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受験勉強前に知っておきたい! 中学入試「算数」の特徴と、解法テクニックの重要性

2020年10月15日 石井知哉

「算数1教科型入試」を導入する学校が増えるなど、中学受験生にとっての算数の重要性はますます高くなっています。求められる能力も勉強も、小学校の算数とは大きく異なる中学受験。その特殊性と、解法テクニックの重要性についてお伝えします。

中学入試の算数はどこが「特殊」なの?

「中学入試の算数は難しい」「特別な勉強が必要」といったイメージをもたれる保護者は多いようです。書店で私立中学の過去問を見てみたら、大人でも歯が立たないような問題ばかりで驚いた経験をもつ方も多いのではないでしょうか?

事実、小学校の授業や教科書だけでは対応不可能なレベルの問題を出す学校は少なくありません。学校のテストでは100点を取れる子が、力だめしで中学受験塾の模試を受けてみたら50点も取れず、親子ともにショックを受けて帰っていった……ということも珍しくないのです。

それもそのはず、中学入試の算数には次のような特徴があります。そしてこれらの特徴を知っておくことが、中学入試の算数を攻略するポイントとなります。

■中学入試 算数の特徴
・「高度な計算力」が求められる
・「特殊算」が出題される

算数攻略のポイント【1】高度な計算力

ひとつ目のポイントは、高度な計算力です。

高度な計算力とは、「①複雑な計算を」「②ミスなく」「③速く」進める力のこと。「高度な」といっても、方程式や不等式のような小学校では習わない手法が必要、といった意味のレベルの高さではありません。中学受験で必要なのは、あくまで加減乗除(たし算・ひき算・かけ算・わり算)です。しかし中学入試の計算問題では、整数や小数、分数が入りまじった問題が出されたり、複数のカッコがついた式になっていたりと、「複雑さ」という意味でハイレベルな問題が出題されるのです。ちなみに「計算問題は確実に取ろう」と多くの塾で指導していますが、これはそれだけ計算問題が重要ということを意味しています。

そして、むずかしい文章題や図形の問題でも計算力は大切です。式は正しいのに、計算ミスで正解にたどりつけず悔しい思いをした……。これは、多くの受験生が経験することでもあります。そもそも、たとえ解き方をわかっていても計算問題に正解できるとは限りません。ここが計算問題のむずかしいところです。算数が得意な子でも、字を雑に書いて読み間違えたり、体調不良や寝不足で集中できなかったりと、ちょっとしたことで計算ミスが起こるのです。しかも入試当日は制限時間もあるため、1問にかけられる時間も限られます。つまり、プレッシャーがかかるなかでも、ミスなく速く解ける「高度な計算力」を磨く必要があるのですね。

算数攻略のポイント【2】特殊算

中学入試の算数を攻略するふたつ目のポイントは、特殊算への対策です。

特殊算とは、ある一定の文章題の解き方をパターン化したもの。たとえば、次のようなものです。

■特殊算の例
● つるかめ算
● 和差算
● 過不足算
● 損益算
● 旅人算(出会い算/追いこし算)
● 通過算
● 流水算
● 植木算
● 数列・規則算
● 仕事算
● ニュートン算

特殊算のなかには、方程式や不等式を使えば簡単に解けるものがあります。中学に進めば、未知の数を文字で表して方程式や不等式を立て、それを解いていく、といった解法も学べます。しかし小学校では、特殊算はもちろん、方程式や不等式といった「道具」を学びません。そのため、こうした「道具」を使わず、基本的な加減乗除で式を立て、答えを導ける“知恵”が備わっているか。これこそが、特殊算を出題する学校が求めているものなのです。

しかしながら、低学年のうちから特殊算の勉強をする必要はありません。まず大切なのは、問題文を正確に読み取って式を立てる力、そして計算力です。まずは、学校の教科書レベルの計算や文章題をすばやく解けるだけの基礎力を身につけましょう。

