべきことも、キビキビと一気に進めてほしいなあと「キビキビの快感」を伝えました。

 

いま5年生の皆様。

穴だらけの状態からある程度コツコツと埋めていき、キビキビと一気に進めることができる状態に早く持っていってほしいと思います。そこからが面白いステージ。

そこまでが大変なのですが、その学習方法がとれるようなところまで辿り着くと一気に伸びるでしょう。もう竹のように伸びる。

だけどその手前で断念するケースがほとんどだと思うのです。

みんな多分断念するので、逆にいえば大チャンス!

 

そして、受験本番を迎える6年生の皆様。

今日と本番とが同じ学力なんてことはあり得ない。残り日数が短くてもその分だけは勉強するわけですから。問題は他の子も同じことがいえるという点。

しかし、多分ダラダラしたまま終わる子の方が多い。これが残されたチャンスだと思うのです。

もうこれはどー考えても、「抜け駆けしましょう!」

2015.12.24 am 6:00

桜井信一 

※記事の内容は執筆時点のものです

桜井信一
この記事の著者
桜井信一 専門家・プロ

オンライン塾「下剋上受験塾」主宰。中卒の両親のもとで育ち、自らも中卒になる。 娘の下剋上のために一念発起して小5の勉強からやり直す。塾には行かず、父娘の二人三脚で偏差値を41から70に上げ、100%不可能とされた最難関中学「桜蔭学園」を目指した。その壮絶な受験記録を綴った『下剋上受験』はベストセラーに。 2017年1月には待望のドラマ化。学習講座「桜井算数教室」「国語読解記述講座」にはのべ2000人の親子が参加し人気を博した。2020年、オンラインの「下剋上受験塾」を立ち上げた。

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