連載 親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

「特訓」がもつ本当の意味 ―― 親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

専門家・プロ
2020年10月06日 やまかわ

中学受験と聞くと、難関校を目指す受験がどうしてもイメージされます。しかし、そうではない、あるいはそのやり方に疑問をもつご家庭は少なくないでしょう。この連載では、『ゆる中学受験 ハッピーな合格を親子で目指す』の著者である亀山卓郎先生に、親子で疲弊しない中学受験をテーマにさまざまなお話を伺います。

「塾の特訓を受ければ成績が上がる」と考える親御さんは少なくありません。たしかに、成績を上げる目的でおこなわれます。しかし「受験生としての気持ちを引き締める」という点も、特訓を受ける目的であることは忘れてはいけません。特に中堅校を目指す子にとっての特訓は、入試本番に向けた重要なターニングポイントとなります。

中堅校志望の子の特訓

中堅校志望の子の特訓は、受験生としての自覚や、勉強に必要な体力を身につける“きっかけ”と捉えてください。そもそも中堅校の入試は基礎的な内容の出題が多く、学校ごとの対策を練る必要がほぼありません。そのため中堅校志望の子向けの特訓は、志望校対策というより、受験に向けた“喝”を入れる場として活用する塾が多いのです。

私の塾(進学個別桜学舎)でも、例年10月~11月ごろに「秋期講習」をおこなっています。1日3~4時間、科目ごとに単元や要点を絞った授業をおこないますが、はじめは受験の意識が乏しかった子も、特訓を受けるにつれて少しずつ目の色が変わっていく様子が見て取れます。

難関校志望の子の特訓

大手塾の特訓は、開成や麻布といった「難関校ごとの対策」が充実しているのが特徴です。難関校は学校ごとに問題の傾向が大きく異なるため、特訓では過去の入試の類似問題を使った演習や、出題傾向の解説などが集中しておこなわれます。同じ学校を志望するライバルと隣り合わせで特訓を受けられるのも、入試本番に似た緊張感を味わえる点でメリットといえるでしょう。

ただ大手塾では、特訓の参加を前提としてカリキュラムが組まれていることに注意が必要です。そのため、特訓を一度でも欠席してしまうと授業について行けなくなることも。授業のペースもはやく進むため、体調管理はもちろん、授業ごとの復習も並行しておこないつつ走り続けなくてはいけません。学習習慣がある程度身につき、勉強を楽しいと感じている子はこうした特訓にもついて行けますが、受験の意識が薄い子にとっては苦しいものになる可能性もあります。

特訓は、受験生としての自覚をつくる場

特訓に参加すると、「なぜ勉強するのか」を子どもなりに考えたり、自分に合った勉強方法を理解したりと、子どもの心のなかで意識の変化が生まれます。こうした意識は、受験生としての自覚、つまり成績を上げるうえでの“土台”となって子どものなかに根付きます。もろい土の上には立派な花は咲かないものですが、しっかりと固められた土の上にはきれいな花が咲きますよね。受験も、これと同じ。特に中堅校志望の子は「受験の覚悟」ができていないことが多いので、特訓を機に意識の変化を起こさせ、受験生としての“土台”を固めてあげる必要があるのです。

意識が変わると、成績は自然と伸びていく

高学年になるにつれ勉強の内容は難しくなり、学習範囲も広くなります。そのため、親が手取り足取り子どもに勉強を教えてあげられるのは3~4年生までが限界でしょう。たとえ親のサポートで合格できたとしても、中学入学後は定期試験や大学受験が控えています。これら全てを親がサポートするのは不可能です。つまり子供が自発的に勉強する習慣や、自ら勉強に臨んでいく姿勢を、早いうちから身につけさせなければいけないのです。

ちなみに中堅校を目指す子であっても、土日が特訓漬けになることは珍しくありません。平日も授業、土日は特訓、家では宿題……このように忙しい日々が続きますが、ここが踏ん張りどき。こうした日々を乗り切ると、子ども自身の気持ちが「受験モード」へと移っていきます。1週間のうち「勉強しなさい!」と子どもに10回言っていたのが、8回、5回、3回と少しずつ減っていくこともあるでしょう。

特訓を経て、ほど良いプレッシャーを与えられた子の表情は大人びたものに変わっていきます。そして自分で目標を決めて勉強するようにもなり、冬に近づくにつれて成績も自然と伸びていくのです。

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※記事の内容は執筆時点のものです

亀山卓郎
亀山卓郎 専門家・プロ

かめやま たくろう|明治学院高等学校、成城大学卒業。大手塾・個人塾などで教務経験を積んだ後、2007年に転居のため千葉県及び江戸川区の塾を閉鎖し、台東区上野桜木で「進学個別桜学舎」をスタート。首都圏模試の偏差値で60を切る学校への指導を専門に「親子で疲弊しないノビノビ受験」を提唱している。TJK東京私塾協同組合員、第一薬科大学付属高校上野桜木学習センター長。YouTube「下町塾長会議」構成員。著書「ゆる中学受験ハッピーな合格を親子で目指す」(現代書林)、「めんどうな中学生(わが子)を上手に育てる教科書」(ブックトリップ)、構成・問題監修「LIZ LISA Study Series中1/中2」、監修「おっぱっぴー小学校算数ドリル」(KADOKAWA)

この記事の著者

編集・ライター。学生時代から都内で6年間塾講師を務める。塾講師時代は、おもに作文・国語・英語の科目を担当。小学生から中学生までの指導にあたる。現在は編集・ライターとして教育関連をはじめ、街歩き・グルメ記事の執筆取材をおこなう。

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