連載 「国語力」が、中学受験を左右する!

意外と苦戦する「書き抜き問題」。その対策とは|「国語力」が、中学受験を左右する!

専門家・プロ
2020年9月29日 水溜 兼一(Playce)

本連載では、国語の講師として、中学受験を目指す子どもたちを長年指導している南雲ゆりか先生が、国語力アップにつながるさまざまな方法を紹介します。

設問の答えとなる部分を本文から抜き出す「書き抜き問題」。該当箇所を探して書くだけなので簡単そうに見えますが、苦戦することがあります。今回は、試験で起こりがちなミスとその原因、対策方法をお伝えします。

ルールを知ることが、書き抜き問題対策の第一歩

書き抜き問題は、指示語が指している内容を文中から抜き出すものや、本文で述べられている事象に傍線が引いてあり、その原因が書かれている部分を抜き出すものなどがあります。解答が短めの場合は該当部分を全部書き抜き、解答が長くなる場合は「最初の〇字と最後の〇字を書き抜きなさい」という指示があり、該当箇所の一部だけ抜き出す形が一般的です。

「書き抜き問題は簡単に解けそう」と思う保護者の方は多いのですが、正答率が低い問題も少なくありません。特に、解答部分が設問の傍線部からかなり離れていると、答えを探しきれないケースが目立ちます。また、書き抜き問題のルールを理解していないため不正解になることもあります。まずは、どんなミスが多いのかいくつか紹介しましょう。

単純な書き抜きミス

たとえば、「しっかりと学ぶ」と書き写さなければいけないところを、「しっかり学ぶ」と文字を抜かしてしまったり、文中に含まれる句読点を書き忘れたりします。ほかにも、答えの最後に必要のない句点をつけてしまう子もいます。これらのミスは、マス目がなく、枠で囲われただけの解答用紙に答えを書く場合に多発します。正確に書き抜くためには、普段の学習で、子ども新聞のコラム写すなどの視写に取り組むのが効果的です。

一文をきちんと抜け出せない

「一文で書き抜きなさい」という指示があるのに、文の途中から書いてしまったり、最後の句点を抜かしてしまったりすることがよくあります。一文書き抜きの場合は、文の初めから書いて、最後の句点まで入れないと正解になりません。

字数を必要以上に余らせる

「20文字以内で答えなさい」という問題に対し、15文字以下の箇所を答えてしまうようなミスです。字数制限は、10、15、20…と5文字刻みで設定されることがほとんどで、余らせていいのは基本的に4文字までです。5文字以上余る場合は、書き抜く箇所を間違えているか、書き始めや書き終わりが違っています。

解答の条件となる字数を無視する

「〇文字以内の該当部分を探して抜き出しなさい」という問題で、始めと終わりの数文字を書き抜く場合、「〇文字以内」という条件を無視して、正解と違う箇所を探してしまうことがあります。「〇文字以内」というのは答えを探すためのヒントですから、自分が抜き出した箇所の文字数は必ず数えましょう。条件となる文字数が多い場合、一文字ずつ数えていると途中で数えた文字数を忘れてしまうことがあります。数えるときに10文字ずつスラッシュを入れていくなど、数えやすくするための工夫が必要です。

問われていることと、抜き出した文の品詞が対応していない

「筆者が挙げているもの何ですか?」という問いに対する答えは、名詞で終わらなくてはいけないのに、「~です」と答えたり、動詞で終わらせたりするミスです。問いの内容をよく読んで、品詞を対応させる意識が必要です。

適切な個所を抜き出せない

「初めと終わりの〇文字を書きなさい」という問いに対し、該当箇所の見当がついたのに、答えの書き出しや書き終わりを間違えてしまうことがあります。どちらかが間違っている場合、原則として部分点はなく不正解になります。

このミスについては、語句のまとまりとしておかしいという判断ができず、答えの切り取りがうまくいかないケースも目立ちます。たとえば、「母はきっと悲しかったはずだと花子は思った」という本文があり、「花子は母がどのような気持ちであったと推測しているか書き抜きなさい」という問いに対して、「きっと悲しかった」と書いてしまう子がいます。「きっと悲しかった」の「きっと」は「はずだ」にかかるので、母の心情としては「悲しかった」だけを書くべきです。ほかにも、「昼食をみんなで分け合って食べること」と書き抜かなければいけないところを、「みんなで分け合って食べること」だけを写して、「昼食を」をカットしてしまうようなケースもあります。どこからどこまでが答えとなるのか、きちんと捉えられていないため、このようなミスが起こります。

書き抜き問題のルールを理解していないことによるミスは、特に4年生に多く目立ちます。対策の第一歩としてルールをきちんと覚えることが必要です。

「読む経験」を積んで、書き抜き問題に強くなる

書き抜き問題に強くなるためには、ルールを知ってミスをなくすほかに、答えに当たる箇所を素早く見つける力を養うことが大事です。生徒たちを指導していると、書き抜き問題を解くとき、「答えになりそうな箇所は大体この辺りかな」というアバウトな捉え方しかしていない子が多く見られます。加えて、答えに当たる箇所の文の構成をきちんと確認しようとする意識も足りません。テストを採点すると、見当違いのところを答えたり、目の付け所は合っているものの、抜き出す箇所がちょっと足りない、もしくは余分な語句がついているケースが目立ちます。

たとえば、説明文では本文の要点になる部分を書き抜かせることが多いです。普段の学習から、具体例が書かれている箇所はどこか、著者の主張がまとめられている箇所はどこか、本文の構成をきちんと把握する訓練が必要です。

書き抜き問題が得意な子は、文章を読む力がしっかり備わっています。本文を読んだときに、どこに何が書かれているかをある程度頭にインプットできるので、無駄なところを探すことなく、早く的確に解答できます。

文章を読むと、理解できたところや面白かったところが印象に残りますが、文を読むのが苦手な子は、その部分が少なく、まだらで、本文の内容がスカスカの状態で頭に残ります。一方、読む力がある子は、そのスカスカの度合いが低いです。本文を一読しただけで、どこに何が書いてあるか把握するためには、普段どれだけ本や文章を読んでいるかが大事です。読む経験をたくさん積むことが書き抜き問題に強くなる一番のポイントです。


これまでの記事はこちら『「国語力」が、中学受験を左右する!

※記事の内容は執筆時点のものです

南雲ゆりか
南雲ゆりか 専門家・プロ

南雲国語教室(東京都文京区)主宰。「正確に読む力、伝える表現力」の育成をモットーに小学生の指導にあたっている。東京都生まれ。横浜市の小学校教諭を経て、大手中学受験塾の国語科専任教師に。10年間、最難関コースの指導を担当するとともに、模試や教材の作成にも携わった。主な著書に、『笑って合格する!「中学受験」必勝法』『中学受験の合否を決める! 考える力がつく「国語」勉強法』(いずれもダイヤモンド社)『名探偵コナンの12才までに身につけたい本物の漢字力 1026字』(小学館)がある。現在、朝日小学生新聞で「楽読み楽解き国語の時間」、朝日新聞EduAで「国語のチカラ~読解力アップの教科書~」を連載中。

この記事の著者

雑誌・新聞の編集・ライターを経て、現在は、通信教育企業のキュレーションサイトや大学案内のライティングなどを担当。

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