連載 親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

中学受験をはじめる前に―― 親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

専門家・プロ
2020年10月20日 やまかわ

中学受験と聞くと、難関校を目指す受験がどうしてもイメージされます。しかし、そうではない、あるいはそのやり方に疑問をもつご家庭は少なくないでしょう。この連載では、『ゆる中学受験 ハッピーな合格を親子で目指す』の著者である亀山卓郎先生に、親子で疲弊しない中学受験をテーマにさまざまなお話を伺います。

中学受験は、“親の受験”です。試験会場で問題を解くのは子どもですが、親の姿勢ひとつで子どものやる気は左右されます。そこで大切になるのが、親の「覚悟」。子どもを支え続ける覚悟を持てているかで、受験の成否が変わってくるのです。

親の「覚悟」

中学受験は、どこまでいっても親の受験です。子どもの意志を聞く前に、親自身が覚悟を決めなければ良い受験生活は送れません。そもそも「覚悟」とは、困難があっても乗り越え、決めたことは最後まで絶対にやり抜くと誓うこと。中学受験では、成績が上がらなかったり、子どもの勉強のやる気が湧かなかったりと、困難が次々におそってきます。しかし10歳と少ししか生きていない子どもたちに、そのような未来は想像がつきません。「今後の人生を考え、自分のために勉強する」といったこともできないのです。

つまり中学受験で子どもに「覚悟」を求めるのは、そもそも無理な話ということ。受験をはじめると、「あなたが受験したいって言ったんでしょ!」と子どもを怒ってしまう親御さんがいますが、厳しい言い方をすると、これは親の責任転嫁以外の何物でもありません。

そして親が覚悟を決めるうえで欠かせないのが、夫婦で受験の方針をしっかりと決めておくことです。意見のすれ違いがないように、お互いが納得してから「受験をするか、しないのか」の答えを出してください。そのうえで子どもに対し、「パパとママは、あなたにこんな人生を歩んでほしいと思ってる。だから、中学受験を考えてるんだ。一緒に取り組んでくれるかな?」と伝えてあげられると良いですね。

親は子どもの「羅針盤」

中学受験に取り組む子にとって、親の方針が二転三転してしまうことは特にストレスがかかるものです。なかには、勉強のやる気が出なくなったり、精神的に追い込まれて受験が続けられなくなったりする子もいます。私の塾(進学個別桜学舎)でも、親御さんの受験方針があれこれ変わってしまったことでストレスがかかり、腹痛でトイレから出られなくなる子もいました。

親は、子どもの「羅針盤」です。子どもが親を振り返ったとき、いつでも子どもの行き先を示せるように、特に中学受験は方針をはっきりさせておかなくてはいけません。そして子どもは、親の顔をよく見ています。親が笑顔なら子どもも笑顔になり、親が悲しめば子どもも悲しい気持ちになります。どんなときでも、笑顔でこの子を支える――。こうした覚悟は、子どもにとって何よりも心強いものだけでなく、受験を諦めそうになったとき、「もう少し頑張ろう」と親の気持ちを支え、再び受験へと奮い立たせる原動力となることも多いのです。

中学受験のサポート

中学受験に取り組むと、親御さんの生活は大きく一変します。たとえば、塾の送迎もそのひとつ。低学年のうちは19時前に授業が終わる塾もありますが、学年が上がれば21時近くまで授業が続くようになります。遅くまで授業が続く場合は19時ごろにご飯休憩をとる塾が多いため、お弁当づくりも日課となるでしょう。

ちなみに子どもが自宅で夕飯を食べるときは、普段の食事の時間を少しずらし、家族みんなで食卓を囲みたいですね。ごはんを食べながら親子で話をするのは、子どもにとって一日の疲れを癒す大切な時間。学校や塾について、「今日はどうだった?」と話を聞いてみてください。夕飯を一緒に食べるのがむずかしい場合は、親御さんがご飯をよそってあげるだけでも大丈夫。子どもの隣に座って、お茶を飲みながら話を聞いてあげるだけでも、子どもの気持ちや疲れは和らいでいきます。

勉強の声掛け、休日のイベント参加も

子どもが家から帰ったあとは、宿題や、塾の復習も待っています。「付き合ってあげるから、今日の宿題と復習だけ終わらせておこうね」と夕飯後に声掛けし、親の見える位置で子どもに勉強させるのもおすすめ。塾のない日は、やるべきことを明確にして週単位で学習計画を組み、子どもの目を勉強に向けさせるのも大切なサポートです。

中学受験にいざ取り組むと、土日・祝日も休まるヒマがありません。学校説明会や学校見学、模試など、受験がらみのイベントが目白押しです。親御さんにとっては、プライベートの時間をこれらのイベントに充てざるを得ないことも多いでしょう。イベントがない日も、子どもの勉強に付き合ったり、志望校をインターネットで探したりと忙しい日々を送ることになりますが、これも中学受験を志したからこそ。

「受験から離れられる日はない」

これは事実で、親御さんにとっては忙しい日々が待っていることを意味します。しかし親は、合格に向かって走り続ける子どもの”伴走者”。 どこまでも支え続ける覚悟をもとに、ゴールテープを切るその日まで、子どもの近くで走り続けてほしいと思います。


これまでの記事はこちら『親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

※記事の内容は執筆時点のものです

亀山卓郎
亀山卓郎 専門家・プロ

かめやま たくろう|明治学院高等学校、成城大学卒業。大手塾・個人塾などで教務経験を積んだ後、2007年に転居のため千葉県及び江戸川区の塾を閉鎖し、台東区上野桜木で「進学個別桜学舎」をスタート。首都圏模試の偏差値で60を切る学校への指導を専門に「親子で疲弊しないノビノビ受験」を提唱している。TJK東京私塾協同組合員、第一薬科大学付属高校上野桜木学習センター長。YouTube「下町塾長会議」構成員。著書「ゆる中学受験ハッピーな合格を親子で目指す」(現代書林)、「めんどうな中学生(わが子)を上手に育てる教科書」(ブックトリップ)、構成・問題監修「LIZ LISA Study Series中1/中2」

この記事の著者

編集・ライター。学生時代から都内で6年間塾講師を務める。塾講師時代は、おもに作文・国語・英語の科目を担当。小学生から中学生までの指導にあたる。現在は編集・ライターとして教育関連をはじめ、街歩き・グルメ記事の執筆取材をおこなう。

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