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【2020年】首都圏中学入試概況|塾関係者の予想を上回った高倍率4校も紹介

2020年3月23日 吉崎 正明

大学入試改革の不透明さもあり、中学入試は一層関心を集めています。そして、今後しばらくは受験人気が続くのではないかと予想されています。では、今年の中学入試の動向はどうだったのでしょうか。2020年首都圏中学入試の「受験者数の移り変わり」を中心にお伝えします。

【2月1日】募集定員は横ばい、受験者数は過去10年で最多(1都3県)

2020年2月1日入試の募集定員(1都3県)は、前年比でほぼ横ばいでした。

※出典・森上教育研究所

【2月1日入試の募集定員(1都3県)】
■2020年:合計40,440人(前年比98%)
■2019年:合計41,002人

これに対して伸びたのが、2月1日の受験者数(1都3県)です。2015年以降は増加の一途をたどり、2020年度は41,271人と、過去10年間で最高となりました。

じつは2010年度から2019年度まで、2月1日入試においては「受験者数<募集定員」という関係でした。つまり、受験者数より募集定員のほうが多かったんですね。しかし2020年度は、2009年度ぶりに受験者数が募集定員を上回りました。これは、大学入試改革にともなう「大学募集定員の厳格化」が影響していると考えられます。定員厳格化により大学附属校が人気を集め、早期に推薦枠を確保したいという希望や、早期から高いレベルの教育を求めようと考える家庭が増えたことが理由として挙げられるでしょう。

塾関係者の予想を上回った「高倍率校」

私も含め塾講師は、さまざまな要素をもとに受験校決定のサポートをしています。受験生からの希望はもちろん、校風や入試傾向、合格者平均点や各種データなどを踏まえ、「このレベルまでできればこの学校には合格するだろう」と判断し、併願校の提案をしているんですね。

しかしながら人気が急上昇するなど、塾講師の予想を上回る学校も登場します。そのなかで今年度、塾講師の注目を特に集めたのが以下の4校です。どの学校も大学を併設していない進学校で、面倒見のよさに定評があります。

■塾関係者の予想を上回った「高倍率校」
・大宮開成中学校
・巣鴨中学校
・世田谷学園中学校
・成城中学校

大宮開成中学校

大宮開成は、埼玉県の受験生だけでなく、東京や神奈川の受験生も進学候補にする人気校です。2月からの東京・神奈川の“決戦”に備え、練習として受験する受験生も増えています。「生徒の学びを大切にする姿勢」「挨拶など人間としての基本も大切にする姿勢」を尊重し、生徒がよく学んでいる様子は進学実績にも現れています。

今年度の入試は、例年以上の受験者を集めました。合格者最低点のボーダーも上がっていることから、合格者層が変わっていることがわかります。塾の関係者のあいだでも、厳しい入試になったと話題となりました。1月10日の応募者数は男女合計で1,672名(前年比76%増)となり、実質倍率は前年度の1.3倍から2.4倍となりました。

大宮開成中学校 http://www.omiyakaisei.jp/

巣鴨中学校・世田谷学園中学校

巣鴨中学、世田谷学園中学の2校は伝統的な男子校です。両校とも、昨年度より「算数1科入試」を導入しています。今年は全入試回で受験者数を伸ばし、厳しい入試となりました。

2月4日の倍率は、巣鴨は8.1倍(前年度3.0倍)、世田谷学園は7.2倍(前年度2.9倍)と大きく難易度を上げています。これは、2月1日の午後に「算数1科入試」を導入したことで、御三家などの最難関校受験者が併願しやすくなったことが理由と考えられます。また「算数1科入試」により理系教育を重視する印象も伝わり、ほかの入試回を含め併願候補として挙げやすくなったことなども要因として考えられます。

巣鴨中学校

巣鴨は「質実剛健・堅実」を誇りとする伝統校で、古くから「硬教育」と呼ばれる努力の姿勢を大切にしている学校です。中高生活は大学のための6年間ではなく、「人生の土台」と「一生の朋」をつくる6年間にしてほしいとする一方で、大学合格実績もしっかりと積み上げています。

世田谷学園

世田谷学園は、曹洞宗をルーツとする伝統校です。「Think & Share」を教育理念として、「一人ひとりがかけがえのない存在」という点に価値を置いています。文武両道を体現する生徒も多く、大学合格実績も伸ばしています。

世田谷学園中学校 http://www.setagayagakuen.ac.jp/

成城中学校

今年度の成城は、2月5日の倍率が12.4倍(前年度8.7倍)と受験者が増えた一方で、合格者最低点が上がっています。つまり、昨年度以上にハイレベルな入試だったといえます。

成城は「みずから積極的に学問に打ち込み、みずから規範を守り、他者を尊重し、強い信念を持つ人格者を育成する」ことを校訓として受け継ぐ伝統校です。男子校では珍しい女性の校長を中心に、それまでの伝統的な教育に加え、「エンパワーメント・プログラム」といった多彩な教育改革も実現してきました。学習のサポートだけでなく部活動も積極的に推奨し、文武両道の精神を大切にしつつ大学合格実績を伸ばしています。

エンパワーメント・プログラム : 成城中学のグローバル教育の一貫としておこなわれる研修。カリフォルニア大学の学生を日本に招き、中3から高2までの希望者が彼らと5日間を共にする

成城中学校 http://www.seijogakko.ed.jp/

「子供の成長」という視点を忘れずに

大学入試改革の動向が注目を集めるなか、中学入試への熱も高まりを見せています。ただこのような時こそ、子供が6年間のなかで成長できる学校を冷静に選ぶことが大切です。偏差値などのデータに目が行ってしまうこともあると思いますが、まずは多くの学校を見て回りましょう。少しでも多くの学校を知っていくことで、今回紹介した4校のように、面倒見などの評判がよく、大学入試でも結果を残すような人気校にも出会えるはずです。

※記事の内容は執筆時点のものです

吉崎 正明
この記事の著者

都内の中学受験専門塾で社会・国語担当として活躍。12年間在籍した大手進学塾では難関選抜講座担当を歴任、社内数千名が出場する「授業力コンテスト全国大会」において優勝経験あり。その後家庭教師を経験し、2019年より現在に至る。全国トップレベルの授業技術と多彩な戦術眼を駆使し、御三家中などの最難関校から幅広い成績層まで、多くの受験生の第一志望合格をサポート。茨城県行方市出身。