中学受験ノウハウ 連載 学ぶ力を伸ばす「合格する親子の勉強」

中学受験の取り組み方#10 模試の見直しは「正答率一覧表」と見比べるのが先決|学ぶ力を伸ばす「合格する親子の勉強」

専門家・プロ
2020年8月05日 松本亘正

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子どもに「よい勉強習慣」を身につけさせたい。そのために親ができることとは――。中学受験専門塾 ジーニアス 代表、松本亘正氏の著書『合格する親子のすごい勉強』から、わが子の学ぶ力を伸ばすヒントを紹介します。

試験の見直しは欲張らない

― Point ―

苦手科目なら正答率60%以上の問題だけ見直せば十分

中学受験の勉強が本格化してくると、「模試の見直しはどうしたらいいんですか?」という質問をよく受けるようになります。

まず、模試の成績は、それほど気にする必要はありません。

模試の見直しはしたほうがいいのですが、絶対というわけではなく、子どものタイプによって決めていいと思います。

たとえば、細かいことが嫌いな男の子のなかには、「模試の見直しなどしない。そういう時間があったら新たな問題を解く」という子もいます。何を隠そう、小学生のときの私がそうでした……。

復習をしたほうがいいのは間違いないのですが、どうしても見直しや復習ができない子の場合は、何度も繰り返させることを強要すると逆効果になるかもしれません。

では、実際に見直しをする際には、どのようにするのがいいのでしょうか。

真っ先にしてほしいのは、正答率一覧表と見比べることです。そして、その教科が苦手であれば、まず正答率60%以上の問題に絞って復習します。

算数であれば、解答・解説を見ない状態でもう一度解いてみてください。国語であれば、漢字や知識は複数回書いて覚えようとしたり、選択問題なら、なぜその選択肢になるのかを考えます(理由を書き出してもOK)。理科、社会は答えを確認するだけでいいでしょう。

苦手な教科の場合、正答率の低い問題を解こうとすると、ますます苦手意識が強くなってしまいます。でも、正答率60%以上であれば、おそらくできるはずだった問題、あるいはできなければならないはずのレベルの問題ということ。そこだけ確実に理解すれば、平均値に近づけます。

もし、ほとんど理解すらできないのであれば、すぐに先生に相談したほうがいいでしょう。塾が合っていない、問題集が合っていないなど、やり方に問題があります。

基本的には正答率40%以上の問題が出てきたら、間違えた問題に蛍光ペンで印をつけておきましょう。そして、少なくとも算数はその問題だけ取り出して、もう一度子どもに解かせます。解くのは解答や解説を見る前が望ましいですね。

時間をかけてでも正解できたならば、よしとします。それでもできなかった問題は、解答や解説を見ながら復習させましょう。わからなければ先生に質問に行ったほうが早いですね。

では、正答率40%未満の問題はどうしたらいいでしょうか。

ここに手をつけるのは、正答率40%以上の問題をすべて理解してからです。

正答率が40%に近く、なんとか理解できそうな問題であれば、解いてみたり、解説を読んでみたりして、最終的に「わかった」状態にしましょう。再度解いたときに、また解けなくてもかまいません。

この「わかった」状態(理解はしたが自分では解けないだろう状態)の問題は、できるだけ少なくしたほうがいいですし、次回も解けるようになることが理想ですが、とりあえずわかったというだけでも大きな収穫です。

得意科目の場合でも、手をつけるのは正答率10%の問題までです。いくらその教科が得意でも、正答率が10%以下の問題なら、無理に復習する必要はありません。

模試の問題や入試問題には、満点阻止問題と呼ばれる問題や、応用レベルも軽々とこなす生徒向けに、あえて超難問を用意することが多いのです。そこまで復習していては時間がなくなってしまいます。あえて捨てるという勇気も必要なのです。

親が子どもの答案を見直していくと、ついイライラしてしまいます。

「どうしてこんな問題ができないの?」
「どうしてこういうミスをするの?」
「ミスさえなければ偏差値が5は上がったのに」

いろいろ言ってしまいたくなりますが、そこはぐっとこらえて、ぜひあたたかい目で見守ってあげてください。

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