合格に一歩近づく「解法テクニック」

得意・不得意がはっきりわかれるのが、算数です。なかなか成績が上がらない、と悩んでいる受験生も少なくないでしょう。ここで改めて意識したのが、解法テクニックの重要性。中学受験の算数を攻略するうえで解法テクニックが重要な理由は、以下の2つメリットが手に入るからです。

■解法テクニックが重要な理由
・計算力がアップする
・応用問題に強くなる

テクニックを使って問題を解くことに慣れてしまったら、子供が裏技を使ってラクすることばかり覚え、地道な努力をしなくなるかも……。こうした不安を抱く親御さんもいるかもしれません。もちろん、コツコツと取り組むことは大切です。テクニックが便利だからといって、地道な努力を欠かすべきではありません。一方で「量」だけを積み重ねても、そこに「質」が伴っていなければ結果がついてこないのも事実。解法テクニックは、努力の質を高めるひとつの手段として捉えてみてください。

解法テクニックの効果【1】計算力がアップする

解法テクニックを利用すると、計算力がアップします。

たとえば「1.4×4.5」という計算問題を解く場合、小学校で習う一般的な方法では、筆算をして「6.3」と導きます。ところが計算力のある中学受験生は、以下のようなちょっとした工夫で簡単に解いてしまいます。

■工夫:1.4を、0.7×2に変換

1.4×4.5
0.7×2×4.5
=0.7×9
=6.3

上記であれば、筆算よりも速く解けますね。シンプルな計算になるので、計算ミスも防ぎやすくなります。そしてこれは、ほんの一例にすぎません。目からウロコが落ちるような計算テクニックは、ほかにもたくさんあります。

ちなみに、「ちょっと速く、簡単に計算できるくらいで……」と大げさに聞こえてしまうかもしれません。しかし制限時間があるなか、多くの複雑な問題を解く中学入試では、計算にかける時間やエネルギーを節約することが欠かせません。そして中学受験で培った計算力は、中学や高校進学後もプラスにはたらきます。ハイレベルな数学を乗りこえる基礎力となることも少なくないのです。

解法テクニックの効果【2】応用問題に強くなる

解法テクニックを使うと、応用問題にも強くなります。たとえば、速さに関する文章題。「速さ」は小学校の教科書でも扱う内容で、基本的には道のり・速さ・時間の関係を覚えたうえで式を立てます。一方で中学入試レベルの問題になると複雑な条件が加わり、式を立てるのが一筋縄ではいかない応用問題が頻出します。しかしこの場合も「表を使って問題文の情報を整理する」というテクニックを使えば、式を立てやすくなるのです。

出会い算や、追いこし算などといった速さに関わる特殊算も、「ダイヤグラム」と呼ばれる図を使えば正解を導きやすくなります。ほかにも、線分図や面積図などを使うことで問題文の意味が捉えやすくなることも。こうしたテクニックが、中学受験にはたくさん登場します。

思考力を問うタイプの問題でも役立つ

解法テクニックは、応用問題を攻略するための強い武器です。そして近年、多くの中学校が出題している思考力を問うタイプの問題でも、応用問題を解く際に使ってきたテクニックが役立ちます。そもそも思考力を試す問題の場合、解き方はすぐに見えてきません。設問文をよく読み、条件を整理しながらさまざまな角度から糸口をつかみ、正解への道すじを立てていく必要があるのです。このとき、「この問題のこの部分は、まえに解いたあの問題にちょっと似ているな。ということは面積図で整理して、ここを求めて、それからこうすれば……」といったように、テクニックを思い出しつつ解けると、からみ合った糸がほどけるようにスルスルと攻略できることも多いのです。

中学入試の算数を乗りこえるために

中学入試の算数は、学校の教科書の内容だけでは対応が困難です。ただし、教科書の内容が無意味なわけではありません。ピラミッドも一段目がないと造れなかったように、中学入試の算数を乗り越えるための一歩目も基礎力を固めることなのです。そのうえで、解法テクニックも役に立ちます。テクニックさえ覚えればすべて安心、というわけではありませんが、問題を解く「ヒント」を与えてくれるものであることは確かです。この頼もしい味方とともに、楽しみつつ算数を学んでいきましょう。

※記事の内容は執筆時点のものです

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