連載 親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

私立中堅校の受験トレンド ―― 親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

専門家・プロ
2020年8月20日 やまかわ

中学受験と聞くと、難関校を目指す受験がどうしてもイメージされます。しかし、そうではない、あるいはそのやり方に疑問をもつご家庭は少なくないでしょう。この連載では、『ゆる中学受験 ハッピーな合格を親子で目指す』の著者である亀山卓郎先生に、親子で疲弊しない中学受験をテーマにさまざまなお話を伺います。

私立の中堅校はとても多く、憧れの学校を探し出すのは簡単なことではありません。中堅校の受験を考えている家庭では、「そもそもどんな基準で学校を選べばいいんだろう」と迷ってしまうこともあるでしょう。そこで今回は、中堅校志望の親御さんと日々接する私から見た「中堅校の受験トレンド」を解説します。

「リニューアル校」は注目の的

人気を集める中堅校の特徴として挙げられるのが、目新しさです。特に経営者や教師陣、校舎などを取り換えて教育システムを一新した「リニューアル校」は、初年度から受験生が集まりやすい傾向にあります。リニューアル後数年間は教師陣も手探り状態のため、なかには授業についていけない生徒がでたり、生徒へのケアが疎かになったりする場合もありますが、新しい試みに惹かれてリニューアル校の受験を検討する親御さんは少なくありません。

広尾学園小石川が「台風の目」に

リニューアル校のなかで「台風の目」になりそうなのが広尾学園小石川です。もともとは「村田女子高校」という名称でしたが、広尾学園が運営する2校目の中高一貫校(共学)として2021年に再スタートすることになりました。

広尾学園のブランド力

広尾学園中学校・高等学校といえば、ここ十数年で着実に力をつけてきた、今や都内でも人気の上位校です。医学部・理系学部を目指す生徒を対象とした「医進・サイエンスコース」がある点も特徴のひとつ。その広尾学園に「小石川」という名称が加わることを考えると、広尾学園小石川が目標としている教育レベルの高さをうかがい知れます。

偏差値の伸びが期待できる

広尾学園小石川の初年度の評価は、偏差値約47~52(首都圏模試)。これは、中堅校志望の子でも頑張れば合格に手が届くラインです。そして、「三田国際(元・戸板女子)」「東洋大京北(元・京北中学)」がリニューアル2年目以降に偏差値を伸ばしたことを考えると、広尾学園小石川も同じ過程をたどっていく可能性は十分にあります。

共学校の新たな選択肢

広尾学園小石川は、JR山手線「巣鴨駅」「駒込駅」から徒歩13分の場所に開校します。JR山手線沿線には名門校が数多くあり、開成(西日暮里)、本郷(巣鴨)に代表される男子校、豊島岡(池袋)に代表される女子校が名を連ねています。しかし男女別学が多い一方で、最上位の共学校が少ないのがこれまでの山手線北・東部の”中学受験マップ”でした。そこに、2021年から広尾学園小石川が加わります。「都心のアクセスが良い共学校」「教育の質が期待できる共学校」を考える親子にとって、新たな選択肢になることでしょう。

「コミュニケーションの取りやすさ」も基準のひとつ

中堅校志望の親御さんのなかには、「コミュニケーションの取りやすさ」を重視する方も少なくありません。中堅校に進学する親御さんは、先生に色々なことを相談したいものです。すぐに学校に相談できるか、その内容を生徒指導にすぐに反映してもらえるか――。中堅校であればあるほど、先生と近い距離でコミュニケーションが取れるかという点を重視する傾向が強いのです。たとえば電話応対ひとつ取っても、学校に電話をかけたらすぐに出てくれるか、そして質問に誠実に答えてくれるかどうか。このようなポイントを志望校選びの段階でチェックする親御さんもいます。

「新たな取り組み」も注目を集める

新しい取り組みをしている学校も、中堅校志望の親子から毎年人気を集めます。

駒込中学のプログラミング入試

駒込中学は、独特な入試形態を取り入れる学校として知られます。「プログラミングSTEM入試」では、算数の基本的な問題に加え、プログラミングの問題を出題。教育用プログラミング言語「Scratch(スクラッチ)」が渡され、与えられた要件に沿ってプログラムを組みます。ディスカッションもおこなわれ、考察力や洞察力、リーダーシップなども評価されます。

さらに駒込中学では「自己表現入試」 も実施しています。これは図書館の資料を使いつつ、テーマに沿ったプレゼン資料や企画書を作成するというユニークな入試です。このような入試は、学校側の教育方針を親子に伝えるひとつの方法としても用いられます(駒込中学の教育方針は主に「STEM教育」「人間教育」 )。

そして、駒込中学が人気を集める理由がもうひとつあります。それは給食があること。お弁当をつくる手間が省けるため、親御さんからとても評判です。

「ICT教育」を進める中堅校も人気

入学時点で生徒全員にタブレットを配布する学校もあります。足立学園や桜丘、和洋九段女子が私の塾(進学個別桜学舎)の周囲では有名ですね。こうした中学では、コロナ禍の緊急事態宣言中でもオンラインで授業を行っていたようです。休み時間もビデオ会議ツールを繋ぎ、クラスメイトと話せる時間が持てたことで仲良しグループもできたとか。こうした学校に子どもを通わせる保護者の多くは、「私立に入学させて本当に良かった」と話しています。

ちなみに当塾には、緊急事態宣言期間中の学校の対応をみて志望校を決めると話す家庭もあります。「学校側が生徒を大事にしているか」という点を図る基準とされているようです。

子どもと学校の相性を第一に

志望校選びで大切なのは、子どもと学校との相性を見極めることです。今回紹介した以外にも、新しい取り組みを行う学校や、生徒に手厚いケアを行っている学校はたくさんあります。理想の学校に出会えるように、学校探しを続けていきましょう。

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主催:進学個別桜学舎


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※記事の内容は執筆時点のものです

亀山卓郎
亀山卓郎 専門家・プロ

かめやま たくろう|明治学院高等学校、成城大学卒業。大手塾・個人塾などで教務経験を積んだ後、2007年に転居のため千葉県及び江戸川区の塾を閉鎖し、台東区上野桜木で「進学個別桜学舎」をスタート。首都圏模試の偏差値で60を切る学校への指導を専門に「親子で疲弊しないノビノビ受験」を提唱している。TJK東京私塾協同組合員、第一薬科大学付属高校上野桜木学習センター長。YouTube「下町塾長会議」構成員。著書「ゆる中学受験ハッピーな合格を親子で目指す」(現代書林)、「めんどうな中学生(わが子)を上手に育てる教科書」(ブックトリップ)、構成・問題監修「LIZ LISA Study Series中1/中2」、監修「おっぱっぴー小学校算数ドリル」(KADOKAWA)

この記事の著者

編集・ライター。学生時代から都内で6年間塾講師を務める。塾講師時代は、おもに作文・国語・英語の科目を担当。小学生から中学生までの指導にあたる。現在は編集・ライターとして教育関連をはじめ、街歩き・グルメ記事の執筆取材をおこなう。

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