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2020年入試問題を振り返る 化学・物理編|なるほどなっとく 中学受験理科

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学習範囲が広く、難しいイメージがある理科の中学入試問題。難関校に多くの子どもを合格させてきたカリスマ講師・小川眞士さんが、子どもの理科力を育むためのヒントを伝えます。

今回は、小川先生が2020年の問題の特徴を化学・物理分野に焦点を当てて解説。学習ポイントや今後の傾向についても伝えます。

【化学】二酸化炭素とろうそくの問題が増加

化学分野はまず基本的なところでは、いろいろな物質を特定・分類する問題が例年通りよく出題されました。問題を解くためには、各物質の基本的な性質を理解することが必要です。特に水溶液については、性質(酸性・中性・アルカリ性)、溶けているもの(溶質)の状態(固体・液体・気体)、リトマス紙やBTB溶液の色の変化などは必ず覚えなければいけません。

気体の発生や中和など化学反応に関する問題も入試ではおなじみです。例えば亜鉛に塩酸を加えると水素が発生しますが、亜鉛と塩酸が過不足なく反応するときの割合を考えさせるといった問題です。化学反応は、実験のデータを表やグラフで提示し、時にはグラフを作成させ、データを解釈させるのが典型的な問題です。

今年は、気体では二酸化炭素に関する問題が多くの学校で出題されました。二酸化炭素の性質を尋ねたり、物質を燃焼させた後の二酸化炭素の量を計算させたりする問題です。学校の中には、二酸化炭素を固体にした「ドライアイス」を取り上げたところもありました。二酸化炭素は身近な気体で、燃焼の問題と絡めやすいことが、頻出の理由だと考えられます。

化学分野では燃焼もよく取り上げられます。2019年ノーベル化学賞を受賞した吉野彰氏が、科学に興味を持ったきっかけとして『ろうそくの科学』という本を挙げたこともあり、今年はろうそくの実験をテーマにした問題が多く出題されました。話題になった化学のニュースにちなんだ出題は今後も考えられるので、興味を持って調べてほしいと思います。

水溶液の性質、気体の発生、中和、燃焼などは、化学分野の問題の定番です。確実に得点するためには、基本的な原理原則を理解して、実験データを読み取る力をつけることが不可欠です。

【物理】密度やLEDに関する問題が増える傾向に

物理分野は、

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小川眞士

小川眞士

  • 専門家・プロ

小川理科研究所(東京都豊島区)主宰。都内の中学校教諭を経て、四谷大塚進学教室理科講師に。開成や桜蔭の特別コースを約25年間担当、コース生28人全員が開成中学に合格した実績を持つ。教務主任や副室長も務めた。2009年4月に小川理科研究所を開設。主な著書に、『中学受験 理科のグラフ完全制覇』(ダイヤモンド社)、『これだけ理科』(森上教育研究所スキル研究会)、『カンペキ小学理科』(技術評論社)がある。

水溜 兼一(Playce)

  • この記事の著者

雑誌・新聞の編集・ライターを経て、現在は、通信教育企業のキュレーションサイトや大学案内のライティングなどを担当。