連載 親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

家庭学習の親の役割 ―― 親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

専門家・プロ
2019年10月24日 やまかわ

中学受験と聞くと、難関校を目指す受験がどうしてもイメージされます。しかし、そうではない、あるいはそのやり方に疑問をもつご家庭は少なくないでしょう。この連載では、『ゆる中学受験 ハッピーな合格を親子で目指す』の著者である亀山卓郎先生に、親子で疲弊しない中学受験をテーマにさまざまなお話を伺います。

親は子どもの勉強をどこまで見るべきか

5、6年生の親御さんには、「家庭学習で勉強の内容までは見なくていいですよ」と伝えています。子どもがわからない問題を教えようとしてしまうと、親御さんの負担も増えてしまいます。また、親自身が問題を解いてしまうことも多く、子どもの実力がつかないことが多いからです。

親御さんにお願いしたいのは、宿題をやっているかどうかのチェックだけ。「できる・できない」の部分は関わらなくてOKです。

「考えた跡」があるか確認する

お子さんの宿題などをチェックするときに気にかけてほしいのは、「考えた跡」があるかどうかです。問題と格闘した跡が残っていない場合は、「もう少し考えてみようか」と声をかけてあげてください。考えてもわからないようなら、「塾で先生に教わって解決してこないとね」と背中を押してあげれば大丈夫です。

目の前の課題に真面目に取り組む習慣がついているかを、親御さんは見てあげてほしいと思います。

決められた時間で何をするかに目を向ける

「19~20時までは国語の勉強で、20~21時までは算数の勉強」というように、時間を区切って勉強させる親御さんは少なくありません。しかし3年生くらいになると、時間だけの設定は効果が薄くなってきます。机に座ってテキストを広げるものの、親の目を盗んで、時間が過ぎるのをじっと待ったままということがあるからです。

もちろん、勉強時間を区切ることは日々の生活の習慣づけとして大切です。しかし、それと同じくらい大切なのは、設定した時間のなかで何をするべきか具体的に決めておくこと。私がおすすめするのは「ToDoリストを使った勉強法」です。

ToDoリストで、子どもの成長を促す

ToDoリストというのは、以下のような「やることリスト」のことです。

・漢字ドリルを3ページ進めて○つけ。間違い直しは5回ずつ
・算数ドリルの「分数の掛け算」の単元を終わらせる

ToDoリストは、はじめた当初はなかなかうまくいきません。「今日はこれとこれをやってみようか」と親が働きかけるものの、寝る前にチェックしてみると何も終わってないということはよくあることです。

ここで親御さんにしてほしいことは、お子さんへの声掛け・フィードバックです。以下のような声掛けをして、子供に何が反省点だったのか考えさせるようにしましょう。

・今日はうまくいかなかったね。明日はうまくいくように考えてみようか
・ToDoリストを消化できなかったけど、何がいけなかったと思う?

失敗をくり返していくうちに、子どもたちもどうすればToDoリストをクリアできるのか、少しずつ考え始めます。たとえば、早く終わりそうな科目から手をつけたり、集中力があるうちに計算問題から始めたり。いろいろ試しながら、効率のいい勉強を自分の頭で考えていくことでしょう。そうすることで、ToDoリストにある勉強内容だけでなく、目の前の課題を自分の力でどう攻略すればいいか考えられるようになっていきます。

親御さんに必要なのは、勉強を教えることではなく、こうした成長をうながすことです。成長をするうえで、子どもは多少の失敗をするかもしれませんが、失敗を許容しながら見守ってあげましょう。

子どもが勉強しやすい自宅の学習環境

自宅の学習環境は、小学生のときは勉強部屋に閉じ込めないほうがよいと私は考えています。

おすすめの勉強場所は「リビング」です。親御さんが夕飯の準備をしていたり、テレビを見てくつろいでいたりするなかで、ダイニングテーブルに広々とテキストを広げて勉強するのがよいですね。生活音があり勉強に不向きかと思われますが、家族とコミュニケーションを取りながら勉強をしている子のほうが、成績が伸びる傾向にあります。「こういう文章を読んでこう思ったんだけど、お母さんはどう思う?」と子どもから話しかけたり、親御さんのほうから「これって知ってる?」と声をかけたり。身近な心のつながりを感じることができるので、子どもは安心して勉強ができます。

個室でも扉を開けたままにしたり、パーテーションで区切った“半リビング”で勉強したりするのもいいですね。これなら家族の声も届きやすく、安心して勉強できるでしょう。ただ、成長の早い子だと6年生くらいで思春期を迎え、ひとりで部屋にこもって勉強することも。でも、もし集中して勉強できているようであれば、そのまま勉強させてあげましょう。

親は勉強の進み具合をチェックする

家庭学習では、子どもの勉強の成果を「時間」で判断するのはおすすめしません。「あんなに勉強しているのに全然成績が伸びない……」というように、親御さんが心配な気持ちになることもあります。

勉強は、限られた時間のなかで課題をどれほど終わらせたかが大切です。そこでおすすめなのは、子どもの勉強の進み具合を確認してあげること。家庭学習では、子どもに宿題の解き方を教えるのではなく、宿題をしているかチェックしてあげるほうが大切なのです。

一方で、一日の生活のなかで何時から何時まで勉強するのか設定しておくことは、勉強の習慣づけとして必要です。では、中学受験を考えている小学5・6年生は、どれだけ勉強に時間を割けばいいのでしょうか。次回は「土日にするべき勉強量」についてお話しします。


これまでの記事はこちら『親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

※記事の内容は執筆時点のものです

亀山卓郎
亀山卓郎 専門家・プロ

かめやま たくろう|明治学院高等学校、成城大学卒業。大手塾・個人塾などで教務経験を積んだ後、2007年に転居のため千葉県及び江戸川区の塾を閉鎖し、台東区上野桜木で「進学個別桜学舎」をスタート。首都圏模試の偏差値で60を切る学校への指導を専門に「親子で疲弊しないノビノビ受験」を提唱している。TJK東京私塾協同組合理事、第一薬科大学付属高校上野桜木学習センター長。著書「ゆる中学受験 ハッピーな合格を親子で目指す」(現代書林)

この記事の著者

編集・ライター。学生時代から都内で6年間塾講師を務める。塾講師時代は、おもに作文・国語・英語の科目を担当。小学生から中学生までの指導にあたる。現在は編集・ライターとして教育関連をはじめ、街歩き・グルメ記事の執筆取材をおこなう。

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