中学受験ノウハウ 連載 しあわせな中学受験

Withコロナ時代の中学受験 オンラインで学校選び|しあわせな中学受験にするために知っておきたいこと

専門家・プロ
2020年7月29日 中曽根陽子

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新型コロナウイルスの感染拡大で、全国一斉休校という異常事態のなかで始まった新学期。6月からは登校を再開する学校が増えてきました。しかし、来年1、2月の受験については、感染状況いかんで、不透明な部分が多いです。リアルな学校説明会も十分に開かれていない現状下で、どのように学校を選べばいいのか考えてみましょう。

Withコロナ時代の学校選びはどうなる?

コロナ禍は、中学受験の学校選びにもさまざまな影響を与えています。あるご家庭では、「校風に惹かれて、片道1時間半近くかかる学校を第一志望校にしていました。でも、オンラインの対応が進んでいなかったことや、通学時のリスクを考えて、志望校を再考しはじめました」と言います。

また、子どもが通っている公立小学校でまったくオンライン対応ができず、一方的に課題が出されるだけだったことに疑問を持って、改めて中学受験に関心を持ったという人もいます。やはり、休校中に学校がどのような対応を取ったかを学校選びの基準に入れたというご家庭は多いようです。

6年生は、すでに第一志望校は決めている人が多いので、そこは変えないという人でも、併願校選びに関しては、前述の人と同様、通学時間が短い学校のなかから選ぶという声があがっています。

学校見学ができない! どうやって学校を見極めたらいい?

今年の学校選びが例年と違うのが、リアルな学校の様子を知る機会が少ないことです。1学期中の学校説明会はどの学校も開催を見送りました。首都圏の私学を対象に、首都圏模試センターが取得したアンケートによると、「6月中に広報活動を再開する」が10%、「7月以降に予定している」が27.5%、「9月以降に予定している」が25%という結果です(※)。

首都圏模試センター「受験情報ブログ」(7月4日公開記事)より。数値(%)は7月27日時点のもの

しかし、現状はまだまだオンラインでの学校説明会が中心です。例えば、首都圏模試センターの『おうちde オンライン説明会・相談会』は、7月5日、12日にオンライン説明会が開催されました。当日は個別相談会なども実施されましたが、その時に提供された120校407本の動画を閲覧することができます(7月17日現在)。また、スクールFCが提供する『オンライン合同学校説明会・個別相談会』では、学校の先生の合同インタビュー動画が見られます。また、オンライン個別相談会というサービスもあります。

こうしたサービスを活用して、各学校の様子を知ることは今の状況でできる一番手っ取り早い情報収集です。直接足を運ばなくても多くの学校を見比べるのは、オンラインの良さですね。あえてタイプのちがう学校を見てみると私学の多様さがわかっておもしろいと思いますし、新たな気づきがあるのではないでしょうか。そのなかで気になった学校を絞り込んでから、各学校のサイトをみるとよりイメージがしやすいと思います。学校によっては、休校中の取り組みをアップしていますので、それらを見ると、学校のICT活用の様子を知ることができます。

学校のサイトや、オンラインで学校見学。どこに注目すればいい?

私はこれまで、それぞれのご家庭に合う学校選びをしてほしいと願い、「学校選びの7つのポイント」を提案してきました。今回の事態を受けて7つめのポイントである「特徴ある教育を行っているか」の評価軸に「ICTの活用と新しい教育への視点」を加えることを提案したいと思います。

■学校選びの7つのポイント

  1. 校風を見る
    めんどうみの良さ ⇔ 自主性尊重
  2. カリキュラムを見極める
    受験科目重視型 ⇔ リベラルアーツ(21世紀型)
  3. 探究型の学習に取り組んでいるか
  4. 体系的なキャリア教育を行なっているか
  5. 課外活動を重視している
  6. グローバル化に対応しているか
  7. 特徴ある教育を行っているか
    →ICTの活用と新しい教育への視点

今回の学校休校という事態には、私学の大半がICTを活用して、授業やホームルームなどを行いました。そういう意味では、やはり対応は早かったと思います。一方で、その取り組み方に学校の個性や考え方が現れました。通常通りのカリキュラムをオンラインで実現した学校もあれば、生徒の負担を考えて、オンライン授業は午前だけに限定して残りは自習にした学校もあります。授業の配信よりも生徒の心のケアを第一に考えて対応した学校。課題の配信だけを行った学校。オンラインを使って探究型の学びに挑戦した学校など、さまざまです。

緊急事態に何を第一に考え、どう対応したのか。その辺りを見ていくと、学校の現状や個性が浮かび上がってきます。ぜひ各学校の教育理念や方針と照らし合わせながら、学校がなにを大事にして教育を行おうとしているのかを見極めて、お子さんを託せる学校を見つけてほしいと思います。


これまでの記事はこちら『しあわせな中学受験にするために知っておきたいこと

※記事の内容は執筆時点のものです

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中曽根陽子

中曽根陽子

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教育ジャーナリスト。小学館を出産のため退職後、「お母さんと子供達の笑顔のために」をコンセプトに数多くの本をプロデュース。子育て中の女性の視点を捉えた企画に定評がある。教育雑誌から経済誌、紙媒体からWeb連載まで幅広く執筆。中学受験に関しては「受験を親子の成長の機会に」という願いを込めて『1歩先行く中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』『後悔しない中学受験』(共に晶文社)『子どもがバケる学校を探せ』(ダイヤモンド社)などを執筆。教育現場への豊富な取材や海外の教育視察を元に、講演活動やワークショップもおこなっており、母親自身が新しい時代をデザインする力を育てる学びの場「Mother Quest」も主宰している。近著は『成功する子は「やりたいこと」を見つけている 子どもの「探究力」の育て方』(青春出版社)

1歩先行く中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい 成功する子は「やりたいこと」を見つけている 子どもの「探究力」の育て方