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【日食と月食の仕組み】中学入試を攻略するために知っておきたいこと

2019年2月14日 ゆずぱ

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中学受験を控えた私の息子の苦手分野のひとつが天体分野でした。星座や太陽の動き、そして月の満ち欠けと、しっかり対策をとっていたのですが、そのなかでちょっと対策がおろそかになってしまっていたのが日食と月食です。

2018年度の城北中学校の理科の入試は大問がまるごと日食と月食に関する問題で、小問にするとなんと7問も出題されました。しかも日食と月食の基本的な仕組みを知っていれば着実に解ける問題です。「もし対策をしていなかったら……」と考えるとゾッとしますね。

天体分野ではマイナーな分野の日食と月食。入試を攻略するためにどんなことをおさえておけば良いでしょうか?近年の中学入試問題を分析したうえで、知っておきたいことをまとめます。

日食と月食を攻略するための勉強法

理科のなかでも特に天体分野は「図で理解すること」が重要です。私も息子と中学受験対策をするなかで図をたくさん描きました。日食と月食も例に漏れず「図で理解すること」が点数を稼ぐための近道です。太陽と月と地球の位置関係を自分でノートに図示できるくらいになると一気に理解が進みます。図を使って仕組みと考え方をおさえましょう。

仕組みの理解と「3つの考え方」

息子との学習では、日食と月食の仕組みを理解したうえで、入試でよく問われる3つの考え方を確認しました。もし地球や月の公転を理解していない場合は、そこから復習をした方がよいでしょう。

「月そのもの」で太陽が隠される「日食」

日食は月によって太陽が欠けて見える天体現象。ポイントは月そのものによって太陽が隠されるという点です。日食も月食も似たような天体現象と思われがちですが、発生する仕組みが全く違います。「何によって欠けてしまうのか」が日食と月食を区別するうえで重要ですので、しっかり確認しましょう。

日食のもうひとつのポイントは地球からの見え方です。太陽が隠されている割合によって3種類に分類されます。部分的に太陽が隠れる「部分日食」、全体が隠れる「皆既(かいき)日食」、太陽の円周付近だけを残して隠れる「金環(きんかん)日食」の3種類です。皆既日食のときにまわりに見えるのは「コロナ」と呼ばれます。

「地球の影」で月が暗くなる「月食」

月食は月が地球の影によって欠けて見える天体現象です。ポイントは地球の影によって月が暗くなるという点です。日食は太陽が月によって隠されることによって起こる現象ですが、月食は実際に月が隠されているわけではありません。地球の影で暗くなる部分があたかも月が欠けているように見えるだけですね。

地球からの見え方は月が暗くなっている部分の割合によって2種類に分類されます。部分的に暗くなる「部分月食」、全体が暗くなる「皆既月食」の2種類です。暗くなっている部分は赤黒く見えます。影って普通は黒っぽいですよね。なぜ赤っぽく見えるのでしょうか?

原理は夕焼けと一緒。太陽から届く青い光は地球の大気で散乱してしまいます。一方で赤い光は地球の大気をわずかに通ることができるので、月が赤っぽく見えるんです。

入試で問われる3つの考え方

実際の中学入試で出題された問題を分析してみると、これから紹介する考え方が中学入試では大切であることがわかります。学校によっては論述式で問われることもあり、しっかりとした理解が求められます。

考え方1:なぜ太陽と月と地球が一直線でも発生しない時があるのか?

日食も月食も、太陽と地球と月が一直線上に並んだときに発生します。月が太陽と同じ方向にあるとき(つまり新月のとき)に日食が発生し、月が太陽と反対側にあるとき(つまり満月のとき)に月食が発生します。しかし日食や月食が頻繁に発生するわけではありません。入試ではその理由がよく問われます。

理由はひと言で表すと「地球の公転面に対して月の公転面が傾いているから」。

言葉だけではわかりにくいですね。そんなときは図解の出番です。図で表せば、頻繁に日食や月食が発生しない理由が視覚的にわかります。文字情報だけで記憶しているのと、本質的に理解しているのでは大きな差が出ます。応用問題に対応するためにも本質的な理解をするようにしましょう。

考え方2:なぜ金環日食だったり皆既日食だったりするのか?

日食は太陽が完全に隠れてしまう皆既日食もあれば、太陽の外周だけが隠れきれていない金環日食もあります。太陽も月も大きさが変わらないのに、このような事が起きるのはなぜでしょう。この理由も入試で問われます。

理由は、月の軌道は楕円(だえん)軌道であり、月は地球に近づいたり、地球から遠ざかったりするからです。地球に近づいたときの月は大きく見えるので太陽を完全に隠すことができ、地球から遠ざかった月は小さく見えるので太陽を完全に隠すことはできないということです。

ちなみに、地球に最も近づいた月は「スーパームーン」と呼ばれ、ニュースなどで話題になります。肉眼でも月の大きさを感じることができます。「スーパームーン」も理科の時事問題として出題されますね。

考え方3:日食をピンホールで観察するとどうなるのか?

最後は日食の観察の仕方についてです。一般的に目を損傷しないように日食を観察する専用のグラス(日食グラス)を使います。日食グラス以外の方法として、ピンホールでの観察がありますが、どのように見えるかが問われたりします。ピンホールを直進した光が図のように像を作りますので、上下左右が反対になるのがポイントです。

中学入試では作り出された像が、どのように見えるかを選択させる問題が出ています。なお、樹木の下に降り注ぐ「木漏れ日」もピンホールと同じ観察ができ、地面に太陽が欠けた像が映し出されます。

【注】日食を観察するときは、厳重な注意が必要です。直接肉眼で見るといった行為は絶対にしてはいけません。子供が観察する場合は、必ず保護者が付き添って、正しい方法で観察するようにしてください。観察方法や、注意点は 国立天文台のWebサイト も参照してください。

まとめ

理科の天体分野の勉強で、おろそかにしがちな日食と月食。ニュースで話題になることが多く、入試でもよく出題されています。図で仕組みをしっかり理解したうえでよく問われる3つの考え方をおさえ、出題された場合に備えましょう!

※記事の内容は執筆時点のものです

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