連載 親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

2020年の夏の過ごし方 ―― 親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

専門家・プロ
2020年7月15日 やまかわ

中学受験と聞くと、難関校を目指す受験がどうしてもイメージされます。しかし、そうではない、あるいはそのやり方に疑問をもつご家庭は少なくないでしょう。この連載では、『ゆる中学受験 ハッピーな合格を親子で目指す』の著者である亀山卓郎先生に、親子で疲弊しない中学受験をテーマにさまざまなお話を伺います。

今年はコロナの影響もあり、多くの学校で夏休みが短くなります。特に受験が間近に迫る高学年の子がいる場合、わが子がちゃんと受験勉強をこなしているか不安になる親御さんもいるかもしれません。一方で4年生以下の子を持つ家庭のなかには、この夏をどのように過ごしたら良いか悩む家庭も多いのではないでしょうか。

そこで今年の夏の過ごし方について、夏期講習の乗り切り方、そして今年の夏を有意義なものとするためのポイントについてお伝えします。

夏期講習が過密日程に

今年の夏は、親子ともに忙しい夏となります。特に夏期講習は、例年以上に過密日程になることが各塾から発表されています。

例に漏れず、私の塾(進学個別桜学舎)の夏期講習も盛りだくさんです。具体的には、学校がない土日は朝からフルの講習が控えていて、平日も夕方から授業が入る予定です。毎年おこなっていた夏合宿はやむなく中止としましたが、合宿を予定していた期間にも授業をおこなうことで、例年どおりの授業時間数をなんとか確保できました。ちなみに、土曜日が学校の登校日と重なることもあるので、9月に予備講習の時間も設けています。

このように今年の夏は、月曜から金曜までは学校と塾、そして土日もずっと塾といったように、受験生にとってはかなり忙しい日々が待っています。そこで重要になってくるのが、家庭での「気分転換」です。

「気分転換」がカギを握る

今年の受験生のなかには、学校と塾の両立がうまくいかず、心の余裕が持ちにくくなる子も出てくるかもしれません。こうした子に対し、親御さんがさらに追い詰めてしまうと、その子のストレスが爆発してしまうこともあるでしょう。そのため例年以上に忙しくなる今年の夏こそ、親御さんは子どもに対し、「息抜きの時間」を意識的に取らせてあげてほしいと思います。

親の過度な声掛けが、子どもの「パンク」の原因に

「受験をする以上、子どもには満足のいく結果を残してほしい」

中学受験を控える親御さんには、少なからずこのような思いがあるはずです。そのため子どもが勉強していない姿を見た日には、つい叱ってしまうこともあるでしょう。遊んでいる現場を見つけて、「いい加減勉強しなさい!」「宿題はやったの?」と声を荒げてしまう親御さんもいるかもしれません。

ただし特に今年の夏は、子どもにとって試練のとき。夏期講習をはじめ、多くの受験生にとって勉強に追われる日々が待っています。そのようななか、家に帰って一息つきたいときに「もっと勉強しなさい!」と言われたら、パンクしてしまうことでしょう。

「やるべきこと」ができていたら口を出さない

そうはいっても、遊んでいる子を見ていると、どうしても不安が募ってくるのが受験生の親というもの。そこで、わが子を注意する基準として、「やるべきことをしっかり終えているかどうか」を意識してみてください。

たとえば、やるべきことを丸投げし、現実逃避するかのように子どもが遊んでいる場合は、親が「待った」をかけるべきです。一方、予定していたタスクを子どもがすべて終えて遊んでいるなら、2時間でも3時間でも遊ばせてあげましょう。受験生であっても、まだまだ小学生。気分転換は絶対に必要です。

やるべきことを終えていたらしっかり遊ばせる、勉強するときには集中して取り組ませる ――。今年の夏は、こうしたメリハリを特に意識してみてください。

有意義な夏とするために

ここからは、この夏を有意義に過ごすためのポイントについてお伝えします。

5年生、6年生 ―― 学習計画を立て、勉強量を明確に

5年生、6年生は、この夏は具体的な学習計画を組み立てて勉強に取り組んでほしいですね。計画を立てることで勉強習慣が身につくようになるのはもちろんのこと、「気分転換の時間を確保しやすくなる」というメリットも生まれます。そのうえで特におすすめしたいのが、子ども自身で学習計画を組むこと。自主的に計画を組んで、やるべきことを終えたことの達成感をやりがいにすることができれば、受験勉強を前向きに続けることもできるでしょう。

学習計画は「1週間単位」がおすすめ

私は塾の生徒たちには、「1週間単位で学習計画を立てること」をアドバイスとして伝えています。計画を立てるスパンを「1週間」とする理由は、「1か月」「夏休み全体」といった長い期間で設定すると、目標達成までの進捗がわかりづらくなってしまうからです。場合によっては、やるべきことが後ズレになってしまい、期限までに課題が終わらなくなるケースも出てきます。

そこでおすすめなのが、1週間単位で学習計画を立てること。具体的には、月曜から金曜の間に計画を組み込み、土日は何もタスクを入れない、という学習サイクルです。土日に予定を入れない理由は、予定をパンパンに入れてしまうと消化しきれないタスクが出てしまうからです。

