
合格を手に入れるための過去問の上手な使い方|今一度立ち止まって中学受験を考える
入試対策に欠かせない過去問。でも、どのように取り組めばよいのかわからず、困っているというご家庭も多いことでしょう。そこで今回は、過去問を取り組む際に気をつけるべきポイントをお伝えします。
入試傾向と時間配分をつかむ
過去問は何のためにやるのでしょうか? まず第一の理由は、志望校の入試傾向をつかむためです。一般的に中学受験の勉強は、小学4年生から6年生の入試本番まで約3年をかけて準備をしていきます。これまでの勉強は、塾で中学受験に必要なことを単元ごとに学び、問題演習を行うというものでしたが、ここからは入試問題で得点するためのより実践的な学習に切り替えていかなければいけません。そのために必要なのが、入試傾向をつかむ必須アイテムである過去問です。
過去問に取り組む際は、入試本番を意識することが大切です。そのため制限時間は必ず守りましょう。はじめは問題を解くのに時間がかかって、最後まで答案を埋めることができないこともあります。しかし、こうした失敗を経験することで、「計算問題はもっと速く解かなければ!」と気づいたり、「頭からやるのではなく、解ける問題からやっていこう」と戦略を練ったりすることができます。そうやって、時間配分をつかんでいきます。
本番に近い状況で演習する
6年生のこの時期は、苦手対策など追い込みで忙しいことでしょう。しかし、できることなら週に1回は、本番の予行練習として、4科の過去問を一気に解く日を設けることをおすすめします。たとえば志望校の入試の順番が国語・算数・社会・理科だったら、その通りの順番で取り組むようにします。スタートの時刻やお昼の休憩時間も本番に合わせるのです。
やってみると実感すると思いますが、4科目連続で試験を受けるのは案外体力的にハードなものです。だからこそ、それに慣れておく必要があります。予行演習をせずに、いきなり本番を迎えてしまうと、最後まで脳の体力が持たない可能性があります。これを私は「脳スタミナ」と呼んでいますが、この脳スタミナをつけておくことも、とても大事なことです。
解いた後の弱点分析・強化
過去問は解いてそれで終わりではありません。できていないところをあぶりだすことも、過去問を解く重要な目的のひとつです。間違えた問題を解き直し、そしてテキストや問題集から類題を引っ張り出してきて復習する。間違えた問題に対して納得の理解が得られるまで追求していかなければなりません。わからないところについては、まずは解説をよく読んでみましょう。それでも理解できない場合は、塾の先生に必ず質問します。
中学受験では、満点を取って合格する子はほぼいませんから、考えても考えてもわからないような難問は、手をつけなくても構いません。その代わり、誰もが正解するような正答率の高い問題は、必ず解けるようにしておきましょう。捨ててはいけない問題を着実に正答することが、合格力アップの鍵です。
過去問に取り組んでいて、できていないところがたくさん見つかると、「こんな状態では合格できない」と、親御さん達は必ず焦りを感じてしまうものです。ですがここで叱ったり、喝を入れたりするのは逆効果です。冷静になって、ひとつずつ今やるべきことに集中しましょう。
入試直前期は、過去問を問題集代わりに活用する
第一志望、第二志望の学校の過去問は、4~5年は取り組んでおきましょう。ただし、御三家のように何年も問題傾向が変わらない学校は、同じ年度の問題は繰り返し解かず10年分程度過去にさかのぼってやっておくことをおすすめします。
過去問を古いものからやるのか、新しいものからやるのかについては、塾・先生によって指示が分かれるポイントですが、私は直近のものから始めることをおすすめしています。近年は記述式の問題を出す学校が増えていて、入試問題の傾向自体が変化していることもあります。そういう学校の場合、あまりに古い過去問を解いても対策の効果が薄いからです。
その学校の入試傾向が変わったかどうかを判断するには、回答用紙を見てみましょう。たとえば国語や社会の問題で、以前は記号問題が多かったのに、記述式の解答欄が増えていたりするような場合は、問題傾向が変化したということの表れです。
2月入試が本命であれば、過去問演習は1月半ば頃にはおおむね終わらせるのが理想的です。そして、1月20日頃からは苦手単元の「大問3のみを解く」といったように、苦手問題を集めた問題集のように使うといいでしょう。そうやって、直前まで根気強く苦手をつぶしていきます。過去問を上手に活用することこそ、自分の持ち偏差値以上の学校に合格する逆転合格への近道です。
これまでの記事はこちら『今一度立ち止まって中学受験を考える』
※記事の内容は執筆時点のものです