中学受験ノウハウ 学習 連載 学ぶ力を伸ばす「合格する親子の勉強」

中学受験の取り組み方#13 理科は親も一緒に「参加」する|学ぶ力を伸ばす「合格する親子の勉強」

専門家・プロ
2020年8月25日 松本亘正

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子どもに「よい勉強習慣」を身につけさせたい。そのために親ができることとは――。中学受験専門塾 ジーニアス 代表、松本亘正氏の著書『合格する親子のすごい勉強』から、わが子の学ぶ力を伸ばすヒントを紹介します。

【理科】「やらせる」だけでなく親も一緒に「参加」する

― Point ―

中学入試では、考えさせる問題が増えてきている

理科について、「何か自宅でできることはないでしょうか?」という質問を、よく耳にします。

中学年であれば、たとえば、プラネタリウムに行く、月食や日食などがある場合には見てみる、河原遊びをするといったことを体験させたり、

「山菜蕎麦に使うゼンマイやワラビは、植物のなかでも胞子で増えるシダ類で、いつも食べているワカメやノリも胞子で増える藻類なんだよ」
「夏は冷たい飲み物の入ったコップのまわりがくもったり、冬は部屋の窓の内側がくもるよね、これは空気中の水蒸気が冷やされて水に戻るという同じ現象なんだよ」

といった、日常で起きている出来事を取り上げて話をする習慣をもつことをおすすめします。

卒業生や在塾生からの総合的な評価が高い実験教室が、東京都品川区の五反田にあります。その教室に通っている生徒の学力は総じて高く、楽しさと中身のどちらも追求しているように見えます。高学年になっても継続して通う生徒が多いのが特徴です。

生徒の学力のレベルが高く、中身があっておもしろい授業をしている実験教室に行ってみるのはいい刺激になります。

こういった教室は、子どもたち同士のクチコミや紹介で広がることが多いのですが、ネットで調べてみても、よく出てきます。地方自治体が主催しているイベント等もあるので、検索してみましょう。

では、自宅でできることはなんでしょうか。それは天気のことや、ニュースになった自然の現象など(例:皆既日食)、何気ない会話で十分です。

「どうして今日東京に大雪が降ったのか」
「四万十市で最高気温を更新したのはなぜか」

といった、めずらしい現象から、

「ジュースに氷を入れ、溶けても水面の高さが変わらない」
「冬、寒い日に息を吐くと白くなる」

といった、いつでも目にすることができるような身近な話まで、話の種はいくらでも転がっています。

親がそれらについてくわしくなくてもいいのです。親自身がなぜだろうと思ったことをインターネットなどで先に調べておいて、話題に出せばいいだけです。

当塾での授業でも、折に触れて身近な話などをするようにしています。たとえば、月の単元であれば「どうして、お月さまが見えるときと見えないときがあるのだろう」、と問いかけたり、星の色を説明するときには、「ガスバーナーと同じとイメージするといいんだよ。温度が高いと青くなり、温度が低いとだいだい色や赤色になるんだ」と解説したりします。

昨今の中学受験の入試問題では、知っているかどうかを試すのではなく、与えられた条件をもとに、どういう結論になるのか、あるいはなぜこんなことが起こったのかを考えさせる問題が増えてきています。

その分、受験を通じて、知識だけではなく知恵や思考力を身につけることができるようになってきているのです。

身近なことでいいので、親御さんも一緒に考える、話すという習慣を家庭のなかでもつことで、子どもの可能性も、またぐっと広がるのです。

高学年でも、基本的に家庭でやるべきことは中学年と同じです。

日常の体験を大切にすること。たとえば、「各事例を1月~12月に並べ替えなさい」といった季節感を問うような問題では、「梅の花が満開になっていた」「桜の花が満開になっていた」「桜の葉が青々と生い茂っていた」など、大人にとっては当たり前のことでも、子どもは意外とできません。

中学年までの日常生活で、意識して身につけていればいいのですが、そうでない場合は早期に身につけさせましょう。

興味のない男の子などには、実際に入試問題を見せて危機感を持たせて1年間過ごしてみるのもいいですね。

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※記事の内容は執筆時点のものです

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