連載 「国語力」が、中学受験を左右する!

受験校をどう検討すればよいか? 選ぶときに考えたいポイント|「国語力」が、中学受験を左右する!

専門家・プロ
2020年9月02日 水溜 兼一(Playce)

本連載では、国語の講師として、中学受験を目指す子どもたちを長年指導している南雲ゆりか先生が、国語力アップにつながるさまざまな方法を紹介します。

数ある中学校のなかから、どのように受験校を選べばいいのか? 今回は、選ぶときに考えておきたいポイントを紹介します。

受験校選びで押さえておくべきポイント

お子さんに合った受験校を選ぶためには、偏差値だけでなく、教育内容や校風、子どもとの相性、将来の進路など、さまざまなことに目を向ける必要があります。どのような点を考えればいいか、ポイントをいくつか紹介します。

新進校がいいのか、保守的な学校がいいのか

中学校のなかには、先進的なグローバル教育やアクティブラーニングなど新しい教育カリキュラムをどんどん取り入れているところがあります。その一方で、昔ながらの伝統的な教育方針を貫く、どちらかと言えば保守的な学校もあります。読者のなかには「新進校を選んだ方がよいのか」と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。保守的な例としては、いわゆる“お嬢様学校”として昔から定評のある中学校が挙げられます。こうした伝統校の中には、昔ほど人気がないところもありますが、きちんとした家庭の方が多く、厳格な校風でマナー教育も徹底されているので安心して通わせられます。親子ともに気に入っているのなら、「保守的だから」「人気がないから」という理由で、候補から外す必要はありません。新進校か保守的な学校か、お子さんとの相性も考えてみましょう。

英語教育やグローバル教育が充実しているかどうか

英語教育を重視される場合、授業内容や使用教材、海外研修の有無もチェックポイントの一つです。海外研修は、長期休暇を含めて1カ月ほど行う学校が多いようですが、希望者が全員行ける学校と抽選制のところがあります。グローバル教育では、いま世界的に注目されている教育プログラム「国際バカロレア」の認定校になっている学校があります。「国際バカロレア」は、世界に通用する思考力や表現力、コミュニケーション能力などが身につけられ、「国際バカロレア」が課す試験に合格すると「ディプロマ(認定証)」が与えられます。このディプロマが世界的に価値のある資格となっており、将来、難関大合格や、海外の学校に進学する際、非常に有利と言われています。

医学部進学者が多いかどうか

将来、大学の医学部進学を見据えて中学受験をするご家庭もあります。その場合は、医学部進学に強い学校かどうかは必ず確認すべきポイントです。国公立大医学部医学科進学者が多い学校としては、桜蔭中や豊島岡女子学園中、開成中や筑波大附属駒場中、共学校では渋谷教育学園幕張中などが挙げられます。一方、青山学院中や早稲田実業中などは偏差値は高いものの、大学に医学部がないことから、「将来、医学部に進みたい!」となった場合、勉強が大変になる可能性があります。あらかじめ目標が決まっている場合は、医学部進学をサポートしてくれる学校かどうか事前に調べておきましょう。

授業以外の講座があるかどうか

私立中高の中には、夏期講習などを行う学校もあります。講習の費用が安く、実費のみの学校もあります。授業以外の講座を設けている例として、渋谷教育学園渋谷中では、第2外国語講座で、フランス語、ドイツ語、スペイン語、中国語、韓国語を学べます。講座の充実度も学校選びのポイントです。

面倒見の良さ(学習のフォロー・進路指導など)

生徒や保護者と先生の距離感は学校によって異なります。生徒と一定の距離を取り、学習も生徒たちのポテンシャルにある程度まかせる学校もあれば、生徒と先生が積極的にコミュニケーションをとって、授業についていけない時の学習のフォローや進路指導をきめ細かく行っている学校もあります。なんでも自分でやろうとする自主性の高い子は前者の方が良いかもしれませんが、先生の積極的な指導に引っ張られて伸びる子もいますから、お子さんの性格も踏まえて判断したいところです。

いじめなどに対して毅然とした態度を取っているかどうか

入学後、人間関係をうまく構築できるかどうかは気になるところです。特にいじめについて心配される保護者の方も多いようです。いじめに対してどのような対応をしているのか、学校説明会などで聞くのは失礼なことではありませんから、気になる場合は確認しておきましょう。

親の目から見て、生理的に嫌だと感じる点はないか

学校によって校風はさまざまです。偏差値や教育内容だけで判断するのではなく、教室やトイレの清掃が行き届いているかどうか、生徒の態度はどうかなども目を向けたいところです。母親の直感は案外鋭いところがあるので、学校を見学したときに、「うちの子には合わない」と思った場合は考え直した方がよいでしょう。

受験校の情報を親子できちんと共有する

学校選びは、前述したポイントのほかに、子どもの意見に耳を傾けることも大切です。しかし、子どもの意見に過敏になって、振り回されるのはよくありません。たとえば、「クラスの嫌いな子のお兄さんが通っている中学だからイヤだ」「あそこの中学は偏差値が低いから恥ずかしいよねって、友達に言われた」などの意見を真に受ける必要はないと思います。

ほかにも、「制服がかわいいからこの学校に行きたい」という意見も学校選びの決定打にはならないでしょう。子ども同士でも中学受験の話をすると思いますが、子どもが得る情報は限られていますし、友達に言われたことに振り回されることもあります。受験をするのは子どもですが、子どもが客観的な情報を踏まえて判断することは難しいです。学校選びは親が主体となって、冷静に判断する必要があります。

大事なのは、受験候補の学校について親子できちんと話をすることです。親が薦める学校はどんな学校なのか、その学校に入るとどんな先生がいて、どんな勉強や活動ができて、後の進学にどうつながるのかをていねいに説明しましょう。そのときには学校の良い点だけでなく、たとえば、通学に少し時間がかかる、入りたいと思っていた部活がないなどのデメリットも正直に伝えることも大切です。今まで多くの受験生を見ていて、「いい受験をしたな」と感じるご家庭は、学校の特徴を親子でしっかり共有していますし、生徒に「どうしてこの学校に行きたいの?」と聞くと、理由をきちんと答えられます。受験校の情報を親子でしっかり共有することが、両者とも納得のいく中学受験をする大事なポイントです。


これまでの記事はこちら『「国語力」が、中学受験を左右する!

※記事の内容は執筆時点のものです

南雲ゆりか
南雲ゆりか 専門家・プロ

南雲国語教室(東京都文京区)主宰。「正確に読む力、伝える表現力」の育成をモットーに小学生の指導にあたっている。東京都生まれ。横浜市の小学校教諭を経て、大手中学受験塾の国語科専任教師に。10年間、最難関コースの指導を担当するとともに、模試や教材の作成にも携わった。主な著書に、『笑って合格する!「中学受験」必勝法』『中学受験の合否を決める! 考える力がつく「国語」勉強法』(いずれもダイヤモンド社)『名探偵コナンの12才までに身につけたい本物の漢字力 1026字』(小学館)がある。現在、朝日小学生新聞で「楽読み楽解き国語の時間」、朝日新聞EduAで「国語のチカラ~読解力アップの教科書~」を連載中。

この記事の著者

雑誌・新聞の編集・ライターを経て、現在は、通信教育企業のキュレーションサイトや大学案内のライティングなどを担当。

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