中学受験ノウハウ 連載 学ぶ力を伸ばす「合格する親子の勉強」

中学受験の取り組み方#12 ミスを減らすには?|学ぶ力を伸ばす「合格する親子の勉強」

専門家・プロ
2020年8月19日 松本亘正

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子どもに「よい勉強習慣」を身につけさせたい。そのために親ができることとは――。中学受験専門塾 ジーニアス 代表、松本亘正氏の著書『合格する親子のすごい勉強』から、わが子の学ぶ力を伸ばすヒントを紹介します。

ミスが減らない場合は4つに分類してみる

― Point ―

やってはいけないミスだけ見直せば改善する

「どうしたらミスをなくせるのですか?」
「うちの子はミスが多いんです。どうすればいいですか?」

ミスについての質問は、驚くほど多く寄せられます。
  
子どもに「ミスをなくしなさい」と叱っても効果は出ません。反発したくなってしまうからです。私たち大人も、日常でたくさんのミスをします。それと同じことなのです。

ですから、100%は求めないでいきたいものです。

そのかわり、ミスする確率を減らすことができます。まず、ミスをいくつかのレベルに分類します。

レベル1 : 繰り上がりや繰り下がりなどの単純な計算ミスや漢字を書き間違えるミス

レベル2 : いつもは「正しいものを選びなさい」と聞かれる問題が多いため「正しくないものを選びなさい」と問われても、つい「正しいもの」を選んでしまうといった思い込みによるミス

レベル3 : B君の金額を聞かれているのに、A君の金額を答えてしまう……といった、まったく聞かれていないことに答えてしまうというミス

レベル4 : 答えは出ているのに解答欄に転記したときに間違えてしまうミス

どのミスが多いのかによって対処法を変えましょう。

もちろん、「すべてのミスが多い!」と感じることもあるかもしれませんが、もっとも多いものを選んでください。

レベルの数字が大きくなっていくものを選べば選んだほど、深刻です。

たとえば、レベル1のようなミスは、生きていくなかで、誰もが起こしてしまうものです。制限時間が設けられた試験では、なおさらミスしてしまいます。これを一つひとつ取り上げて指摘しても、あまり意味がありません。

自宅で宿題をする際に、このレベル1のミスが多いと相談を受けることがあるのですが、これはどんな子にもみられることです。テレビ、ゲーム、マンガ、おもちゃなど、いろいろな誘惑があるなかで、集中してミスなく解き続けることができる子はほとんどいません。

「試験のときに集中力を発揮してミスを減らせたらいい」とおおらかに受けとめてあげてください。

対策としては、同じような間違いを繰り返した場合には、陥りやすいミスを書き出してもらいましょう。「7の段のかけ算に気をつける。とくに7×8と7×9」「整数から小数の引き算のとき、繰り下がりをしないことが多いので注意する」というように、具体的に洗い出します。

急いでいれば単純な計算ミスはかならず起こるものだと意識づけし、とくに繰り返しやすいことは忘れないようにすればいいでしょう。

次にレベル2の「正しくないもの」を聞かれているのに「正しいもの」を選ぶことが多いために、思い込みで問題の条件を読み間違えたことによるミスの場合。ここから先は早めに対処したいところです。

一番効果的なのは、「問題文の条件の部分にだけ線を引く」ということです。

ただ、この方法は試験のときだけにやろうとしてもできません。

宿題や学校の授業中にも、取り組む習慣をつけましょう。日常生活で自然にできるようにしておかないと、定着しないのです。

ミスの段階

4  自分の書いた字を読み間違える
3  聞かれていないことに答える
2  いつもの問題形式に引っ張られて、問題文を読み間違える
1  単純な計算ミス

4 3 2 1の順で注意!

このレベルのミスを改善するために親がすると有効なのは、解きながら線を引いたかどうかをチェックすることだけです。あれこれ言われても、子どもは覚えていられないので、伝えることは1点だけに絞りましょう。

次にレベル3とレベル4のミスについてみていきましょう。

レベル3はB君の金額を聞かれているのにA君の金額を答えるといった、聞かれていることに答えていないことによるミス、レベル4は、答えは出ているのに解答欄に転記したときに間違えてしまうミスです。

これらは、1、2と比べると、より深刻です。改善していかないと、クセがついてしまうからです。

勝手に聞かれていないことに答えてしまうことを頻繁にしている場合は、線を引かせるだけではなく、かならず指さし確認もさせましょう。

聞かれていることと答えたことが同じかどうか、式を書いて答えを出したものと、解答欄に書かれた数字が同じかどうかは、しっかり確認することを習慣にしましょう。

ミスは気になってしまうものですが、レベル3、4でなければ、あまり目くじらを立てず、関わりたいものです。

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※記事の内容は執筆時点のものです

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