中学受験ノウハウ 入試の傾向

【2021年中学入試】試験日程や出題範囲はどうなる?

専門家・プロ
2020年8月26日 吉崎 正明

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新型コロナウイルスの影響が、徐々に中学受験にも表れ始めています。無事に入試がおこなわれるのか、出題範囲や試験方法はどうなるのかなど、不安を抱えている家庭も多いのではないでしょうか。2021年の中学入試について、現段階(2020年8月時点)で公開されている情報をもとに、試験日程や出題範囲などについてお伝えします。

※2020年8月時点での各学校の情報をもとにしており、今後の展望については筆者の予想も含まれます。正確な情報は各学校のホームページを必ずご確認ください

試験日程

試験日程に関しては、大幅な変更を発表している学校は見られません。現状、どの学校もほぼ例年通りの日程で実施するものと考えられます。

ただし、新型コロナウイルス感染防止対策の配慮から、集合時間の分散、入試回数の増減、試験時間の短縮など、対応は学校によってさまざまです。たとえば栄東中学は、入試時間や場所、日程を複数設けることで感染防止を徹底すると公式HPで発表しています。

■栄東中学校 感染対策(一部)
・第1回入試は、1月10日または1月12日から選択可
・特待生入試は1月16日、第2回入試は1月18日に実施予定
・本校会場の集合時間に1時間の時間差を設ける
・第1回入試は3会場で実施し、ひとつの教室の収容人数を25名に(例年は約40名)

日本大学第二中学では試験時間の短縮を導入し、国語・算数を各40分(例年は各50分)、理科と社会は合わせて40分(例年は計50分)にすると発表しています。試験時間を短縮することで感染防止を図り、受験生の負担を軽減する意図も伺い知れます。

2科目入試は増加か

近年の中学入試のトレンドとして、4科目や総合型、科目特化型が多く、2科目入試は減る傾向にありました。しかし2科目入試は受験時間が短く、時間短縮により三密を防げることから感染防止につながります。そのため、2科目入試を導入する学校や、利用する受験生が増えることが予想されます。すでに淑徳中学は、2021年の午後入試をすべて2科目入試とすることを発表。山脇学園は例年午前中におこなっていた試験の一部を午後に変更し、その試験では2科目入試を導入すると発表しています。

出題範囲

6月以降、出題範囲を明言する学校も現れています。学校説明会のなかで出題範囲を伝える学校も出てきており、各科目の出題範囲を調整する動きには注意が必要です。たとえば日本大学第二中学では理科の出題範囲を5年生まで、早稲田実業は国語の漢字書き取りの出題範囲を5年生までと発表しています。

出題範囲を明言することは、学校や塾の休校で学習機会が少なくなった家庭でも無理のない受験勉強ができるように、という学校側の配慮でしょう。ただし現時点で、出題範囲を明言している学校は多くありません。ほかの学校の様子を見たうえで発表することも考えられますが、そもそも出題範囲に関しては各学校の判断に委ねられています。すべての学校で出題範囲に変更があるとは言いきれないので、例年通りの学習範囲を勉強しておいたほうが安心でしょう。特に、基礎的な問題をしっかりと習得しておくことがカギを握ると思われます。

実施方法

オンライン授業や在宅勤務が増えるなど、ネット活用が多方面で進む時代の流れから、オンラインを活用した試験も今後さまざまな形で増えていくと予想できます。事実、一部の入試や帰国生入試にオンラインを導入した学校もあります。昭和学院は「算数1科入試」「マイプレゼンテーション」「アドバンストチャレンジ(特待生選考)」など、もともと多彩な試験をおこなう学校として知られますが、このほかに「算数1科オンライン入試」を実施することで注目を集めています。具体的な実施方法は、今後ホームページなどで発表される予定です。宝仙学園は2020年の編入試験でオンラインを導入したこともあり、2021年入試では帰国生入試の面接でもオンラインを導入することを発表しています。

面接や試験内容も変化

女子御三家のひとつ桜蔭中学は、受験生面接と保護者面接を例年実施していましたが、2021年入試は受験生面接のみとなります。神奈川県立中等教育学校の2校(相模原・平塚)は、ひとつのテーマにもとづきディベートをおこなう「グループ活動」という適性検査を導入していましたが、コロナウイルス感染防止対策を十分におこなうことが困難と判断し、2021年入試ではおこなわないと発表しています。

今後の学校情報に注目

今後も、入試に関する情報が随時発表されていきます。コロナ禍で不透明な部分もありますが、親御さんは各学校の動向に常に注目を払い、受験生は合格に向けて着実に勉強に励んでいきましょう。

※記事内でお伝えした情報は2020年8月時点での各学校発表の情報をもとにしており、今後の展望については筆者の予想も含まれます。正確な情報は各学校のホームページを必ずご確認ください

※記事の内容は執筆時点のものです

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