連載 「国語力」が、中学受験を左右する!

低学年から読解問題集をやらせたほうがいい? 効果的な問題演習の取り組み方|「国語力」が、中学受験を左右する!

専門家・プロ
2020年12月01日 水溜 兼一(Playce)

本連載では、国語の講師として、中学受験を目指す子どもたちを長年指導している南雲ゆりか先生が、国語力アップにつながるさまざまな方法を紹介します。

中学受験を意識される家庭では、子どもが低学年の頃から国語の問題集に取り組むケースがあります。今回は、問題集の落とし穴と、効果的な読解演習の取り組み方を南雲先生に聞きました。

スラスラ解ける問題集の落とし穴

国語の入試は読解問題が中心なので、「入塾前の早いうちから問題集を使って読解問題に取り組まなければ」と考える保護者の方がいらっしゃいます。低学年向けの読解問題集はいろいろありますが、以下のような特徴のものは、私はあまりおすすめしていません。

・本文がひらがなだらけで、内容も容易に理解できる
・設問文の条件があいまい
・選択肢の正否がはっきりしていて、本文を読まなくても解ける
・9割以上正解できてしまう

子どもが問題をスラスラ解けると、親は嬉しくなりますが、あまりに易しすぎる問題ばかりをやっても読解力の向上にはつながりにくいでしょう。特に注意したいのは、「設問文の条件があいまい」な問題集です。たとえば、「主人公はどんな気持ちですか?」といったように問いが漠然としていて、決められた字数で本文から該当する箇所を書き抜くのか、文中の語句を使って記述するのか、自分の言葉で説明するのか、指示が書かれていないようなものは、正解の基準がわかりにくくなります。

低学年のうちは、読解問題よりも語句の知識と読書習慣を

普段、生徒を指導していると、問題の条件をきちんと読まない子が目立ちます。「書き抜きなさい」という問いに対して、自分なりのまとめ方をしてしまう。理由を聞かれているのに、解答の文末を「~だから」と理由に対応する言葉にしないなどのケースが多く見られます。

私は、その原因のひとつとして、低学年の頃から、設問文の条件があいまいな問題集でトレーニングをしてきたことがあるのではないかと思っています。ですから、問題集を選ぶ場合には、設問文の条件がきちんと示されていて、その条件に沿って答えるタイプのものを選ぶことをおすすめします。

小学1年生から3年生までは、読解問題に取り組むよりも、ことわざや慣用句、漢字の知識を増やすことが先決だと私は考えています。問題集も語彙力をつけるものを中心に取り組みたいところです。語彙力をつけつつ、読書を習慣にして、文章を読むことに慣れておくことが後の受験勉強に生きてきます。読解問題演習は4年生から塾で取り組んでも遅すぎることはありません。

しかし、ご家庭によっては、最初の入塾テストから上位クラスに入ることを重視されるケースがあるかもしれません。その場合、3年生ぐらいで語彙力がある程度ついていて文章が読めるなら、塾が提供している4年生向けの読解問題集に取り組むのもひとつの方法です。内容が難しいかもしれませんが、親子で本文を一緒に読み、一文ずつ文章の内容を噛み砕いて精読すると読解力の向上につながります。

6~7割しか正解できない問題集を選ぶ

4年生になり通塾するようになったら、家庭ではまず塾のテキストを中心に学習しましょう。テキストのできなかった問題について、なぜ間違ったのかをていねいに考えて、塾で学んだ内容をきちんと理解できるよう努めることをおすすめします。

家庭学習で、塾の問題集に取り組むことがあるかもしれません。そのとき、難しい問題集ができないから、易しい問題集に切り替えたり、1学年下の問題集をやり直すべきか考えることがあるかもしれません。けれども、易しい問題が解けるなら、引き続き難しいものにチャレンジしていくべきです。

4~6年生が読解問題集に取り組むなら、6~7割しか正解できないものを選ぶことが一つの目安です。国語の入試問題では、難関校だと合格者の正答率が6~7割程度ということが少なくありません。受験者平均はもう少し下がるでしょう。家庭での読解問題演習でも入試本番と同じように難しめの問題を根気よく解く習慣をつけることが大事です。また、難しめの問題に取り組むことで、自分はどこでよくつまずくのか、何が理解できていないのか、課題が見えてきます。

過去問を活用して読解力を高める

6年生になったら、読解演習の問題集として過去問を利用する方法もあります。国語の入試では、よく練られた良問を出題する学校もあります。良問に取り組むことが読解力アップにつながります。いくつか紹介しましょう。

物語文の演習では、麻布中学校の過去問がおすすめです。難易度は高めですが、本文に出てくる象徴表現が表すことを尋ねる設問や、行間をしっかり読み取って答えるような設問があり、問題を解きながら、どういう話なのか理解が深まるような問題構成になっています。

選択問題が中心の演習であれば、聖光学院中学校の過去問にトライしてみましょう。同校は例年選択問題が多く出題されています。本文の文字量が多く、答えの根拠が書かれた箇所を探すのに苦労することがありますが、決して難問奇問ではなく、本文をきちんと検証できれば正解でき、本文を注意深く読む習慣がつきます。

記述問題演習では、鴎友学園女子中学校の過去問がおすすめです。同校の読解問題はすべて記述式ですが、学校説明会に行くと「入試対策資料集」を入手できます。この冊子には採点基準が詳しく書かれており、どのように答えれば得点できるのか理解を深めることができます。

もちろん同校以外にも、読解問題の採点基準について詳しい資料を出している学校もあります。目を通すと家庭で子どもの採点をする一助となるはずです。また、本文をどれくらい読めているのか確かめるバロメーターとしては、クセのある設問が少なく、きちんと読み、内容を理解できていれば正解しやすい、獨協中学校や吉祥女子中学校の問題に取り組んでみるのもいいでしょう。いずれも学校のホームページから問題と解答をダウンロードすることができます。

国語の読解力をつけるためには、低学年のうちは語句や漢字のインプットを中心に取り組み、4年生からは塾のテキストを家庭学習のメインにしつつ、やや難しめの問題集に挑戦し、読解力がついてきたら過去問で実力を測るというプロセスが演習のコツです。


これまでの記事はこちら『「国語力」が、中学受験を左右する!

※記事の内容は執筆時点のものです

南雲ゆりか
南雲ゆりか 専門家・プロ

南雲国語教室(東京都文京区)主宰。「正確に読む力、伝える表現力」の育成をモットーに小学生の指導にあたっている。東京都生まれ。横浜市の小学校教諭を経て、大手中学受験塾の国語科専任教師に。10年間、最難関コースの指導を担当するとともに、模試や教材の作成にも携わった。主な著書に、『笑って合格する!「中学受験」必勝法』『中学受験の合否を決める! 考える力がつく「国語」勉強法』(いずれもダイヤモンド社)『名探偵コナンの12才までに身につけたい本物の漢字力 1026字』(小学館)がある。現在、朝日小学生新聞で「楽読み楽解き国語の時間」、朝日新聞EduAで「国語のチカラ~読解力アップの教科書~」を連載中。

この記事の著者

雑誌・新聞の編集・ライターを経て、現在は、通信教育企業のキュレーションサイトや大学案内のライティングなどを担当。

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