連載 「国語力」が、中学受験を左右する!

文章を速く読むために必要なこと|「国語力」が、中学受験を左右する!

専門家・プロ
2020年12月03日 水溜 兼一(Playce)

本連載では、国語の講師として、中学受験を目指す子どもたちを長年指導している南雲ゆりか先生が、国語力アップにつながるさまざまな方法を紹介します。

長文化が進む国語の入試問題。制限時間内に本文を読んで解答するためには、文章を速く読む力も求められます。今回は、内容を理解しつつ、文章が速く読めるようになるための方法を南雲先生に聞きました。

速く読めて、内容も理解できるようになるには

物語文や説明・論説文は入試で最も多く取り上げられますが、本文の文章量が多いと、読むだけで精一杯で、解答にかけられる時間が減ってしまいます。ですから、本文を速く読む力が必要です。入試の解答時間を考えると、1分間で少なくとも500字読めることが望まれます。

とはいえ、とにかく速く読もうとスピードばかり重視すると、字面をなぞるだけで、内容が頭に入っていないということも起こります。では、速く読みつつ、内容も理解できるようになるためにはどうすればよいのでしょうか?

読むのが遅い大きな原因のひとつとしては、そもそも普段から文章を読み慣れていないことが挙げられます。やはり読書の習慣は大事です。最初からたくさんの文章を読めなくても構いません。まずは10分間集中して文章を読むトレーニングをしてみてください。

速く読めるようになるためのトレーニングとして、早口で音読することもおすすめです。小声でいいので、目線を少し先に置きながら、フレーズを意識して音読してみましょう。早口で読むためには注意深く文を見なければならないので、集中力がつきます。また、音読することで、広範囲の脳領域が活動することが研究によって証明されており、このなかには言語理解に関わる領域も含まれています。言葉を声に出し、聴覚でインプットすることで語彙を増やしたり、読解力を高めたりする効果があるとされています

家庭学習でさまざまなテーマの文章に触れる

文章が速く読めるか否かは、書かれている内容や文体になじみがあるかどうかも影響します。特に説明文・論説文は、物語文にはない独特の論理的な展開や、硬めの文章になっていて、テーマごとに専門用語も出てきます。説明文・論説文で扱われるテーマは、地球環境、言語論、グローバリズム、アイデンティティー、AI、コミュニケーション、経済、動植物など多岐にわたります。

塾のテキストでもいろいろなテーマは扱いますが、それにプラスして、家庭学習でもいろいろなテーマの文章に触れておくことが大事です。子ども向けの新書を幅広く読めればベストですが、難しい場合は、小学生新聞を読むと多彩なテーマの記事が載っています。ほかにも、入試で扱われるテーマに慣れる手段として、「銀本」の通称で知られる「中学入学試験問題集」(みくに出版)を活用することもできます。この問題集には、いろいろな学校の入試問題がまとめられていますから、読書代わりに国語の読解問題の本文を読んでみるとさまざまなテーマに触れられ、どれくらいの文字量の文章が出るのかも把握できます。

親子で文章の骨子をつかむトレーニング

内容を把握しながら速く読めるようになるためのトレーニングとして、子どもが本文を読んだときや読書をしたときに、話の概要を子どもに尋ねることが効果的です。説明文・論説文であれば、どんな問題提起がされて、どういう結論になっているのか。物語文なら、どんな人がどうなる話なのか。文章の細部まで理解できていなくても構いません。まずは全体の骨子を親に話せることを目標にしましょう。

子どもたちは、本文を最初から最後までずっと真剣に読んでいく傾向があります。このトレーニングは、最初から最後まで同じテンションで読むのではなく、メリハリをつけて読めるようになることが目的です。メリハリとは、説明文・論説文なら具体例はさっと読み、具体例の前後の要点が書かれているところや、本文全体の結論が書かれているところを丁寧に読むということです。物語文なら短くて軽い会話が続くところはさっと読み、話が新たに展開しているところはどこか、登場人物に大きな影響を与えた出来事が書かれている部分はどこかをつかみ、その部分をていねいに読みます。テストの設問でも要点を聞かれることが多いので、文章の骨子をつかむことは何より大事です。


これまでの記事はこちら『「国語力」が、中学受験を左右する!

※記事の内容は執筆時点のものです

南雲ゆりか
南雲ゆりか 専門家・プロ

南雲国語教室(東京都文京区)主宰。「正確に読む力、伝える表現力」の育成をモットーに小学生の指導にあたっている。東京都生まれ。横浜市の小学校教諭を経て、大手中学受験塾の国語科専任教師に。10年間、最難関コースの指導を担当するとともに、模試や教材の作成にも携わった。主な著書に、『笑って合格する!「中学受験」必勝法』『中学受験の合否を決める! 考える力がつく「国語」勉強法』(いずれもダイヤモンド社)『名探偵コナンの12才までに身につけたい本物の漢字力 1026字』(小学館)がある。現在、朝日小学生新聞で「楽読み楽解き国語の時間」、朝日新聞EduAで「国語のチカラ~読解力アップの教科書~」を連載中。

この記事の著者

雑誌・新聞の編集・ライターを経て、現在は、通信教育企業のキュレーションサイトや大学案内のライティングなどを担当。

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