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理科のグラフに強くなる[後編]グラフ読み解きの基本|なるほどなっとく 中学受験理科

専門家・プロ
2020年10月08日 水溜 兼一(Playce)

学習範囲が広く、難しいイメージがある理科の中学入試問題。難関校に多くの子どもを合格させてきたカリスマ講師・小川眞士さんが、子どもの理科力を育むためのヒントを伝えます。

入試理科でよく出題されるグラフ問題。今回は、グラフを読み解くための基本的なポイントと、家庭でグラフに親しむ方法をお伝えします。

基準と規則性を見つける

グラフ問題に強くなるためには、グラフを読み解くための基本的なポイントを知ることが大事です。棒グラフや円グラフなど、グラフにはいろいろな種類がありますが、ここでは、理科の学習でよく扱われる線グラフについて述べます。

グラフを読み解くには最初に次の4点を確認します。

  • 横軸と縦軸が表しているもの
  • 横軸と縦軸の単位
  • 横軸と縦軸の目盛り
  • 原点の値(0とは限らない)

グラフは横軸が変化させたもので、縦軸がその結果変化したものです。つまり、横軸の値に対して縦軸の値が決定します。たとえば、グラフ1は、強さが異なる3つのばねにそれぞれおもりをつるしたときの、のびを示したグラフですが、横軸の「つるしたおもりの重さ」によって、縦軸の「ばねののび」が決まります。

グラフ1

次に、グラフが直線的に変化しているか、曲線的に変化しているかを確認し、グラフからわかった情報を整理して基準と規則性を見つけます。直線のグラフなら、横軸と縦軸が示しているものは比例するので、たとえば横軸の量が1倍になったら縦軸の量は2倍になるなど必ず規則性があります。

また、グラフ2のように、線の角度が途中で変化している場合は、線が曲がったP点が基準になります。つまり、直線のグラフで折れ曲がった点があれば、その点でなぜグラフが曲がっているのかを考えることが、規則性の発見につながります。

グラフ2

あるところまで正比例で、その先は縦軸の値が変化せずに一定となるグラフは、グラフの角度が変化する点が基準となり、その点の意味を考えることが最重要ポイントになります。グラフ3は、一定量(20㎤)の塩酸に亜鉛を加えていったときに発生する水素の体積を示していますが、亜鉛を1.6g以上加えた後は、グラフは横軸に平行になっています。これは、亜鉛を1.6g加えたときに塩酸がなくなったため、その後、亜鉛を加えても水素が発生しなくなったことを示しています。ここから、塩酸20㎤は亜鉛1.6gとちょうど結びつき、水素が600㎤発生することがわかります。

グラフ3

一方、グラフで表そうとしているものが、なめらかに変化しているものなら、グラフは曲線になります。曲線グラフの代表的なものには、溶解度曲線(グラフ4)があります。水100gに対して最大限どれくらい溶けるかを表す数値を、その物質の溶解度と言います。

溶解度は水温によって違うので、横軸に水温、縦軸に溶解度をとってグラフにしたものが溶解度曲線です。ほかに、気象の学習で出てくる飽和水蒸気量のグラフも曲線になります。自然現象に関するグラフは曲線になるものが多く、曲線のグラフは規則性がないので、それぞれの点を書いた後なめらかに結び、どのような変化が起きているのかを考えます。

グラフ4

ここまで述べた作業を確実にこなし、基準や規則性を見つけられれば、グラフは読み解けたことになります。あとは、読み取りの間違いや計算間違いなどに注意しながら、設問に的確に答えていきましょう。

身の回りのグラフに親しむ

グラフの理解を深めるには、テキストや参考書の問題を解くだけでなく、私たちの身の回りにあるグラフに目を向けてみることも大事です。たとえば、今年は新型コロナウイルスの感染者数の推移グラフをよく見かけますし、ほかにもGDP(国内総生産)のグラフなどもテレビや新聞で紹介されています。グラフがどのように変化しているのか、親子で話してみることもグラフを読み解く力を養うのに役立ちます。

さまざまなグラフの例

また、自分でグラフを作成してみることもおすすめです。普段の生活の中では、いろいろなものをグラフにできます。たとえば貯金額の変化をグラフに表したり、ゲームをしたらステージごとに何分でクリアできたかをグラフにしてみたり、ほかにも、親に怒られた回数や褒められた回数をグラフにしてみるのも面白いかもしれません。テーマはなんでもいいので、子どもが興味のあることを自分でグラフにしてみると、グラフ作成の練習にもなりますし、グラフから読み取れることもあるでしょう。

身近なことをグラフにしてみた例

「グラフ問題は解くのが面倒」と思っている受験生もいますが、普段からグラフに親しむことは大事です。そして、学校や塾の授業では、各単元の典型的なグラフを理解し、グラフを読み解くためのポイントをきちんと押さえれば、得点力が上がるはずです。苦手意識が払拭されれば、問題に取り組む姿勢も変わります。グラフ問題が得点源になるように取り組んでほしいと思います。


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※記事の内容は執筆時点のものです

小川眞士
小川眞士 専門家・プロ

小川理科研究所(東京都豊島区)主宰。都内の中学校教諭を経て、四谷大塚進学教室理科講師に。開成や桜蔭の特別コースを約25年間担当、コース生28人全員が開成中学に合格した実績を持つ。教務主任や副室長も務めた。2009年4月に小川理科研究所を開設。主な著書に、『中学受験 理科のグラフ完全制覇』(ダイヤモンド社)、『これだけ理科』(森上教育研究所スキル研究会)、『カンペキ小学理科』(技術評論社)がある。

この記事の著者

雑誌・新聞の編集・ライターを経て、現在は、通信教育企業のキュレーションサイトや大学案内のライティングなどを担当。

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