連載 中学受験は親と子の協同作業

6年生 弱点対策はいつまでに終わらせておくべき?|中学受験は親と子の協同作業! 正しい理解がはじめの一歩 Vol.40

専門家・プロ
2019年8月29日 石渡真由美

6年生の受験生は、入試まで半年を切りました。しかし、現時点でもまだ苦手単元を残したままという子は多いことでしょう。では、弱点対策はいつまでに終わらせていくのがよいのでしょうか?

苦手単元の克服は遅くても11月までに終わらせておく

入試が近づくにつれ、できないところが気になってくるものです。「もし、この苦手単元が入試に出てしまったらどうしよう……」 そう思うと、ギリギリまで弱点対策をしたくなりますよね。確かに、少しでも苦手が解消できれば、自信にもつながりし、得点にもつながるでしょう。でも苦手を深掘りし過ぎてしまうと、かえって気持ちが焦るので注意が必要です。

そこで、苦手単元は「いつまでに終わらせる」と期限を決めておくことをおすすめします。現時点で苦手単元がそこまで多くはない、つまり比較的順調に仕上がってきている子は、9月いっぱいを目処に終わらせていいでしょう。その後は過去問を中心に取り組み、1点でも多く得点を取る気持ちで実践的な勉強に切り替えていきましょう。

逆にまだ苦手がたくさん残っている子は、引き続き弱点対策に取り組みましょう。でも、遅くても11月までには終わらせましょう。その時点でまだ苦手が残っていたとしても、そこは割り切ることが大事です。そして11月〜12月は、過去問を進めつつ、4教科の総復習をし、全体のバランスを整えていきます。

苦手単元はすべてを克服する必要はない

弱点対策で気をつけなければいけないのは、深掘りしすぎないことです。例えば算数の「速さ」の単元が苦手だったとします。そうすると、多くの親御さんは基礎から発展問題まですべてをマスターさせようとしますが、それは無駄な勉強です。

ひとくちに「速さ」といっても、受験する学校のレベルによって、求められる難易度は違います。速さの3公式で解けるレベル、線分図(状況図)で解けるレベル、ダイヤグラムや面積図を駆使するレベルという具合です。もし、中堅校やそれ以下の学校を受験するのであれば、線分図(状況図)を使って解く問題ができていれば、確実に合格ラインをクリアできるでしょう。

逆にそれ以上であれば、ダイヤグラムや面積図をどこまで使いこなせなければならないのかを、過去問を参考に見極める必要があります。そうやって、自分が行きたい学校の入試がどこまでの難度を求めているかを探り、求められているレベルまでは対策をするけれど、それ以上のレベルの問題は手をつけないという取捨選択をしていかなければなりません。

取捨選択をせず、全部をやらせようとすると、無駄な時間を過ごすことになるだけでなく、子どもの自信を低下させてしまう恐れがあります。秋は、夏の疲れが出やすく、また学校によっては運動会を開催するところもあり、連日の練習で子ども達はヘトヘトです。ここで無理をさせてしまうと、その後も体調不良が続いてしまうこともあります。弱点対策は子どもにとっては決して楽しい勉強ではありませんので、「必要最低限のことがクリアできればよし」というくらいの気持ちでいたほうがいいでしょう。

年明けからは得意科目を中心に気持ち良く勉強をする

苦手克服に充てる勉強は、遅くても11月中には終わらせ、そこから年内は4教科をバランスよく勉強します。夏以降、苦手克服に多くの時間を費やしている間に、これまでできていたことや、覚えていたことを忘れてしまっている場合があるので、ここでもう一度総復習をしておきます。この時期に及んでも、まだ苦手が残っているという子もいると思いますが、11月を過ぎたら「これ以上はやらない」と決めておきましょう。中学入試は4教科の総合点で合否が決まります。苦手科目や苦手単元を克服して数点上げることができたとしても、その勉強ばかりをしていて本来取れるはずの科目で点を落としてしまっては意味がありません。

そして、年が明けたら得意科目や得意単元を中心に勉強をします。そうすることで、子どもが気持ち良く入試を迎えられるようにします。わずか11歳、12歳の子どもが挑む中学受験は、最後まで何が起こるかわかりません。これまで常に順調で、塾の先生から「絶対に大丈夫!」と太鼓判を押されていた子でも、当日に緊張してしまい、よい結果が出せないこともあります。

ですから、完璧にする必要はありません。完璧を求めるあまりに、できていないことが気になってしまうよりは、最後はできるところを気持ち良く勉強させて、確実に得点できるものをひとつでも増やし、自信を持たせてあげるほうがよいです。入試までのあと5カ月は、がむしゃらに勉強をするのではなく、正しい勉強の進め方を意識することがポイントです。


これまでの記事はこちら『中学受験は親と子の協同作業! 正しい理解がはじめの一歩

※記事の内容は執筆時点のものです

西村則康
西村則康 専門家・プロ

プロ家庭教師集団「名門指導会」代表
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員

にしむら のりやす日本初の「塾ソムリエ」としても活躍中。40年以上中学・高校受験指導一筋に行う。コーチングの手法を取り入れ、親を巻き込んで子供が心底やる気になる付加価値の高い指導が評判。暗記や作業だけの無味乾燥な受験学習では効果が上がらないという信念から「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込む授業を実践している。また、学習指導だけでなく、受験を通じて親子の絆を強くするためのコミュニケーション術もアドバイスする。「中学受験は日常生活を犠牲にしてまで行うものではない」「主役は塾の先生や家庭教師ではなく、お子さんとご家庭だ」という「生活の延長線上の受験」を理想に掲げている。著書に『中学受験は親が9割』(青春出版社)、『中学受験基本のキ! (日経DUALの本)』(日経BP社)など、20冊を超える。

西村則康公式サイト http://www.nishimuranoriyasu.com/
名門指導会 https://www.meimon.jp/
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」 https://www.e-juken.jp/

この記事の著者

フリーライター。子供の誕生をきっかけに、わが子の成長に合わせ、ベビー雑誌、育児・教育雑誌、塾専門誌で取材執筆。6年前に子供の中学受験を経験したものの、国立大学の附属中学で併設高校が無かったため、その3年後に“高校受験生の母”、またその3年後に“大学受験生の母”も体験。中・高・大の3つの受験を知る受験ライター。

合わせて読みたい