連載 しあわせな中学受験

Withコロナ時代の中学受験 夏休みの過ごし方|しあわせな中学受験にするために知っておきたいこと

専門家・プロ
2020年7月28日 中曽根陽子

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地域によって違いがありますが、今年の小学校の夏休みは短縮されるところが多いようです。塾の夏期講習は、7月最終週から始まります。そうなると、朝から15時まで学校に通い、帰ったらすぐに塾に行くという生活がしばらく続く人が多いのではないでしょうか。学校も遅れを取り戻そうと宿題を出すかもしれませんし、塾は学校とは違うペースで進みます。そうなると両方の課題に追われて、息切れしかねません。いったいどうしたらいいのでしょう。そこで、中学受験塾の先生に今年の事情について聞きました。

夏でドロップアウトしないように、休まず授業に参加することを目標にする

花まる学習会の中学受験部スクールFCの代表 松島伸浩先生は、「学校や塾の宿題に追われて、形だけの勉強になってしまったら本末転倒です。特に6年生は、秋からの追い込みに向けてこの夏はしっかりと基礎を仕上げておくことが大切です」と言います。

今年は誰にとっても特別な状況です。子どもたちも、長引く自粛生活で体力も落ちているし、学校でも塾でも「マスク、検温、手洗い、消毒、大声を出さない」など、制約がいっぱいでストレスもたまりがち。外で思い切り遊べず気分も晴れないし、いつも以上に心身の疲れが溜まっているはずです。また、交通機関も混雑し始めているので通塾での感染リスクもあります。

「受験生は、9月以降に伸びていきます。そこに向けて、この夏は、休まず授業に参加することを第一目標に取り組んでほしい」と松島先生。夏休みの過ごし方は、秋以降の伸びに影響すると言われていますが、今年はいつもと違う意味で、特別な夏です。親としては、勉強がはかどらなくて心配になるかもしれませんが、必要以上に焦らず、まずは食事・睡眠など、お子さんの体調管理に気をつけながら過ごしましょう。

規則正しい生活を心がける

体調管理でもっとも気をつけたいのは、睡眠です。お子さんは睡眠時間をしっかりと確保できているでしょうか?

過去のコラムでも睡眠の大切さは触れてきましたが、もう一度まとめておきましょう。さまざまな調査で、睡眠時間は学習意欲や成績に影響を及ぼすことがわかっています。たとえば、平成25年度の全国学力・学習状況調査では、睡眠時間を8〜9時間とっている児童が一番正答率が高いという結果が出ています(※)。

睡眠時間はもちろん大切ですが、時間だけが問題というわけでもありません。そのほかに大切なことは、朝起きて夜寝るまでの一定の生活リズムです。人は夜眠って、昼間活動する昼行生物ですから、太陽の動きと合わせて昼間に活動するように、体の機能が作られています。このリズムが体内時計といわれるものです。

この体内時計は、地球の1日24時間よりちょっと長いリズムなので、毎朝ほぼ決まった時間に起きて、太陽の光を浴びて体内時計をリセットする必要があります。睡眠時間が足りていても、このリセットがうまくいかず、体内時計のリズムのまま過ごすと、体温や神経の働き、ホルモンの分泌などが狂い、体のさまざまなところに不具合がでることがあります。

特に子どもの育ちに影響を及ぼすのが成長ホルモンです。分泌されるピークは夜11時から午前2時ごろだといわれていて、この時間帯に熟睡している必要があります。 そして、朝決まった時間に起きて朝日を浴びることで、コルチゾールやセロトニンなど、元気ややる気の源となるホルモンがたくさん分泌されるなど、睡眠習慣と心身の健康には密接な関係があります。

中学受験はマラソンのようなもの。目の前のクラス分けテストの成績も気になるかもしれませんが、入試本番にピークをもっていくことが目標です。そのためにも、体調管理を第一目標において生活リズムを整え、この夏を元気に乗り切りましょう。


これまでの記事はこちら『しあわせな中学受験にするために知っておきたいこと

※記事の内容は執筆時点のものです

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