連載 親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

緊張感が見えない子にできること ―― 親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

専門家・プロ
2020年9月01日 やまかわ

例年、夏は半年後の受験本番に向けて勢いがつく時期です。しかし、今年はコロナ禍によって教室の授業ができない時期があったこと、夏期講習と小学校の両立から生じた疲労感などで、子どもたちは勉強に集中しきれていないように感じます。

「学習計画の管理」がポイント

9月以降、子どもが緊張感を持って受験勉強に取り組むためには、今年は特に親御さんの「学習計画の管理」が大切です。子供がダレないように注意深く見守る“目”が、例年以上に必要になります。

そもそも学習計画の管理とは、「いつまでに何をやらなくてはいけないのか」「宿題はちゃんと終わっているのか」を定期的にチェックする作業のこと。毎日確認する必要はなく、週2~3回で大丈夫です。むしろ大切なのは、何曜日の何時頃にチェックするか親子で話し合い、「なぜチェックが必要なのか」を子どもに伝えることです。

ここで避けたいのが、「いつも宿題を忘れるから、お母さんがチェックするね」と理由を一方的に押し付けてしまうことです。これでは、子どもは言うことを聞きません。そうではなく、「正しい方法で効率的に勉強できれば、勉強時間も短くて済むよ。だから、勉強がしっかり進んでいるか一緒に確認していこうね」というように、子どもにとってのメリットも挙げつつ、勉強をチェックする理由を伝えるのです。その方が子どもは、親が勉強を管理することに納得しやすくなりますし、前向きに取り組みやすいです。

チェックだけでなく、声掛けも

勉強のチェックといっても、宿題が提出期限に間に合いそうか確かめる、子どものノートを確認する、といったことだけでも構いません。ノートをチェックするときは、ノートが真っ白になっていないか、答えを丸写ししていないかも確認できると良いですね。そのうえで、よくできていたら褒め、ノートが真っ白な場合は「もう一度よく考えてみようね」と促してあげましょう。どうしてもわからない場合は、「塾の先生に聞いておいで」と声を掛けてあげてください。

ちなみに答えを丸写ししているとわかったときは、「ここの式に2/3って書いてあるけど、どこから出てきた数字なの?」といったように、子どもが答えに窮するような質問を投げかけるのがおすすめ。「お母さん、実は知っているよ」という“雰囲気”を子どもに伝えるのがポイントです。一方で「答えを写しているでしょ?」と直球を投げかけ、怒るのは禁物。「親に怒られたからやめた」では成長につながりません。誰かのせいにして行動を改めるのではなく、「答えを写すのはなぜ良くないのか」を自分で考えて理解できれば、正しい勉強の方法が身につきます。そして頭ごなしに叱ってしまうと、「ウソが見つかりにくい方法」を子どもがさらに考え出してしまうことも。「親が見つけて叱る→子どもが別の方法を考える→親がまた叱る……」といったイタチごっこがはじまり、親子関係がこじれてしまいます。

側にいてあげることが、何よりも大切

これまで多くの親御さんと接してきましたが、なかには「子どもとの接し方が上手だな」と思える方もいます。こうした親御さんは、子どもに「勉強しなさい」とは言いません。成績が下がったからといって、目くじらも立てません。ただし、子どもと“近い距離”で接することは強く意識しているようです。たとえば、普段から子どもの前で勉強するのもそのひとつ。勉強でなくとも、読書や料理など、趣味に没頭する姿を見せていることもあります。同じ本を読んで感想を伝えあったり、料理であれば味付けについて子どもと考えてみたり――。こうしたコミュニケーションがとれると、子どもは親からの愛情を感じ取りやすくなります。そして、「親が自分の側にいてくれる」と心から思えたとき、子どもの勉強意欲は高まるのです。

一方で、こうした関係性を築かないまま「今日は塾の授業で何をやったの?」「テストの点数どうだった?」と聞いてしまうと、子どもはうんざりします。中学受験生といえども、まだまだ小学生。親の表情をとても気にしています。親に叱られないかビクビクしている子は、安心して勉強に臨めません。逆にいつもニコニコ過ごす親を見れば、子どもは気持ちが落ち着き、勉強にも精が出るのです。

ただ一緒にいるだけでもいい

仕事が忙しく、子どもの面倒を見る時間が取れない親御さんもいるかと思います。この場合は、子どもが勉強している側に30分だけでも良いのでいてあげてください。お父さんだったら、子どもと同じ空間で仕事をしても良いでしょう。子どもを呼んで、自分の近くで勉強させるのです。親子で違うことをしていても、子どもは「構ってもらえた」と感じます。時間を共にする。これだけでも子どもは安心感を覚え、親子の関係が強固なものとなるのです。

子どもとの距離感を意識して

今年は例年以上に、子どもに緊張感を持たせなければいけません。「何が起こるかわからないから気を引き締めよう」と子ども自身が納得し、勉強していくことが大切なのです。ただし親御さんからすると、子どもとの距離感に迷ってしまうこともあるでしょう。そのときは、まずは怒りの感情を子どもの前で露わにしないこと。これだけは意識してみてください。そのうえで、子どもの近くにいてあげられると良いですね。これが、子どもにとっては何よりも嬉しいサポートなのです。

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※記事の内容は執筆時点のものです

亀山卓郎
亀山卓郎 専門家・プロ

かめやま たくろう|明治学院高等学校、成城大学卒業。大手塾・個人塾などで教務経験を積んだ後、2007年に転居のため千葉県及び江戸川区の塾を閉鎖し、台東区上野桜木で「進学個別桜学舎」をスタート。首都圏模試の偏差値で60を切る学校への指導を専門に「親子で疲弊しないノビノビ受験」を提唱している。TJK東京私塾協同組合員、第一薬科大学付属高校上野桜木学習センター長。YouTube「下町塾長会議」構成員。著書「ゆる中学受験ハッピーな合格を親子で目指す」(現代書林)、「めんどうな中学生(わが子)を上手に育てる教科書」(ブックトリップ)、構成・問題監修「LIZ LISA Study Series中1/中2」、監修「おっぱっぴー小学校算数ドリル」(KADOKAWA)

この記事の著者

編集・ライター。学生時代から都内で6年間塾講師を務める。塾講師時代は、おもに作文・国語・英語の科目を担当。小学生から中学生までの指導にあたる。現在は編集・ライターとして教育関連をはじめ、街歩き・グルメ記事の執筆取材をおこなう。