連載 親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

6年生の夏期講習後の過ごし方 ―― 親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

専門家・プロ
2019年8月22日 やまかわ

中学受験と聞くと、難関校を目指す受験がどうしてもイメージされます。しかし、そうではない、あるいはそのやり方に疑問をもつご家庭は少なくないでしょう。この連載では、『ゆる中学受験 ハッピーな合格を親子で目指す』の著者である亀山卓郎先生に、親子で疲弊しない中学受験をテーマにさまざまなお話を伺います。

前回は、「高学年の子の夏休みの過ごし方」について解説しました。今回は、「6年生の夏期講習後の過ごし方」についてお届けします。

“夏の成果”は9月に出てこない

夏期講習直後の模試の結果を見て、「夏にあれだけ頑張ったのに、模試の結果がいまいち……」と肩を落とす親御さんは少なくありません。しかし、心配しなくて大丈夫です。ほとんどの子は、10月や11月ごろに”夏の成果”が出てきます。

夏の猛勉強は、2か月後に実力に変わる

入試を控えた6年生の場合、夏期講習で勉強漬けの毎日を送ります。しかしその反動から、9月になると、モチベーションが下がってしまうことがあります。小学校では新学期が始まり、久しぶりにクラスメイトと再会して心が緩むこともあるでしょう。塾も平常授業に戻りますが、なんとなく生徒の調子は上がらない様子です。

子ども自身も、「夏期講習で頑張ったのに、結果が出なくておかしいな?」と首をかしげるかもしれません。しかし、夏期講習や塾の夏合宿でいろんな問題を解いて、知識を詰め込んでも、すぐには力がつかないものです。夏の猛勉強というのは、いってみれば“ぬか床にキュウリを入れただけ”の状態。実力が醸成されるには、だいたい2か月くらいかかります。

結果が出ないときは、「もっと勉強しなきゃ」と焦ったり、「もうダメだ……」と投げ出したくなったりしますが、「結果はあとからついてくる」と信じ、まずは目の前のことを着実にこなすことが大切です。

夏期講習後の模試は、受験に向けての試金石

私の塾の生徒には、「首都圏模試」を毎月受験させています。夏期講習後の6年生が中学入試までに受けられる首都圏模試は、「9月・10月・11月・12月」の4回。残された4回で、志望校の偏差値を2回クリアするのが理想です。

1回しかクリアできていない場合は、滑り止めの学校も検討しつつ、どの学校を受験するか再考する必要があります。また、一度も偏差値をクリアできなかった学校は、受験するかどうか再検討すべきでしょう。保護者の方々には、いつもそのようにお話ししています。

もちろん、首都圏模試で1度も志望校の偏差値をクリアしなかったのに、合格を勝ち取る子もいます。12月に最後の模試を受けてから受験本番までの2か月は、偏差値の出ない不安な日々が待っています。しかし、不安をシャットアウトして勉強に集中できる子は、大きく上昇カーブを描くように成績がグッと上がります。

模試によっては、問題に当たりハズレがあったり、子どものコンディションが悪いときに模試を受けたりすることもあるでしょう。また、12月の首都圏模試は、四谷大塚や日能研などの模試を受けている受験生が腕試しで受けに来ることも多いため、すこし低めの偏差値が出ることもあります。

模試で思うような偏差値が出ないと、つい子どもに当たってしまうこともありますが、まずは子どもの頑張りを褒めてあげましょう。そして、受験本番までの成長曲線を判断し、どの学校を受験するか冷静に決めていくことが大切です。

秋以降に成績が上がらないときこそ、できることを着実に

秋以降になっても、なかなか成績が上がらない子もいます。親御さんのなかには、「家庭教師や個別指導をやらせたほうがいいかな?」と悩む方もいます。

しかし、秋以降になっても成績が伸び悩むのは、ほとんどの場合、授業で受け取る情報量が多すぎて、”消化不良”を起こしているのが原因です。そのため、個別指導や家庭教師をつけるのは、伸びきったゴムをさらに伸ばすようなもの、といえます。

こうした事態に陥ったときは、新たな勉強指導を追加するのではなく、受験生自身がたくさん勉強をして消化不良となっていた部分を整理していくしかありません。授業時間以外でも塾の自習室などを利用して、わからない部分を先生に質問し、自分で問題をたくさんこなしていくことが解決の糸口となります。

そして、入試が近づいてくると、1回1回の模試の結果に一喜一憂する子がほとんどです。外見上はそう見えなくても、子どもの心は親が思っている以上に浮き沈みが激しいものです。好調でもスランプでも、焦らず、やるべきことを明確にして、着実にこなしていくように促すことが必要といえるでしょう。

「信頼できる先生」に、冷静なアドバイスをもらう

この時期は、勉強の進め方に不安や焦りを感じる親御さんが少なくありません。誰を信じるべきか、混乱してしまうこともあります。集団指導塾・個別指導・家庭教師のいずれに通っているとしても、「信頼できる先生」を見つけることです。いまの勉強のやり方に問題がないか、受験校はどこを選ぶべきかといったことについて冷静なアドバイスをもらえると、安心できます。

夏以降は、親子ともに焦ってしまいますが、信頼できる先生に客観的なアドバイスをもらいつつ、冷静に歩みを進めていきましょう。

次回は、「中学受験生のモチベーションをあげる方法」について解説します。


これまでの記事はこちら『親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

※記事の内容は執筆時点のものです

亀山卓郎
亀山卓郎 専門家・プロ

かめやま たくろう|明治学院高等学校、成城大学卒業。大手塾・個人塾などで教務経験を積んだ後、2007年に転居のため千葉県及び江戸川区の塾を閉鎖し、台東区上野桜木で「進学個別桜学舎」をスタート。首都圏模試の偏差値で60を切る学校への指導を専門に「親子で疲弊しないノビノビ受験」を提唱している。TJK東京私塾協同組合員、第一薬科大学付属高校上野桜木学習センター長。著書「ゆる中学受験 ハッピーな合格を親子で目指す」(現代書林)

この記事の著者

編集・ライター。学生時代から都内で6年間塾講師を務める。塾講師時代は、おもに作文・国語・英語の科目を担当。小学生から中学生までの指導にあたる。現在は編集・ライターとして教育関連をはじめ、街歩き・グルメ記事の執筆取材をおこなう。

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