【大学入試改革に必要な勉強】マッピング発想力(点を線にしてつなげる力)|本物の力を育てる「合格する子どもの伸ばし方」
これからの時代に必要なのは、ブレーンストーミングができるようになることです。新しくアイデアを生み出す方法として、会議の場でも用いられることもありますね。
このブレーンストーミングには、4つのルールがあります。
① 批判しない
② 自由に発言する
③ 質よりも量を重視
④ アイデア同士をつなげる
この力があれば、作文や論述問題に強くなる
もちろん、子どもが会議をするわけではありませんが、この手法は作文問題や論述問題を考えるときに役立ちます。いろいろと思いつくことを書き出していくのです。書き出すときは、質よりも量を重視。そして出てきた単語や内容をつなぎあわせて文章を作っていきます。
最初は親と一緒に練習することもあるでしょうが、より重要なのは①自由に発言することと、②質より量を重視することです。親が、
「いや、その言葉はおかしいでしょう」
「今回の問題と合っていないよ」
と思ったとしても、ぐっとこらえて「そうだね」と言ってあげてください。
自由に書き出し、量をたくさん出すことが大切なのです。子どもが親の顔色をうかがっていそうなら、離れていましょう。そして、
「何を書いても怒らないし、注意もしないから自由に書こう」
と励ましてあげてください。どうしても、子どもは親の顔色をうかがい、
「間違っていないかな。怒られないかな」
と気にしてしまうものなのです。
④のアイデア同士をつなげるのは、子どもにとっては高い壁です。もし悩んでいたら、
「この言葉とこの言葉をつなげたら、こんなことが書けるんじゃない?」
と声かけしてあげるといいでしょう。できるだけ自分でやらせて、ちょっとヒントを出して先に進めさせる。そうやって、点を線にしていく力を身につけさせることで、子どもは自信をつけていきます。
でも、いつでも親が関わるわけにはいきません。そこで最初は時間がかかるかもしれませんが、マインドマップをとり入れてみるという方法があります。
マインドマップとは、下の図のようなものです。
見たことはあるけど、めんどくさそうと思いますよね。私もそうでした。いちいち、図にしていく作業が面倒と思ったのです。
でも、マインドマップを指導にとり入れている講師は、
「子どもにはいろんなタイプがいるんですよ。松本さんは文章で整理できるかもしれないけれど、言葉だけではうまくつながりを意識できない子もいるじゃないですか」
と言うのです。そのとき、私はひとつのエピソードを思い出しました。
4年生の春期講習の授業で、私はある男の子を厳しく叱りました。全然授業に集中せず、テキストに落書きをしていたのです。それも、授業と関係のない落書きでした。
「授業をきちんと聞けないのなら、受ける必要はないよ」
と言って、次に同じことをしたら外に出すと注意しました。
たしかにその子は注意力散漫なタイプでした。ときに、いい発言をポンとすることはあるものの、どの先生からも「姿勢が悪い」「集中力が切れて外を見ていた」といった報告があがってきていました。でも、担任の先生は、
「あの子はいきなり発言したり、先回りして発言したりして、とにかく手を焼くけれど、算数は賢いところがあるんだよね」
といいところに注目していました。
私がその子を再び教えたのは、6年生の志望校別特訓の授業のときでした。彼は、私の話を聞いて、みんながメモをとっているなか、ひとりで絵を描いていたのです。
「また落書きか!」と思って近づくと、彼は私が話した解説を絵にしていました。
マンガにした、といったほうが正しいかもしれません。人がいてセリフがあって、矢印があって、次につながっていく。「あっ、こんなふうにして理解していくタイプなのか」と気づき、「時間がかかりそうだけど、いいまとめ方だね」とだけ伝えました。
明らかに時間はかかるし、一見ムダに思えますが、それがその子の理解の方法なのです。その子は誤解されることも多く、いきすぎた行動については注意しましたが、いいところを潰すことなく伸びたように思います。結果的に名門校の麻布中学校、海城中学校に合格しました。
マインドマップは、なかなか覚えられない子や、物事を関連づけて考えるのが苦手な子、アイデアを出せない子には、とても有効だと思います。おすすめの入門編の本として『マインドマップ超入門―トニー・ブザン天才養成講座』(トニー・ブザン著、近田美季子監修・翻訳 ディスカヴァー・トゥエンティワン刊)を紹介します。
イラスト hashigo(silas consulting)
※記事の内容は執筆時点のものです
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