連載 親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

コロナ禍の受験で大切にしたいこと ―― 親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

専門家・プロ
2020年8月18日 やまかわ

中学受験と聞くと、難関校を目指す受験がどうしてもイメージされます。しかし、そうではない、あるいはそのやり方に疑問をもつご家庭は少なくないでしょう。この連載では、『ゆる中学受験 ハッピーな合格を親子で目指す』の著者である亀山卓郎先生に、親子で疲弊しない中学受験をテーマにさまざまなお話を伺います。

今年の中学受験は、コロナ禍で予想がつかない状況です。場合によっては、塾が再びオンラインだけの授業をするかもしれませんし、感染の波が入試期と重なってしまったら、試験が延期される可能性もあります。ですから今年は、何が起きても動じない学力を早い段階で築かなくてはなりません。つまり、例年以上に「備え」が大切です。

一歩一歩、亀のように

今年の中学受験は「コツコツと勉強する姿勢」が身についている受験生が強いでしょう。一方で「だろう運転」(状況を楽観的に都合よく予測して運転すること)のような心構えでいると、”大事故”が起きてしまう可能性もあります。これはどのレベルの志望校を目指していても、どこの塾に通っていたとしても同じです。

受験生のなかには、短期間ですごい集中力を発揮したり、短時間で要領よく勉強を終えられたりする子たちがいます。例年は、こうした子が直前期に驚異的な伸びを見せて、志望校に合格することも少なくありませんでした。しかし、今年は直前期に集中的に長時間の勉強時間を取れるかどうかわかりません。今年は「うさぎと亀」の亀のように日頃から一歩一歩コツコツと勉強に取り組んでいる子が、最後には勝つ姿が予想できるのです。

緊急事態宣言が出てから今に至るまで、多くの塾で授業時間数が削られています。その間、自宅でコツコツと勉強をこなしていた子は、数カ月後に成績がしっかり伸びてくるでしょう。

親御さんからすると、何度勉強してもなかなかできるようにならない子や、粘り強くやり続けても結果に表れない子は、力がついていないように思えるかもしれません。しかし、見えない部分で経験値は蓄積されているものです。それが成果に反映されるのは、ある程度時間が経ってから。「学校が休校になった影響でちょっとバタバタしちゃった。あんまり勉強ができなかったな……」という6年生でも大丈夫です。今から亀のようにコツコツと粘り強く勉強することで、最後の逆転も期待できるでしょう。

5年生も、今年は特に着実な勉強を

コロナ禍で最も影響を受けているのは6年生ですから、5年生には6年生ほどの緊迫感はないかもしれません。しかし、5年生も今年は特に勉強の習慣を身につけておいてほしいです。習い事をしてもいいですし、趣味に時間をかけても構いませんが、来年コロナ禍が収まっている保証はありませんから、勉強にコツコツと取り組むことは心がけてください。一日の勉強時間とノルマを具体的に決めて、計画を遂行していく姿勢も大切です。

勉強以外のことに時間を取られて、遊んでしまった……、という日が何日も積み重なっていくと、この時期からコツコツ勉強しているライバルと差がでます。「忙しすぎて勉強の時間が取れない!」という場合でも、今年の5年生は特に、学力をキープする程度の勉強量は確保してほしいところです。

復習・間違い直しを重点的に

受験生は今、状況が落ち着かないなかで勉強しています。習ったことを覚え直す時間を十分に取れなくなる可能性があるので、一回一回の塾の授業をこれまで以上に大切にする必要があります。そのなかでも知識を定着させていくカギを握るのが「復習」です。

「勉強の理解が深まるから、予習をすべき」という考えは古くからあります。たしかに、学校の授業の場合はその通りです。ある程度知ったうえで授業に参加すれば、「何を言っているかさっぱりわからない」という事態は少なくなりますし、その教科への興味や関心が深まることもあるからです。

しかし、塾の授業で予習するとなると、自分で理解するには時間がかかります。その科目に苦手意識があるとやる気も起きません。受験勉強は時間との戦いです。今年は、予定していた勉強時間が確保できるかも不透明な状況ですから、受験生は予習ではなく復習に重きを置いてほしいですね。

復習でおすすめなのが「間違い直し」です。自分がどの過程で問題を間違えたのか、どう考えれば正解できたのかを理解できます。納得いくまで間違い直しをすると、できなかったことが「できるようになった!」という成長実感も持てます。塾の授業で取り扱った問題はもちろん、模試の問題を自宅で丸付けして解き直すことでも力はついてきます。

参考:模試の効果的な復習方法 ―― 親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

不安を感じるときこそ、できることをコツコツと

コロナの状況が読めず、落ち着かない日々を送る親子も多いと思います。しかしこうしたときこそ、やるべきことを明確にし、着実にこなしていく姿勢が大切です。一つひとつ丁寧にこなしながら、合格に向けてコツコツと歩みを進めていきましょう。

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※記事の内容は執筆時点のものです

亀山卓郎
亀山卓郎 専門家・プロ

かめやま たくろう|明治学院高等学校、成城大学卒業。大手塾・個人塾などで教務経験を積んだ後、2007年に転居のため千葉県及び江戸川区の塾を閉鎖し、台東区上野桜木で「進学個別桜学舎」をスタート。首都圏模試の偏差値で60を切る学校への指導を専門に「親子で疲弊しないノビノビ受験」を提唱している。TJK東京私塾協同組合員、第一薬科大学付属高校上野桜木学習センター長。YouTube「下町塾長会議」構成員。著書「ゆる中学受験ハッピーな合格を親子で目指す」(現代書林)、「めんどうな中学生(わが子)を上手に育てる教科書」(ブックトリップ)、構成・問題監修「LIZ LISA Study Series中1/中2」、監修「おっぱっぴー小学校算数ドリル」(KADOKAWA)

この記事の著者

編集・ライター。学生時代から都内で6年間塾講師を務める。塾講師時代は、おもに作文・国語・英語の科目を担当。小学生から中学生までの指導にあたる。現在は編集・ライターとして教育関連をはじめ、街歩き・グルメ記事の執筆取材をおこなう。