連載 親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

【高学年向け】夏休みの過ごし方 ―― 親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

専門家・プロ
2019年7月31日 やまかわ

中学受験と聞くと、難関校を目指す受験がどうしてもイメージされます。しかし、そうではない、あるいはそのやり方に疑問をもつご家庭は少なくないでしょう。この連載では、『ゆる中学受験 ハッピーな合格を親子で目指す』の著者である亀山卓郎先生に、親子で疲弊しない中学受験をテーマにさまざまなお話を伺います。

前回は、「低学年の子の夏休みの過ごし方」について解説しました。今回は、「高学年の子の夏休みの過ごし方」についてお届けします。

5年生の夏は、全力で好きなことができる最後のチャンス

多くの塾の場合、4年生から中学受験の勉強がスタートして、5年生で知識の上積み、6年生になったら入試本番に向けて志望校対策、という流れが一般的です。

一方、中堅校受験を専門としている私の塾では、5年生から中学受験の勉強がスタートします。そして、5年生の夏休みは習い事をしながら勉強しても大丈夫、と生徒に話しています。塾から出された宿題や課題をしっかりこなしていれば、受験勉強以外のことをしても問題ありません。

しかし、受験間近の6年生の夏休みは、これまでと同じように習い事を続けるのは難しいでしょう。だからこそ、5年生の夏休みは、好きなことを好きなだけ、全力で取り組んでほしいと思っています。

6年生の夏休みは、じっくり勉強できる貴重な期間

6年生の夏休みは、とても重要です。とくに夏期講習は、入試本番までに腰を据えて勉強できる最後の機会です。苦手な単元があったり、手がつけられていない単元があったりしても、夏期講習中ならじっくりと対策できます。苦手だった単元も、「得意」になる可能性があるのが6年生の夏休みです。

私の塾の親御さんには、「6年生の夏休み期間中の長期旅行やお出かけは、少し控えましょう」とお伝えしています。9月以降になると、小学校が始まり、まとまった勉強の時間がとれなくなります。夏休みに勉強ができず、十分な力をつけられないまま受験を迎えてしまうのは、とてももったいないことだからです。

夏休みは、「受験勉強」と「気分転換」のバランスが大切

受験が間近に迫った6年生の夏休みとはいえ、朝から晩まで毎日勉強していたら、ストレスがたまってしまいます。気分転換のためにも、好きな習い事があるならば、週1回くらいは続けても大丈夫です。

「中学受験ができるのは、小学6年生の1回だけ。納得できる結果を残すために、いまは受験に向けてがんばろう。受験を気持ちよく終えられたら、中学に入って好きなだけ習い事に集中できるからね」と、生徒たちに話しています。

「受験勉強」と「気分転換」は、バランスが大切です。夏休みに勉強し過ぎて、子どもが疲れた表情をしていたら、迷わず気分転換させてください。逆に、遊び過ぎて勉強に集中できなくなるのは避けたいですね。夏休みは、生活のバランスが崩れやすくなります。親御さんは、夏休みの子どもの様子を注意深く見てあげるようにしましょう。

「好きなこと」を、勉強しない”言い訳”に使わない

「サッカーの練習が大変で、宿題ができなかった……」
「ダンスの発表会があって、勉強できませんでした……」

こうした言葉を生徒から聞いたとき、私は生徒と真正面からぶつかります。「自分が好きなものを”言い訳”に使うのは、絶対に間違っている」「好きなものを”悪者”にして、自分を守っている」と、本気で叱るんですね。そして、「いまの苦労を乗り越えた先に、好きなことを思う存分やり続けられる中学生活が待っている。いまはちょっと大変だけど、勉強をがんばろう!」と続けます。

「好きなもの」を”言い訳”に使ってしまう子は、勉強も趣味も中途半端で、「軸」のない子になってしまいます。「好きなこと」は、決して”言い訳”にしてはいけないんですね。「明日は大好きな習い事があるから、今日は頑張って勉強しよう!」と考えられる「モチベーション」であるべきなんです。

「勉強に集中するために、気分転換する」
「気分転換するために、勉強をがんばる」

「受験勉強」と「気分転換」のバランスをとって、どちらにも良い影響を与えることができれば、受験勉強の山場である夏休みを乗り切ることができます。

充実した夏休みを過ごすには「力みすぎず、緩みすぎない」

子どもがイキイキと夏休みを過ごすには、「縛りつけ過ぎないこと」が大切です。夏休みに受験勉強をしている子は、忙しさから心がすり減ってしまうことがあります。「あれをやってはいけない」「これをやってはダメ」と、いろいろ禁止してしまうと、子どもの表情は暗くなって、勉強にも支障が出てしまいます。

一方で、子どもを尊重しすぎるあまり、過度に甘やかしてしまうのもいけません。子どもに、”人生の先輩”として何かを伝えたいとき、説得したいときは、あえて「大人の視点」から言葉を投げかけるのがおすすめです。

子どもは、”子どもの理屈”を言ってきますが、大人はそれを論破できるくらいでないといけません。子どもの言うことに論理的に反論できないと、「この人には敵わない」と思うことなく、子どもは聞く耳をもたなくなります。子どもが道を間違えているときや、言い訳ばかりで前に進む姿勢がないときは、「何が間違っているか、何が正しいか」を毅然とした態度で伝えることも、ときには必要です。

「受験勉強」と「気分転換」のメリハリをつけて、充実した夏休みを過ごすためにも、親御さんは力みすぎず、緩みすぎず、適度な距離感でお子さんを見守ってあげたいですね。

次回は、「6年生の夏期講習後の過ごし方」について解説します。


これまでの記事はこちら『親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

※記事の内容は執筆時点のものです

亀山卓郎
亀山卓郎 専門家・プロ

かめやま たくろう|明治学院高等学校、成城大学卒業。大手塾・個人塾などで教務経験を積んだ後、2007年に転居のため千葉県及び江戸川区の塾を閉鎖し、台東区上野桜木で「進学個別桜学舎」をスタート。首都圏模試の偏差値で60を切る学校への指導を専門に「親子で疲弊しないノビノビ受験」を提唱している。TJK東京私塾協同組合理事、第一薬科大学付属高校上野桜木学習センター長。著書「ゆる中学受験 ハッピーな合格を親子で目指す」(現代書林)

この記事の著者

編集・ライター。学生時代から都内で6年間塾講師を務める。塾講師時代は、おもに作文・国語・英語の科目を担当。小学生から中学生までの指導にあたる。現在は編集・ライターとして教育関連をはじめ、街歩き・グルメ記事の執筆取材をおこなう。

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