連載 今一度立ち止まって中学受験を考える

迫る2021年度入試 志望校選びは新型コロナの影響を受ける?|今一度立ち止まって中学受験を考える

専門家・プロ
2020年10月14日 石渡真由美

新型コロナウイルスの影響で、塾の授業が一時期オンラインになったり、模試を自宅で受けたりとイレギュラー続きの今年の受験生。2021年入試にも影響が出てくるのでしょうか?

新型コロナで変わる入試 どう受け止める?

新型コロナウイルス感染拡大の原因になるといわれている“3密”状態。2021年度の中学入試でも、試験会場を分散させたり、試験時間を短縮したり、入試科目を国算理社の4教科から国算の2教科に減らしたりするなど、各校から対策が発表されています。例年と違う入試を不安視する親御さんもいることでしょう。

新型コロナウイルスの影響で私達の生活スタイルは大きく変わりました。満員電車を恐れ、家の近くに公立中学校があるのに、わざわざ電車に乗って遠方の私立中学に通う必要があるのだろうか? と考えた人もいるかもしれません。私立でも、ICTに強い学校とそうでもない学校があるらしい……。これからはオンライン授業に強い、ICTに強い学校に入れるべきなのではないか? など、学校選びに揺らいでいる人もいるようです。

しかし、私は今の状況を特別視する必要はないと考えています。試験時間の短縮による入試対策は必要になりますが、中学受験をするか・しないかという選択や、学校の選び方は大きく変える必要はないと思っています。

大事なのは6年間をどこでどう過ごすか

そもそもなぜ中学受験をするのでしょう。そこに行かせたいと思う学校があるからではないでしょうか。

志望校を検討する際、6年間の通学を考えると、できるだけ近場の学校へ通わせたいなどと考える保護者心理は理解できます。しかし今、「満員電車だと感染が心配……」といった理由で、行かせたい学校を断念してしまうのはどうなのか、と思ってしまうのです。とかく、満員電車がウイルスの感染拡大に繋がっていると解釈しがちですが、現在のところ満員電車が原因だという明確な根拠は示されていません。ですから、現状を過度に不安視して、6年間通うことになる学校選択の幅を狭めてしまうのはナンセンスではないかと思います。

学校教育のICT化に関しても同じようなことがいえます。緊急事態宣言中、各校でオンライン授業が行われました。緊急のことでしたから、学校によってそのスタートに時差がありました。このとき、いち早くオンライン授業をスタートできた学校ほど「ICT対応が進んでいる」と評価されたのです。ところが現在の状況を見ると、開始時に多少の差はあったものの、私立の学校はほぼほぼオンライン授業を実施できています。そもそも今、ICT化が進んでいる学校だとしても、向こう何年かに渡ってそれが続くとは限りません。技術も端末も目まぐるしい早さで変化していますから、今は後発だとしても、今後強くなる学校は出てくるはずです。

新型コロナウイルスの影響で、これまでとは別の観点から学校を見る目がシビアになっていますが、近視眼的になりすぎないよう、志望校を選ぶべきでしょう。やはり、もっと大きな視点で、「わが子が6年間過ごす場所としてどの学校がベストか」を考えてほしいと思います。その結果、その学校がベストだと思うのであれば、コロナ禍を理由に易々と受験校を変えないことです。

受験校は偏差値幅を持たせて、早めの合格を勝ち取る

2021年の入試でも、例年通り受験校は6〜7校用意しておくことをおすすめします。その際どのような順番で受けるかも、大事なポイントです。私がおすすめしているのは「M型」か「W型」です。

M型とは、2月1日の午前に合格可能性の高い学校を受験。確実に合格を取って、1日の午後入試や2日の入試でチャレンジ校を受けるというやり方です。

一方のW型は1日の午前に偏差値が高めの第一志望校(またはチャレンジ校)に挑戦します。万一、不合格だった場合は1日の午後入試や2日目で安全校を受けて必ず合格を取り、3日目に再度チャレンジするというやり方です。

双方の型に共通していることは、安全校からチャレンジ校まで偏差値の幅を広く設定し、必ずどこかの学校の合格を手に入れるということです。偏差値幅は15くらい持たせておく方が安心でしょう。

東京・神奈川の中学受験は2月1日入試をピークに短期決戦で合否が出ます。後になるほど受験倍率が上がり大変になっていきますので、できるだけ2月1日に合格を手に入れたいものです。そこで、M型にしろ、W型にしろ、必ず1日に合格をひとつ取るようにしましょう。

[関連記事]中学受験 受験校は偏差値の幅を持たせて全落ちを避ける

どうしても行きたい学校がある場合、1日から複数回に渡って同じ学校を受験するというやり方もありますが、後の回の入試になるほどハードになっていきますので、私はあまりおすすめしていません。初日が不合格だった場合は、気持ちを切り替えて、少し偏差値が下の別の学校を受験した方が合格は手に入りやすいと考えています。

いずれにしても、受験する学校には必ず事前に足を運び、「この学校なら行かせてもいい」と親子で納得しておくことが大事です。また、受験校に関しては入試のスタイルに変更があるかもしれないので、入試説明会には必ず参加するようにしましょう。今年はコロナでいろいろと心配されている親御さんは多いと思いますが、例年通りに「わが子に行かせたい学校」を選び、受験に挑みましょう。


これまでの記事はこちら『今一度立ち止まって中学受験を考える

※記事の内容は執筆時点のものです

宮本毅
宮本毅 専門家・プロ

1969年東京生まれ。武蔵中学・高等学校、一橋大学社会学部社会問題政策過程卒業。大学卒業後、テレビ番組制作会社を経て、首都圏の大手進学塾に転職。小学部および中学部で最上位クラスを担当し、多数のトップ中学・高校に卒業生を送り込む。2006年に独立し、東京・吉祥寺に中学受験専門の「アテナ進学ゼミ」を設立。科目間にある垣根は取り払うべきという信念のもと、たった一人で算数・国語・理科・社会の全科目を指導している。また「すべての子どもたちに自発学習を!」をテーマに、月一回の公開講座を開催し、過去3年間でのべ2000名近くを動員する。若い頃からの変わらぬ熱血指導で、生徒たちの「知的好奇心」を引き出す授業が持ち味。

■著書

『はじめての中学受験 これだけは知っておきたい12の常識』(ディスカヴァー・トゥエンティーワン)
『中学受験 同音異義語・対義語・類義語300』(中経出版)
『文章題最強解法メソッド まるいち算』(ディスカヴァー・トゥエンティーワン)
『中学受験 ゴロ合わせで覚える理科85』(KADOKAWA出版)
『中学受験 ゴロ合わせで覚える社会140』(KADOKAWA出版)
『ケアレスミスをなくせば中学受験の9割は成功する』(KADOKAWA出版)
『合格する子がやっている 忘れない暗記術』(かんき出版)

この記事の著者

フリーライター。子供の誕生をきっかけに、わが子の成長に合わせ、ベビー雑誌、育児・教育雑誌、塾専門誌で取材執筆。6年前に子供の中学受験を経験したものの、国立大学の附属中学で併設高校が無かったため、その3年後に“高校受験生の母”、またその3年後に“大学受験生の母”も体験。中・高・大の3つの受験を知る受験ライター。

合わせて読みたい