
【大学入試改革に必要な勉強】注意力(選択肢を一つひとつ丁寧に見る力)|本物の力を育てる「合格する子どもの伸ばし方」
1987年にイギリスで出版された絵本『ウォーリーをさがせ!』は、日本でもブームになりました。ちょうど私が子どものときに出たもので、楽しんで読んだ記憶があります。じつは、大学入試改革の影響を考えると、ウォーリーのシリーズは、ぜひとも幼児期に読ませたい絵本なのです。
おすすめは『ウォーリーをさがせ!』
大学入試改革の大きな柱のひとつとも言えるのが、「すべて選びなさい」という問題です。これまで選択肢の問題は、消去法を使ってテクニックで解けましたが、これからは「選択肢を一つひとつ丁寧に見ていく力」「どこが間違っているのか、気づく力」が求められているのです。
この力は、受験はもちろん、社会に出ても必要な力です。いかにいいアイデアを出してよいものを作っても、ミスがあっては台無しですよね。むしろ間違った仮定に基づいて研究が進められると、取り返しがつかない事態になってしまうこともあります。
「資料を読み取る力」で解説したこととも共通していますが、これからの時代は、反射的に答えを出すことばかり鍛えていると、
「低学年のうちはよくできたのに、どうしていまはこうなってしまったのだろう」
という結果になりかねません。入試でも社会でも、求められる能力が変わってきている以上、親がやるべきこと、子どもに身につけさせることも変わるのです。
「注意力」を養うためには、「どこが違うのか」を見つけるためのゲームをするのもおすすめです。たとえば、間違い探し。小学校受験でもよくありますが、反射的に答えるものでありながら、違いを見つけ出すものでもあります。そして冒頭の『ウォーリーをさがせ!』。「見つけ出す力」を楽しくつけられる、とてもおすすめの本です。
「すべて選びなさい」は、難関中学ほど出題されている
「すべて選びなさい」というタイプの問題は、中学入試でも多く出題されています。たとえば、国立の東京学芸大竹早中学校。理科ではもともとよく出題されていて、多い年では、18問(25問中)、社会でも2016年から急激にその割合が増え、2018年は10問(25問中)を占めています。
大学入試改革の概要が定まりつつあった頃です。国立の筑波大附属駒場中学校でも、よく出題されています。
この問題のやっかいなところは、たとえひとつでも間違えると、その問題自体が不正解になるということです。
たとえば、答えが「ア、イ、エ」だったとします。「ア、イ」と答えたら惜しいですね。でも×になってしまいます。「ア、イ、エ、オ」と書いても×。部分点はもらえません。だからこそ正答率が下がりますし、上位層にとっては、勝負を決める問題になるのです。
大学入学共通テストで出される以上、今後この傾向は、高校受験や中学受験でも加速するでしょう。だからこそ、注意力は欠かせない力となってくるのです。
イラスト hashigo(silas consulting)
※記事の内容は執筆時点のものです
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