1週間の学習計画に取り組むときは、以下のポイントを参考にしてみてください。

・その日の勉強が夕方までに終わったら、残った時間は気分転換の時間に充てる
・平日に消化しきれなかった課題があれば土曜に取り組む
・それでも消化できなかったら日曜に終わらせる
・日曜の夜に、次の1週間の学習計画を立てる

1週間の学習計画の立て方

日曜日の夜に立てる翌週の学習計画については、まずは使用する参考書を見ながら、「何ページから何ページ」「問1~12まで」というように、具体的な形でタスクリストをつくりましょう。時間的に区切る必要はありません。リストが完成したら、各項目の前にチェックボックスをつくっておきます。それぞれの計画を終わったときにチェックを入れることで、達成感が湧き、「またやりたい」「もっとやらなくちゃ」と勉強に対する姿勢も能動的になっていくものです。

ちなみに、先ほど「土日は予定を入れない」と説明しましたが、日曜日は「計画立案」の予定をひとつだけ組み込んでみるのも良いですね。こうすることで、計画を立てる習慣も身につきやすくなります。

1~4年生 ―― 夏の間に知的好奇心を育む

1~4年生は、多くの子がまだ本格的な受験態勢に入っていません。そのため塾や学校の宿題、自宅学習をマイペースにこなす一方で、この夏は知的好奇心を刺激できる、さまざまなことにチャレンジしてほしいですね。

「台所で生まれる疑問」が子どもを育てる

現在はコロナの状況もあり、なかなか遠出ができない家庭も多いことでしょう。しかし実は、家のなかで料理をすることも子どもの知的好奇心を育てることにつながります。

料理をはじめたばかりのころは、分量を間違えて味つけがしょっぱくなりすぎたり、味がまったくしなかったりと、失敗することもあるでしょう。しかし、「何が足りないんだろう?」「隠し味に何を入れようかな?」など、つくっていくうちにさまざまなことを考えるようになります。なかには、食材の産地や、加工食品の原材料に興味を持つ子もいるかもしれません。

どうすればより良いものになるのか、足りないものは何か ――。このように考え、改良・改善に努めることは、勉強でも大切な姿勢です。そして、好奇心を持って物事を知ろうとする姿勢は、人生も豊かにします。今年の夏こそ、台所に立つという経験をぜひ多く積んでみてくださいね。

何かを育てる経験を積む

何かを育てる経験も、子どもの知的好奇心を大きく育てることにつながります。たとえば花や植物、ミニトマトやパクチーといった野菜を育ててみるのも良いでしょう。

動物でも植物でも、生きているものを育てるということはトラブルの連続です。病気になったり、ケガをしたり、枯れてしまったりと、うまくいかないことがたくさんあります。

こうしたときに親として大切なのが、すぐに答えを教えないこと。「何が足りなかったんだろうね」「何が悪かったんだろうね」というように、ひとりでじっくり考えさせるような声掛けをお子さんにしてほしいですね。すると子どもは、インターネットで検索したり、本を読んだりして原因を考え、自分なりの解決策を導き出すものです。つまり生き物を育てることは、理科の勉強になるだけでなく、問題解決力を育むことにもつながるのです。

息抜きを忘れず、充実した夏を

学校生活、塾での授業、自宅での勉強など、今年の夏はやるべきことが盛りだくさんです。だからこそ、一日のやるべきことを明確にすること、そして「楽しむときは楽しむ」というメリハリが特に大切になってきます。

忙しいなかでも、考え方によっては楽しい時間をつくれるものです。過密なスケジュールに流されることなく、気分転換の時間もしっかりと確保して、充実した夏を過ごしてほしいと思います。

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主催:進学個別桜学舎


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※記事の内容は執筆時点のものです

亀山卓郎
亀山卓郎 専門家・プロ

かめやま たくろう|明治学院高等学校、成城大学卒業。大手塾・個人塾などで教務経験を積んだ後、2007年に転居のため千葉県及び江戸川区の塾を閉鎖し、台東区上野桜木で「進学個別桜学舎」をスタート。首都圏模試の偏差値で60を切る学校への指導を専門に「親子で疲弊しないノビノビ受験」を提唱している。TJK東京私塾協同組合員、第一薬科大学付属高校上野桜木学習センター長。YouTube「下町塾長会議」構成員。著書「ゆる中学受験ハッピーな合格を親子で目指す」(現代書林)、「めんどうな中学生(わが子)を上手に育てる教科書」(ブックトリップ)、構成・問題監修「LIZ LISA Study Series中1/中2」、監修「おっぱっぴー小学校算数ドリル」(KADOKAWA)

この記事の著者

編集・ライター。学生時代から都内で6年間塾講師を務める。塾講師時代は、おもに作文・国語・英語の科目を担当。小学生から中学生までの指導にあたる。現在は編集・ライターとして教育関連をはじめ、街歩き・グルメ記事の執筆取材をおこなう。